★悟空Long Dream【Familyー固い絆ー】
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夜が明け、悟空達の泊まっている客室の窓辺から朝日が射し込み、悟空の腕に抱かれて寝ていた名無しさんが目を覚ます。
「ん~……六時過ぎか」
サイドテーブルにある時計で時間を確認した名無しさんは、自分を抱き締めて眠る悟空に目を向けた。
(……悟空がまだ眠ってるなんて珍しい。あ、そうか。昨夜は寝るのも遅かったし、夜中起こしちゃったもんな。それにしてもこうやって見ると、寝顔は小さい頃とあんまり変わらないなあ……)
普段は悟空が名無しさんを起こす為、彼女が悟空の寝顔を間近で見るのはこれが初めてだ。
飽きずにその寝姿を眺めていた時、何の前触れもなく、パチッと目を覚ました悟空とバッチリ視線が絡んだ。
「ごっ、ごご……ご、悟空! おっ、おは、おはようっ!」
悟空と目が合って気恥ずかしそうな名無しさんは、それを誤魔化そうと挨拶をするが、肝心なところでどもってしまった。
「ああ。名無しさん、ずっとオラの寝顔見てたろ?」
「えーと……気づいてた?」
「ははは、あんだけ視線感じりゃあな」
楽しげに笑う悟空に対し、名無しさんは肩を竦めて「いつから?」と尋ねる。
「ん~……名無しさんの独り言が聞こえた後、じーっと見られてんなって意識があってよ」
「それ、最初から気づかれてたってことじゃない。う~恥ずかしい……」
「恥ずかしがることねえさ。オラなんか、毎朝名無しさんの寝顔見てんだかんな」
「えっ……あ、そっか」
(悟空が毎朝起こしてくれるんだから、寝顔を見られるのは当然か……って、そっちの方がもっと恥ずかしいんですけど!)
心中で叫ぶ名無しさんの耳に、悟空の更なる爆弾発言が届いた。
「名無しさんの寝顔って、すげえめんこいんだぞ。見てるだけで癒されっからなあ。父ちゃんと兄ちゃんも知らねえ、オラの特権だ」
「……あの~悟空サン、今何て言った?」
「だからよ、名無しさんの寝顔がめんこ……」
「わーっ! やっぱり答えなくていいからっ!」
「何だよ、おめえが聞いたんじゃねえか」
名無しさんに大声で遮られ、不満げに頬を膨らませる悟空。
「ご、ごめん。聞き間違いかと思って」
「そんな訳ねえだろ。オラは名無しさんが好きなんだからよ」
子供のように拗ねる悟空の唐突な告白を受け、名無しさんは目を丸くする。
「……ね、ねえ、今私のこと好きって言った?」
予想外の展開に、動揺を隠せない名無しさんの声は若干震えていた。
「ああ、言ったぞ。父ちゃん達を復活させる時も、物怖じしねえで地獄に行っちまうとこなんか勇気あるしよ。オラや父ちゃん達の為にせっせと飯作ってくれんのもさ、いっつもありがてえって思ってんだ」
悟空は真摯な眼差しで名無しさんを見つめ「だからよ」と台詞を繋ぐ。
「オラ、一生懸命な名無しさんが好きだ」
(……悟空が告白してくれるなんて思ってもみなかった)
「何つっても一番は、笑顔がめんこいとこだな」
悟空が太陽のように眩しい笑顔で言い切ると、名無しさんの頬が見る間に紅潮する。
「はははっ! 名無しさん、顔が真っ赤だぞ!」
「もうっ、からかわないで!」
頬を膨らませて拗ねる名無しさんに、悟空は「わりぃわりぃ」と謝る。
「けどよ、オラはそんだけ名無しさんが好きなんだ」
「……私もずっと悟空が好きだったから嬉しい」
名無しさんが微笑んで答えると、再び悟空が真剣な表情に変わる。
「なあ、名無しさん。これからもずっとオラんちにいてくれっか?」
「ずっと悟空の傍にいたい……ううん、いさせて欲しい」
「サンキュ、名無しさん」
朝の爽やかな陽光に包まれて、悟空と名無しさんは心を一つにするよう、そっと唇を重ね合わせた。
午後、名無しさんはブルマと連れ立って、都の中心地にある大型スーパーに訪れていた。
「名無しさんちゃん、必要な物があるなら何でも買ってあげるわよ?」
「いえ、大丈夫ですよ。前にホイポイカプセルで、いっぱいいただいてますし」
「そうは言っても、あのサイヤ人親子相手なら食材が幾らあっても足りないでしょ?」
「でも、悟空達が魚とか茸とか山菜とか他にも色々と持ち帰ってくれるんです。それで何とか食い繋いでる感じですね」
「なるほどね。それでも、せっかく買い出しに誘ったんだし、今日はこのブルマさんにも協力させなさいよ!」
ブルマは名無しさんが押すショッピングカートいっぱいに、次から次へと食材を詰め込んでいく。
「こ、こんなにたくさん……ホントにいいんですか?」
「名無しさんちゃんが孫くんの面倒をしっかり見てくれてるから、つい援助したくなるのよ。ていうか、これでも、すぐ足りなくなるわね」
「いっ、いえ! ブルマさんのご厚意はもう充分伝わってますんで!」
正直なところ冷蔵庫の食料が底を尽きかけていたので、名無しさんにとってブルマからの援助は大助かりだった。
(けど、これ以上ブルマさんに援助して貰うわけにはいかないよ。今後の生活の為にも仕事を探さなくちゃ!)
