★Memories
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ある夏の午後。
真っ赤なオープンカーの運転席でカカロットがハンドルを握り、広野を疾走していた。
助手席にはラディッツ、後部座席にはオレが陣取っている。
いよいよ夏本番の今日は日差しが強く照りつけ、各々サングラスを身に付けて紫外線を避けていた。
オレ達は今、海辺でキャンプをする為、グランピング施設に向かっている。
嫁はブルマ宅に泊まり込みの為、急遽決行に至った訳だ。
外泊直前まで、自分も行きたいと残念がっていたが、ブルマと仲が良い嫁の事だ。何だかんだ、上手くやってんだろうぜ。
振り仰げば、空は雲一つない快晴。
グランピングにはもってこいの日和だが、夏とはいえ太陽の日差しが多少うざくも感じる。
だが、そこは割り切って気にしねえようにしていた。
カカロットは機嫌良く、鼻歌交じりにハンドル操作している。
ヤツは誰にも気兼ねせず、ハイスピードで運転している為、タイヤは砂埃を巻き上げて爆走中だ。
マフラーの排気音はでかく、ここが広野で他には車や人が通らない為、誰の迷惑にもならねえのが幸いだ。
「カカロットよ、何もこんな暑い日にオープンカーじゃなくても良かったんじゃないか? 何より冷房が使えんのは正直堪えるぜ……」
そんな折り、ラディッツの野郎が愚痴り出した。また始まったか。
「ん~? けどよ、こうやって風切って走ってっと、生きてるって実感湧くだろ? それに施設にゃ冷房なんてねえぞ?」
「そんな事は分かってる……だがな、施設云々より、オレ達は自在に飛べるじゃないか。何もわざわざ車で風を切る必要もないだろ」
「そっかあ?」
「それに舞空術で飛んで行きゃ、あっという間に着くじゃないか」
……ったく、面倒臭ぇ野郎だな。
「ラディッツよ、お前はとことん不幸な野郎だな」
後部座席でゆったり煙草を吹かしていたオレが口を挟む。
「親父、急に何だよ?」
ラディッツがオレに面を向ける。訝しい表情でだ。
「良いか、ラディッツ。世の中にはな、一見無駄に思える事が、実は裏を返せば重要事項だったりするんだぜ?」
「……例えば何だよ?」
まだ腑に落ちねえらしいラディッツは、益々眉をひそめる。
「そうだな、情けは人の為ならずって諺があんだろ?」
「あ? ああ……」
「オレ達が地球を守るのは、自分達の未来を守る為だ。だが、一方でその事実を知る人間は極少数だ。それでも、わざわざ感謝される為にやってる行動じゃねえのは、お前も承知してんだろ?」
「親父、つまり何が言いたい?」
まだ分からねえのか、コイツは……相変わらず鈍いヤツだ。
「だからよ、周りの環境や状況に因って、イチイチ振り回されるなってこった。どんなに悪条件でも、それすら楽しみに変えるぐらいの気概で生きろ」
「……」
「そうすりゃ、一見不幸に思える出来事も、己を成長させる為の糧になる。そうなりゃ、人生捨てたもんじゃねえって思えんだろうが」
オレはそうして己を鼓舞して生き抜いてきた。どこまでもストイックにな……。
「お、親父……車の話はどこにいったんだよ。オレは暑いから冷房と舞空術の話をしてんだぞ?」
「それが何だ。それこそ、心頭を滅却すれば火もまた涼しだろうが。要は己の心掛け一つで、良い様にも悪い様にも受け取れんだよ」
「ハァ、もう訳が分からん……」
「ははは、兄ちゃん言い負かされっぱなしだな! つまりよ、父ちゃんにゃ口でも実力でも敵わねえって事だろ?」
普段マイペースなカカロットだが、どうやらオレの意図が伝わっているようだな。
ま、突き詰めりゃ物事に良いも悪いもねえんだがな。そいつはただ人間が判断してるだけの事柄だからな。それで、イチイチ一喜一憂するこたねえんだ。
「それより、カカロット。目的地まで、後どれぐらい掛かるんだ?」
「んーと、後二時間足らずってとこか。男だけのドライブはもうちょい続くぞ♪」
オレの問いに、カカロットは軽快に答えた。
「はあ!? 二時間だとっ!? ……ったく、勘弁しろよ」
「ラディッツよ、そろそろ観念して親子水入らずのドライブを楽しめ。分かったな?」
「ハァ、分かった分かった……精々努力してみるぜ」
「そうしろ」
オレは薄く笑みを浮かべる。
「ハァ、相も変わらず理不尽な親父だな……」
「あ? 何か言ったか?」
「な、何でもねえよ!」
「ははは! やっぱ、父ちゃん達はおっもしれえなあ!」
カカロットの笑い声が広野に響き渡る。