ブルマからの惜しみない援助を受けた名無しさんは、密かに決意するのであった。
買い出しの帰り道。
「ところで、孫くんとはその後の進展はどう?」
ブルマがエアカーを操縦しつつ、そんなことを問いかける。
「それが聞いてください。実は今朝、悟空から告白されちゃったんですよ!」
名無しさんが興奮気味で答えれば、ブルマは「ぶっ!」と吹き出した。
「ええ!? あの恋愛に疎い孫くんから名無しさんちゃんに告白したですって!? しかも今朝って言ったら私んちでってことよね? どういう状況だったのか詳しく教えなさいよ!?」
名無しさんはすっかり興奮状態のブルマに、悟空と同じ客室で寝たことと今朝の出来事を話した。
「……へえ、それはまた急展開ねえ。でも、よかったわね、名無しさんちゃん。まさか孫くんから告白するなんて夢にも思わなかったもの。アイツもやる時はやるじゃない。私、ちょっと見直したわよ」
「ふふっ、同感です。ずっと憧れだった悟空から好きって言って貰えるだけで、とても幸せですよ」
名無しさんが目を輝かせながら話せば。
「あらあら、すっかり恋する乙女って感じね。それで、肝心の夜は何もなかったわけ?」
ブルマは名無しさんを横目に、ニヤリと笑った。
「こっ、告白が今朝なのに、何もある筈ないじゃないですか!?」
(……ホントはあったけど、まさかキスしましたなんて、恥ずかしくて到底話せる訳ない!)
妙に焦る名無しさんを見たブルマは楽しげに笑いながら。
「ふーん? 何もないなら、そんなに焦らなくてもいいのに、名無しさんちゃんたらウブで可愛いわね♪」
「ブルマさんっ、からかわないでください!」
「ふふふ。でも、もったいないわ」
「何がですか?」
「だって孫くんちだったら、バーダックやラディッツがいるから、迂闊なこと出来ないでしょ? だから二人っきりのチャンスを逃しちゃったのは、もったいないじゃない。今後その気になったら、協力してあげるからいつでも相談しなさいね?」
まるで自分のことのようにウキウキと話すブルマに対し、その意味を理解した名無しさんは見る間に赤面する。
「そっ、それは丁重にお断りします!」
ブルマは名無しさんの顔を覗き込んで、ニヤニヤしながら。
「ホントにぃ? 遠慮しなくてもいいのよ?」
「遠慮してません! いいから、前を見て運転してください!」
「はいはい。それじゃ、名無しさんちゃんの愛する旦那の元へ直行するわよ!」
「ブルマさんっ! 本気で怒りますよ!」
「あはは! 怒らない怒らない、短気は損気ってものよ?」
「ホントに、もう……」
そんなやりとりをしながら、ブルマが操縦するエアカーは一路、悟空達が待つブルマ邸宅へと向かうのだった。
ブルマ宅から帰宅した翌日。
昼間、食事を済ませたサイヤ人親子は、しばらくしていつも修業の場としている山奥へと出かけた。
一通り家事を終えた名無しさんは近くの村に赴き、何度かお世話になっている酒場に仕事の相談をしたところ、何と翌日から就職が決まった。
(よかった、これで仕事に関しては安心ね。贅沢は出来ないけど、生活の足しにはなるだろうし……さてと、この後はどうしよう?)
村からの帰り道、名無しさんは真っすぐ家に帰らず、山中を散歩することにした。
どこかで聴こえる動物の鳴き声を耳にしながらブラブラ歩いていると、名無しさんの眼前に黄色やピンクの花が咲く、色鮮やかな花畑が広がった。その花畑を囲むように、八分咲きの山桜が彼女を迎えてくれる。
「わあ、パオズ山にこんな綺麗な場所があったんだ! 桜、綺麗……」
山桜に目を奪われる名無しさんの頬を、柔らかな風が撫でる。
「誰もいないし、ちょっとだけ寝ちゃおっと」
春風そよぐ花畑と山桜に囲まれて気分がよくなった名無しさんは、その場に寝そべって目を瞑る。
(のどかでいいなあ……)
名無しさんは通り過ぎる風と花の香りに誘われ、いつの間にやら眠りに落ちていた。
そこへ何者かが降り立ち、名無しさんの傍らに腰を下ろす。
束の間、名無しさんの寝顔を眺めていたが、そっと掌を伸ばすと優しい手つきで彼女の髪に触れた。
「ん……あ、れ?」
すると、違和感に気づいた名無しさんが浅い眠りから目覚める。
「わりぃ、起こしちまったか。まさか名無しさんが独りでこんなとこにいるとは思わなかったぞ」
人影の正体は、名無しさんを見つめて微笑む悟空だった。
彼女は上体を起こし、大きく伸びをする。
「ん~……散歩してたらここに辿り着いて、のどかでいいなあって思ってたら、そのまま寝ちゃったみたい」
「そっか、ここはパオズ山でも特にのどかな場所だかんな。名無しさんが気に入るのも分かっぞ」
悟空は納得したように頷き、辺りを見渡す。
「あっ、そうそう。仕事決まったよ。村の酒場で明日から働かせて貰うことになったんだ!」
悟空を見つめ、満面の笑みで告げる名無しさん。
「ホントか? そりゃよかったな。けどよ、酒場なら夜遅くなったりしねえんか?」
ニコニコ顔の名無しさんに反し、悟空は心配そうに眉をしかめる。
「大丈夫。正午から夕方五時頃までだから。あそこって、夜までは食事をメインに提供してるみたいだし。しかもね、週休二日制で時給も割かしいいみたいだよ?」
「そんならいいけどよ。名無しさんは頑張り屋だかんな。くれぐれも無理すんなよ?」
悟空が名無しさんの頭をぽんぽんとすると、彼女は「うん、気をつける」と笑い返す。
「ところで、悟空。修業はどうしたの?」
「修業は途中で抜けて、名無しさんを捜してたんだ」
(悟空が大好きな修業を抜けて、私を捜してた?)
名無しさんが悟空の行動を疑問に思うなか、息を吐いた悟空は何かを思い切るように、真摯な眼差しで彼女を見つめる。
「昨日の朝、オラが名無しさんに言ったこと覚えてるよな?」
『オラ、一生懸命な名無しさんが好きだ』
名無しさんの頭に悟空の真剣な声音が響く。
「もちろん、覚えてるよ」
名無しさんは幸せに満ち溢れた、蕩けるような笑顔で答える。
それに反し、悟空は眉間に皺を寄せた。
「あれ、オラの勘違いだったんだ。わりぃけど、忘れてくんねえか?」
「えっ……?」
悟空の声が届いた瞬間、名無しさんの頭の中が真っ白になった。
「それでよ、名無しさん……」
悟空が何か喋っているが、今の名無しさんの耳には届いていない。
(勘違いって……忘れろって、昨日の今日でどうしてそんなこと言うの……?)
名無しさんは悲しみのあまり今にも溢れ出しそうな涙をぐっと堪え、いたたまれずその場を離れようとした。
しかし、それを許さないとばかりに、悟空が名無しさんの肩を掴んで引き止める。
「名無しさん、どこに行く気だ?」
「離してっ、それ以上聞きたくない!」
名無しさんは悟空を押し退けようと必死で暴れ出す。
「名無しさん!」
悟空は名無しさんの抵抗を物ともせず、両肩を掴んで押し倒した。
「ごっ、悟空……どうして、こんなことするの?」
状況が呑み込めず、呆然と悟空を見上げる名無しさん。
「頼むから、オラの話を最後まで聞いてくれ」
名無しさんの顔のすぐ傍らに両手をつき、切なげに表情を歪ませる悟空。
「やだっ、聞きたくない! 悟空はもう私を好きじゃないってことでしょ!?」
「そりゃ違うっ!」
悟空が彼女の言葉を掻き消すように大声を出すと、名無しさんは驚愕する。
「オラが名無しさんを想う気持ちは、好きなんて言葉じゃ足りねえんだ」
いつもは穏やかな悟空の眼差しが今は真剣さを帯び、真っすぐ名無しさんの瞳を射貫く。
「……オラ、名無しさんが愛しくてどうしようもねえんだ。それほど、おめえがオラにとって大事な存在だからな」
悟空が名無しさんに素直な想いをぶつけると、彼女は信じられないとばかりに息を呑んだ。
「ご、悟空……嘘じゃない……よね?」
「ああ、嘘なんかじゃねえよ。オラ名無しさんを愛してる。それも、うんといっぺえだ」
「嬉しい、悟空……」
悟空の愛の告白に、感極まった名無しさんは一雫の涙を零した。
「何で泣くんだ? オラ、何か変なこと言ったか!?」
「ち、違うよ……これは嬉し涙って言って、嬉しくて思わず涙が零れたの」
「そっか、急に泣くから驚ぇたぞ!」
そう言って「はははっ!」と豪快に笑う悟空。
(明らかに笑うとこじゃないんだけど……でも、私はそんなありのままの悟空が……)
「好きだよ」
名無しさんが心の声を口にすれば、悟空は一変して真面目な顔になる。
「名無しさん、さっきオラ好きだけじゃ足りねえって言ったよな?」
「えっ……う、うん」
がらりと雰囲気が変わった悟空に対し、名無しさんは狼狽えてただ頷くしかなかった。
「好きってのはよ……」
名無しさんを見下ろしていた悟空は更に顔を近づけ、二人の距離が縮まっていく。
(悟空、もしかして……キスしようとしてる?)