そんなこんなで、オレらを乗せたオープンカーは目的地までスピードを上げたまま、地平線を駆け抜けて行くのだった。
真っ赤なオープンカーの運転席でカカロットがハンドルを握り、広野を疾走していた。
助手席にはラディッツ、後部座席にはオレが陣取っている。
いよいよ夏本番の今日は日差しが強く照りつけ、各々サングラスを身に付けて紫外線を避けていた。
オレ達は今、海辺でキャンプをする為、グランピング施設に向かっている。
嫁はブルマ宅に泊まり込みの為、急遽決行に至った訳だ。
外泊直前まで、自分も行きたいと残念がっていたが、ブルマと仲が良い嫁の事だ。何だかんだ、上手くやってんだろうぜ。
振り仰げば、空は雲一つない快晴。
グランピングにはもってこいの日和だが、夏とはいえ太陽の日差しが多少うざくも感じる。
だが、そこは割り切って気にしねえようにしていた。
カカロットは機嫌良く、鼻歌交じりにハンドル操作している。
ヤツは誰にも気兼ねせず、ハイスピードで運転している為、タイヤは砂埃を巻き上げて爆走中だ。
マフラーの排気音はでかく、ここが広野で他には車や人が通らない為、誰の迷惑にもならねえのが幸いだ。
「カカロットよ、何もこんな暑い日にオープンカーじゃなくても良かったんじゃないか? 何より冷房が使えんのは正直堪えるぜ……」
そんな折り、ラディッツの野郎が愚痴り出した。また始まったか。
「ん~? けどよ、こうやって風切って走ってっと、生きてるって実感湧くだろ? それに施設にゃ冷房なんてねえぞ?」
「そんな事は分かってる……だがな、施設云々より、オレ達は自在に飛べるじゃないか。何もわざわざ車で風を切る必要もないだろ」
「そっかあ?」
「それに舞空術で飛んで行きゃ、あっという間に着くじゃないか」
……ったく、面倒臭ぇ野郎だな。
「ラディッツよ、お前はとことん不幸な野郎だな」
後部座席でゆったり煙草を吹かしていたオレが口を挟む。
「親父、急に何だよ?」
ラディッツがオレに面を向ける。訝しい表情でだ。
「良いか、ラディッツ。世の中にはな、一見無駄に思える事が、実は裏を返せば重要事項だったりするんだぜ?」
「……例えば何だよ?」
まだ腑に落ちねえらしいラディッツは、益々眉をひそめる。
「そうだな、情けは人の為ならずって諺があんだろ?」
「あ? ああ……」
「オレ達が地球を守るのは、自分達の未来を守る為だ。だが、一方でその事実を知る人間は極少数だ。それでも、わざわざ感謝される為にやってる行動じゃねえのは、お前も承知してんだろ?」
「親父、つまり何が言いたい?」
まだ分からねえのか、コイツは……相変わらず鈍いヤツだ。
「だからよ、周りの環境や状況に因って、イチイチ振り回されるなってこった。どんなに悪条件でも、それすら楽しみに変えるぐらいの気概で生きろ」
「……」
「そうすりゃ、一見不幸に思える出来事も、己を成長させる為の糧になる。そうなりゃ、人生捨てたもんじゃねえって思えんだろうが」
オレはそうして己を鼓舞して生き抜いてきた。どこまでもストイックにな……。
「お、親父……車の話はどこにいったんだよ。オレは暑いから冷房と舞空術の話をしてんだぞ?」
「それが何だ。それこそ、心頭を滅却すれば火もまた涼しだろうが。要は己の心掛け一つで、良い様にも悪い様にも受け取れんだよ」
「ハァ、もう訳が分からん……」
「ははは、兄ちゃん言い負かされっぱなしだな! つまりよ、父ちゃんにゃ口でも実力でも敵わねえって事だろ?」
普段マイペースなカカロットだが、どうやらオレの意図が伝わっているようだな。
ま、突き詰めりゃ物事に良いも悪いもねえんだがな。そいつはただ人間が判断してるだけの事柄だからな。それで、イチイチ一喜一憂するこたねえんだ。
「それより、カカロット。目的地まで、後どれぐらい掛かるんだ?」
「んーと、後二時間足らずってとこか。男だけのドライブはもうちょい続くぞ♪」
オレの問いに、カカロットは軽快に答えた。
「はあ!? 二時間だとっ!? ……ったく、勘弁しろよ」
「ラディッツよ、そろそろ観念して親子水入らずのドライブを楽しめ。分かったな?」
「ハァ、分かった分かった……精々努力してみるぜ」
「そうしろ」
オレは薄く笑みを浮かべる。
「ハァ、相も変わらず理不尽な親父だな……」
「あ? 何か言ったか?」
「な、何でもねえよ!」
「ははは! やっぱ、父ちゃん達はおっもしれえなあ!」
カカロットの笑い声が広野に響き渡る。
そんなこんなで、オレらを乗せたオープンカーは目的地までスピードを上げたまま、地平線を駆け抜けて行くのだった。