悟空の行動に気づいた名無しさんがすぐさま目を瞑ると、二人の唇がそっと触れ合った。
だが、それはほんの僅かで、悟空はすぐに唇を離してしまう。
(えっ、どうして?)
名無しさんが不思議に思っていると。
「好きって、多分こんな感じだと思うんだよな。昨日したみてえにさ……けどよ、オラはこれじゃ満足出来ねえ」
普段よりワントーン低い声で囁いた悟空は、壊れ物を扱うように名無しさんを優しく抱き締める。
「これが、オラの気持ちだ」
再び互いの唇が触れ合い、悟空は名無しさんの下唇を優しく挟み込み、次第に深く重なり合っていく。
悟空の予期せぬ行動に身体が強張る名無しさんだったが、愛の籠ったキスを受け、その身を委ねるように悟空の首へと腕を回した。
今まで秘めていた想いが一気に溢れ出し、本能のまま互いの唇を求め合う。
長いキスを交わした後、悟空は名残惜しそうに唇を離した。
「オラの想い、伝わったか?」
名無しさんは乱れた呼吸を整えて「ちゃんと伝わったよ」と、少し恥ずかしそうに目を伏せて応える。
「へへっ、そっか!」
悟空は満足げに、にっこりと笑んだ。
「なあ、名無しさん。もうちょい、ここにいてもいいか?」
「でも、二人が待ってるんじゃないの?」
「父ちゃん達には、ちゃんと断って来たから平気だ」
悟空は「それによ」と言葉を続ける。
「オラ、まだ名無しさんと二人っきりでいてえしな。何つっても、おめえとの時間を大事にしてえからさ」
悟空が満面の笑みで告げると、名無しさんの頬が極めて赤く染まった。
(うっ……狡いよ、そんな笑顔で……)
「ゆ、夕飯の支度をするまでなら……いいよ」
「ああ、それで充分だ。名無しさんの飯が食えなくなんのは勘弁だもんな」
「ふふ、悟空の食いしんぼ」
それからしばらくの間、悟空と名無しさんは二人だけの幸せなひとときを過ごすのだった。
悟空が名無しさんを捜しにいった後。
バーダックとラディッツは、山奥にある滝の前で組み手をしていた。修業とはいえ、二人は戦闘さながらの激しい攻防戦を繰り広げている。
「親父よっ! カカロットのヤツ、名無しさんに気があったんだな!」
「ふん、今頃気づいたのか? 相変わらず鈍いヤツだ!」
「何だよっ、親父はいつから知ってたんだ!?」
「さぁな……まあ、カカロットが幸せモンだってのは間違いねえがな!」
「ひょっとして親父、名無しさんが好きなのか?」
ラディッツがニヤついた顔で問えば、バーダックの双眸が一際鋭くなった。
「ラディッツ……」
「な、何だよ?」
「親をからかうんじゃねえっ!」
バーダックは怒声を発し、狼狽えるラディッツの腹に容赦なく蹴りを入れる。
「ぐわあっ!?」
その衝撃で吹っ飛んだラディッツは、滝壺に頭から突っ込んだ。
「ふん、受け身ぐらい取りやがれ」
バーダックは滝壺に目を向けながら呟く。
それとほぼ同時に滝壺から水飛沫を上げ、びしょ濡れになったラディッツが水際に這い上ってくる。
「おい、バカ親父! いきなり何しやがる!?」
びしょ濡れのラディッツが怒鳴りながら、ズカズカとバーダックに詰め寄った。
「ったく、柄にもねえよな……」
バーダックはラディッツから顔を背けて独り言を漏らす。
「はあ? 親父、とうとう頭がおかしくなった……うっ……」
ラディッツはバーダックに睨まれて黙り込んだ。
「オレとお前は一年経てば、地獄に戻らなければならん。分かってはいるが、寂しいもんだと思ってよ」
「何だよ、親父らしくないな。あ、まさか親父、本気で名無しさんを……」
「それ以上言うんじゃねえっ!」
バーダックはラディッツを一喝した。
「ハァ、一体何だってんだよ……」
「あの世へ戻る前に、カカロットの本心を確かめねえとな」
バーダックは悟空が飛び去った方角を見つめて独りごちた。
「ん~……六時過ぎか」
サイドテーブルにある時計で時間を確認した名無しさんは、自分を抱き締めて眠る悟空に目を向けた。
(……悟空がまだ眠ってるなんて珍しい。あ、そうか。昨夜は寝るのも遅かったし、夜中起こしちゃったもんな。それにしてもこうやって見ると、寝顔は小さい頃とあんまり変わらないなあ……)
普段は悟空が名無しさんを起こす為、彼女が悟空の寝顔を間近で見るのはこれが初めてだ。
飽きずにその寝姿を眺めていた時、何の前触れもなく、パチッと目を覚ました悟空とバッチリ視線が絡んだ。
「ごっ、ごご……ご、悟空! おっ、おは、おはようっ!」
悟空と目が合って気恥ずかしそうな名無しさんは、それを誤魔化そうと挨拶をするが、肝心なところでどもってしまった。
「ああ。名無しさん、ずっとオラの寝顔見てたろ?」
「えーと……気づいてた?」
「ははは、あんだけ視線感じりゃあな」
楽しげに笑う悟空に対し、名無しさんは肩を竦めて「いつから?」と尋ねる。
「ん~……名無しさんの独り言が聞こえた後、じーっと見られてんなって意識があってよ」
「それ、最初から気づかれてたってことじゃない。う~恥ずかしい……」
「恥ずかしがることねえさ。オラなんか、毎朝名無しさんの寝顔見てんだかんな」
「えっ……あ、そっか」
(悟空が毎朝起こしてくれるんだから、寝顔を見られるのは当然か……って、そっちの方がもっと恥ずかしいんですけど!)
心中で叫ぶ名無しさんの耳に、悟空の更なる爆弾発言が届いた。
「名無しさんの寝顔って、すげえめんこいんだぞ。見てるだけで癒されっからなあ。父ちゃんと兄ちゃんも知らねえ、オラの特権だ」
「……あの~悟空サン、今何て言った?」
「だからよ、名無しさんの寝顔がめんこ……」
「わーっ! やっぱり答えなくていいからっ!」
「何だよ、おめえが聞いたんじゃねえか」
名無しさんに大声で遮られ、不満げに頬を膨らませる悟空。
「ご、ごめん。聞き間違いかと思って」
「そんな訳ねえだろ。オラは名無しさんが好きなんだからよ」
子供のように拗ねる悟空の唐突な告白を受け、名無しさんは目を丸くする。
「……ね、ねえ、今私のこと好きって言った?」
予想外の展開に、動揺を隠せない名無しさんの声は若干震えていた。
「ああ、言ったぞ。父ちゃん達を復活させる時も、物怖じしねえで地獄に行っちまうとこなんか勇気あるしよ。オラや父ちゃん達の為にせっせと飯作ってくれんのもさ、いっつもありがてえって思ってんだ」
悟空は真摯な眼差しで名無しさんを見つめ「だからよ」と台詞を繋ぐ。
「オラ、一生懸命な名無しさんが好きだ」
(……悟空が告白してくれるなんて思ってもみなかった)
「何つっても一番は、笑顔がめんこいとこだな」
悟空が太陽のように眩しい笑顔で言い切ると、名無しさんの頬が見る間に紅潮する。
「はははっ! 名無しさん、顔が真っ赤だぞ!」
「もうっ、からかわないで!」
頬を膨らませて拗ねる名無しさんに、悟空は「わりぃわりぃ」と謝る。
「けどよ、オラはそんだけ名無しさんが好きなんだ」
「……私もずっと悟空が好きだったから嬉しい」
名無しさんが微笑んで答えると、再び悟空が真剣な表情に変わる。
「なあ、名無しさん。これからもずっとオラんちにいてくれっか?」
「ずっと悟空の傍にいたい……ううん、いさせて欲しい」
「サンキュ、名無しさん」
朝の爽やかな陽光に包まれて、悟空と名無しさんは心を一つにするよう、そっと唇を重ね合わせた。
午後、名無しさんはブルマと連れ立って、都の中心地にある大型スーパーに訪れていた。
「名無しさんちゃん、必要な物があるなら何でも買ってあげるわよ?」
「いえ、大丈夫ですよ。前にホイポイカプセルで、いっぱいいただいてますし」
「そうは言っても、あのサイヤ人親子相手なら食材が幾らあっても足りないでしょ?」
「でも、悟空達が魚とか茸とか山菜とか他にも色々と持ち帰ってくれるんです。それで何とか食い繋いでる感じですね」
「なるほどね。それでも、せっかく買い出しに誘ったんだし、今日はこのブルマさんにも協力させなさいよ!」
ブルマは名無しさんが押すショッピングカートいっぱいに、次から次へと食材を詰め込んでいく。
「こ、こんなにたくさん……ホントにいいんですか?」
「名無しさんちゃんが孫くんの面倒をしっかり見てくれてるから、つい援助したくなるのよ。ていうか、これでも、すぐ足りなくなるわね」
「いっ、いえ! ブルマさんのご厚意はもう充分伝わってますんで!」
正直なところ冷蔵庫の食料が底を尽きかけていたので、名無しさんにとってブルマからの援助は大助かりだった。
(けど、これ以上ブルマさんに援助して貰うわけにはいかないよ。今後の生活の為にも仕事を探さなくちゃ!)
ブルマからの惜しみない援助を受けた名無しさんは、密かに決意するのであった。
買い出しの帰り道。
「ところで、孫くんとはその後の進展はどう?」
ブルマがエアカーを操縦しつつ、そんなことを問いかける。
「それが聞いてください。実は今朝、悟空から告白されちゃったんですよ!」
名無しさんが興奮気味で答えれば、ブルマは「ぶっ!」と吹き出した。
「ええ!? あの恋愛に疎い孫くんから名無しさんちゃんに告白したですって!? しかも今朝って言ったら私んちでってことよね? どういう状況だったのか詳しく教えなさいよ!?」
名無しさんはすっかり興奮状態のブルマに、悟空と同じ客室で寝たことと今朝の出来事を話した。
「……へえ、それはまた急展開ねえ。でも、よかったわね、名無しさんちゃん。まさか孫くんから告白するなんて夢にも思わなかったもの。アイツもやる時はやるじゃない。私、ちょっと見直したわよ」
「ふふっ、同感です。ずっと憧れだった悟空から好きって言って貰えるだけで、とても幸せですよ」
名無しさんが目を輝かせながら話せば。
「あらあら、すっかり恋する乙女って感じね。それで、肝心の夜は何もなかったわけ?」
ブルマは名無しさんを横目に、ニヤリと笑った。
「こっ、告白が今朝なのに、何もある筈ないじゃないですか!?」
(……ホントはあったけど、まさかキスしましたなんて、恥ずかしくて到底話せる訳ない!)
妙に焦る名無しさんを見たブルマは楽しげに笑いながら。
「ふーん? 何もないなら、そんなに焦らなくてもいいのに、名無しさんちゃんたらウブで可愛いわね♪」
「ブルマさんっ、からかわないでください!」
「ふふふ。でも、もったいないわ」
「何がですか?」
「だって孫くんちだったら、バーダックやラディッツがいるから、迂闊なこと出来ないでしょ? だから二人っきりのチャンスを逃しちゃったのは、もったいないじゃない。今後その気になったら、協力してあげるからいつでも相談しなさいね?」
まるで自分のことのようにウキウキと話すブルマに対し、その意味を理解した名無しさんは見る間に赤面する。
「そっ、それは丁重にお断りします!」
ブルマは名無しさんの顔を覗き込んで、ニヤニヤしながら。
「ホントにぃ? 遠慮しなくてもいいのよ?」
「遠慮してません! いいから、前を見て運転してください!」
「はいはい。それじゃ、名無しさんちゃんの愛する旦那の元へ直行するわよ!」
「ブルマさんっ! 本気で怒りますよ!」
「あはは! 怒らない怒らない、短気は損気ってものよ?」
「ホントに、もう……」
そんなやりとりをしながら、ブルマが操縦するエアカーは一路、悟空達が待つブルマ邸宅へと向かうのだった。
ブルマ宅から帰宅した翌日。
昼間、食事を済ませたサイヤ人親子は、しばらくしていつも修業の場としている山奥へと出かけた。
一通り家事を終えた名無しさんは近くの村に赴き、何度かお世話になっている酒場に仕事の相談をしたところ、何と翌日から就職が決まった。
(よかった、これで仕事に関しては安心ね。贅沢は出来ないけど、生活の足しにはなるだろうし……さてと、この後はどうしよう?)
村からの帰り道、名無しさんは真っすぐ家に帰らず、山中を散歩することにした。
どこかで聴こえる動物の鳴き声を耳にしながらブラブラ歩いていると、名無しさんの眼前に黄色やピンクの花が咲く、色鮮やかな花畑が広がった。その花畑を囲むように、八分咲きの山桜が彼女を迎えてくれる。
「わあ、パオズ山にこんな綺麗な場所があったんだ! 桜、綺麗……」
山桜に目を奪われる名無しさんの頬を、柔らかな風が撫でる。
「誰もいないし、ちょっとだけ寝ちゃおっと」
春風そよぐ花畑と山桜に囲まれて気分がよくなった名無しさんは、その場に寝そべって目を瞑る。
(のどかでいいなあ……)
名無しさんは通り過ぎる風と花の香りに誘われ、いつの間にやら眠りに落ちていた。
そこへ何者かが降り立ち、名無しさんの傍らに腰を下ろす。
束の間、名無しさんの寝顔を眺めていたが、そっと掌を伸ばすと優しい手つきで彼女の髪に触れた。
「ん……あ、れ?」
すると、違和感に気づいた名無しさんが浅い眠りから目覚める。
「わりぃ、起こしちまったか。まさか名無しさんが独りでこんなとこにいるとは思わなかったぞ」
人影の正体は、名無しさんを見つめて微笑む悟空だった。
彼女は上体を起こし、大きく伸びをする。
「ん~……散歩してたらここに辿り着いて、のどかでいいなあって思ってたら、そのまま寝ちゃったみたい」
「そっか、ここはパオズ山でも特にのどかな場所だかんな。名無しさんが気に入るのも分かっぞ」
悟空は納得したように頷き、辺りを見渡す。
「あっ、そうそう。仕事決まったよ。村の酒場で明日から働かせて貰うことになったんだ!」
悟空を見つめ、満面の笑みで告げる名無しさん。
「ホントか? そりゃよかったな。けどよ、酒場なら夜遅くなったりしねえんか?」
ニコニコ顔の名無しさんに反し、悟空は心配そうに眉をしかめる。
「大丈夫。正午から夕方五時頃までだから。あそこって、夜までは食事をメインに提供してるみたいだし。しかもね、週休二日制で時給も割かしいいみたいだよ?」
「そんならいいけどよ。名無しさんは頑張り屋だかんな。くれぐれも無理すんなよ?」
悟空が名無しさんの頭をぽんぽんとすると、彼女は「うん、気をつける」と笑い返す。
「ところで、悟空。修業はどうしたの?」
「修業は途中で抜けて、名無しさんを捜してたんだ」
(悟空が大好きな修業を抜けて、私を捜してた?)
名無しさんが悟空の行動を疑問に思うなか、息を吐いた悟空は何かを思い切るように、真摯な眼差しで彼女を見つめる。
「昨日の朝、オラが名無しさんに言ったこと覚えてるよな?」
『オラ、一生懸命な名無しさんが好きだ』
名無しさんの頭に悟空の真剣な声音が響く。
「もちろん、覚えてるよ」
名無しさんは幸せに満ち溢れた、蕩けるような笑顔で答える。
それに反し、悟空は眉間に皺を寄せた。
「あれ、オラの勘違いだったんだ。わりぃけど、忘れてくんねえか?」
「えっ……?」
悟空の声が届いた瞬間、名無しさんの頭の中が真っ白になった。
「それでよ、名無しさん……」
悟空が何か喋っているが、今の名無しさんの耳には届いていない。
(勘違いって……忘れろって、昨日の今日でどうしてそんなこと言うの……?)
名無しさんは悲しみのあまり今にも溢れ出しそうな涙をぐっと堪え、いたたまれずその場を離れようとした。
しかし、それを許さないとばかりに、悟空が名無しさんの肩を掴んで引き止める。
「名無しさん、どこに行く気だ?」
「離してっ、それ以上聞きたくない!」
名無しさんは悟空を押し退けようと必死で暴れ出す。
「名無しさん!」
悟空は名無しさんの抵抗を物ともせず、両肩を掴んで押し倒した。
「ごっ、悟空……どうして、こんなことするの?」
状況が呑み込めず、呆然と悟空を見上げる名無しさん。
「頼むから、オラの話を最後まで聞いてくれ」
名無しさんの顔のすぐ傍らに両手をつき、切なげに表情を歪ませる悟空。
「やだっ、聞きたくない! 悟空はもう私を好きじゃないってことでしょ!?」
「そりゃ違うっ!」
悟空が彼女の言葉を掻き消すように大声を出すと、名無しさんは驚愕する。
「オラが名無しさんを想う気持ちは、好きなんて言葉じゃ足りねえんだ」
いつもは穏やかな悟空の眼差しが今は真剣さを帯び、真っすぐ名無しさんの瞳を射貫く。
「……オラ、名無しさんが愛しくてどうしようもねえんだ。それほど、おめえがオラにとって大事な存在だからな」
悟空が名無しさんに素直な想いをぶつけると、彼女は信じられないとばかりに息を呑んだ。
「ご、悟空……嘘じゃない……よね?」
「ああ、嘘なんかじゃねえよ。オラ名無しさんを愛してる。それも、うんといっぺえだ」
「嬉しい、悟空……」
悟空の愛の告白に、感極まった名無しさんは一雫の涙を零した。
「何で泣くんだ? オラ、何か変なこと言ったか!?」
「ち、違うよ……これは嬉し涙って言って、嬉しくて思わず涙が零れたの」
「そっか、急に泣くから驚ぇたぞ!」
そう言って「はははっ!」と豪快に笑う悟空。
(明らかに笑うとこじゃないんだけど……でも、私はそんなありのままの悟空が……)
「好きだよ」
名無しさんが心の声を口にすれば、悟空は一変して真面目な顔になる。
「名無しさん、さっきオラ好きだけじゃ足りねえって言ったよな?」
「えっ……う、うん」
がらりと雰囲気が変わった悟空に対し、名無しさんは狼狽えてただ頷くしかなかった。
「好きってのはよ……」
名無しさんを見下ろしていた悟空は更に顔を近づけ、二人の距離が縮まっていく。
(悟空、もしかして……キスしようとしてる?)
悟空の行動に気づいた名無しさんがすぐさま目を瞑ると、二人の唇がそっと触れ合った。
だが、それはほんの僅かで、悟空はすぐに唇を離してしまう。
(えっ、どうして?)
名無しさんが不思議に思っていると。
「好きって、多分こんな感じだと思うんだよな。昨日したみてえにさ……けどよ、オラはこれじゃ満足出来ねえ」
普段よりワントーン低い声で囁いた悟空は、壊れ物を扱うように名無しさんを優しく抱き締める。
「これが、オラの気持ちだ」
再び互いの唇が触れ合い、悟空は名無しさんの下唇を優しく挟み込み、次第に深く重なり合っていく。
悟空の予期せぬ行動に身体が強張る名無しさんだったが、愛の籠ったキスを受け、その身を委ねるように悟空の首へと腕を回した。
今まで秘めていた想いが一気に溢れ出し、本能のまま互いの唇を求め合う。
長いキスを交わした後、悟空は名残惜しそうに唇を離した。
「オラの想い、伝わったか?」
名無しさんは乱れた呼吸を整えて「ちゃんと伝わったよ」と、少し恥ずかしそうに目を伏せて応える。
「へへっ、そっか!」
悟空は満足げに、にっこりと笑んだ。
「なあ、名無しさん。もうちょい、ここにいてもいいか?」
「でも、二人が待ってるんじゃないの?」
「父ちゃん達には、ちゃんと断って来たから平気だ」
悟空は「それによ」と言葉を続ける。
「オラ、まだ名無しさんと二人っきりでいてえしな。何つっても、おめえとの時間を大事にしてえからさ」
悟空が満面の笑みで告げると、名無しさんの頬が極めて赤く染まった。
(うっ……狡いよ、そんな笑顔で……)
「ゆ、夕飯の支度をするまでなら……いいよ」
「ああ、それで充分だ。名無しさんの飯が食えなくなんのは勘弁だもんな」
「ふふ、悟空の食いしんぼ」
それからしばらくの間、悟空と名無しさんは二人だけの幸せなひとときを過ごすのだった。
悟空が名無しさんを捜しにいった後。
バーダックとラディッツは、山奥にある滝の前で組み手をしていた。修業とはいえ、二人は戦闘さながらの激しい攻防戦を繰り広げている。
「親父よっ! カカロットのヤツ、名無しさんに気があったんだな!」
「ふん、今頃気づいたのか? 相変わらず鈍いヤツだ!」
「何だよっ、親父はいつから知ってたんだ!?」
「さぁな……まあ、カカロットが幸せモンだってのは間違いねえがな!」
「ひょっとして親父、名無しさんが好きなのか?」
ラディッツがニヤついた顔で問えば、バーダックの双眸が一際鋭くなった。
「ラディッツ……」
「な、何だよ?」
「親をからかうんじゃねえっ!」
バーダックは怒声を発し、狼狽えるラディッツの腹に容赦なく蹴りを入れる。
「ぐわあっ!?」
その衝撃で吹っ飛んだラディッツは、滝壺に頭から突っ込んだ。
「ふん、受け身ぐらい取りやがれ」
バーダックは滝壺に目を向けながら呟く。
それとほぼ同時に滝壺から水飛沫を上げ、びしょ濡れになったラディッツが水際に這い上ってくる。
「おい、バカ親父! いきなり何しやがる!?」
びしょ濡れのラディッツが怒鳴りながら、ズカズカとバーダックに詰め寄った。
「ったく、柄にもねえよな……」
バーダックはラディッツから顔を背けて独り言を漏らす。
「はあ? 親父、とうとう頭がおかしくなった……うっ……」
ラディッツはバーダックに睨まれて黙り込んだ。
「オレとお前は一年経てば、地獄に戻らなければならん。分かってはいるが、寂しいもんだと思ってよ」
「何だよ、親父らしくないな。あ、まさか親父、本気で名無しさんを……」
「それ以上言うんじゃねえっ!」
バーダックはラディッツを一喝した。
「ハァ、一体何だってんだよ……」
「あの世へ戻る前に、カカロットの本心を確かめねえとな」
バーダックは悟空が飛び去った方角を見つめて独りごちた。