★Memories
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Desire―願う―
【聖なる夜の贈り物】
今日は結婚してから初めてのクリスマス。バーダックの提案で、トーマさんとセリパさんを招いてのホームパーティーを開くことになった。
前にバーダックが手料理を二人に振る舞ったけど、今度は彼との共同でクリスマスケーキを作っていた。
今回は出来合いが殆どで、ケーキだけは手作りと決めて二人に喜んで貰う為に奮闘する。途中、生クリームを味見したけど、ちょうど良い甘さでなかなか美味しく出来たと思う。最後にデコレーションして準備はOK。
「上手くできたね」
「ま、初めてにしちゃあな」
「あ、バーダック。ほっぺにクリームついてるよ」
「あ? どこだ?」
夫は手探りで、生クリームを取ろうとしている。
結果、顔中クリームだらけ。
「あ~あ……ほら、取ってあげるから大人しくして」
夫は舌打ちして、手を下ろした。
「……早くしろ」
「はいはい、ちょっと待って」
私はタオルをぬるま湯で濡らし、きつく絞って、バーダックの顔を一応丁寧に拭いていく。
「む……もう少し優しくしろよな」
「充分優しいでしょうが」
仕上げに彼の鼻をタオルの上から摘まんで離した。
「ぐ……てめえ、後で覚えてろよ」
「知りませーん。それより、もうすぐトーマさん達が来る頃だよ。早くテーブルセッティングしなきゃ!」
「わぁーってるよ」
私達は協力してテーブルセッティングに勤しんだ。
一時間後。
玄関のチャイムが鳴り響いた。
「来たね」
「ああ」
玄関に移動してドアを開けると、二人が笑顔で玄関ポーチに立っていた。
「二人とも、いらっしゃい!」
「待ってたぜ」
「おーバーダック! 雪が降って来たから早く入れてくれ! 寒くて敵わん!」
「来て早々に我が儘言うんじゃないよ、トーマ」
セリパさんがトーマさんの耳を引っ張って諫めた。
「痛てて! セリパ! 耳離してくれよ!」
「いいから大人しくしてな! 悪いね、バーダック」
「構いやしねえよ。それより、トーマを離してやれよ、セリパ。じゃねえと、そいつの耳が千切れるぞ」
「しょうがないね、バーダックはトーマに甘いんだからさ」
セリパさんはトーマさんの耳を離して、お手上げする。
「た、助かったぜ……サンキューな、バーダック」
「ああ。それより、早く上がれよ。風邪ひくぞ」
バーダックの鶴の一声で二人は部屋に上がり、程なくしてホームパーティーが始まった。
「メリークリスマス!」
シャンパンで乾杯した私達は、思い思いに食事を楽しんだ。
トーマさん達は殆ど出来合いの料理を喜んで食べてくれる。それはちょっと申し訳ないけど、ケーキに時間を掛けた分だけ喜んでくれたら嬉しいな。
更に一時間後。宴もたけなわになり、クリスマスプレゼントを交換し合う。
私とバーダックが、二人に温泉入浴剤のセットを贈ると。
「ありがとよ、バーダックに奥さんも。ありがたく使わせて貰うぜ。なあ、セリパ」
「ああ、嬉しいよ。毎日使う物だからね。これから風呂に入るのが楽しみだよ」
二人は、特にセリパさんが満面に笑みを湛えて喜んでくれた。
「良かった。私達が好んで使ってる物だから、二人も絶対気に入ってくれると思ったのよね」
そして、その二人からのプレゼントは。
「クマの、ぬいぐるみ?」
特大のテディベア。
「随分でかい荷物だと思っていたが、これをオレらでどうしろってんだよ?」
バーダックが私の思いを代弁してくれた。
「だからよ、その内子供が出来んだろ? ちょっと早いがその子にあげてくれ」
「はあ? お前、幾らなんでも気が早いだろ」
夫は呆れ果てている。
「アタシは反対したんだけどね、トーマがどうしてもって聞かなくてさ」
「オレはガキか」
「似たようなもんだろ、男なんて幾つになっても子供だよ」
セリパさんは涼しげな顔でシャンパンを呷っている。
「ぐっ……悔しいが、何も言い返せねえ」
「はははっ! 尻に敷かれてるな、トーマよ?」
「ああ、口じゃセリパには敵わんな」
肩を竦めるトーマさん。
「ガキといや、こいつもかなりガキっぽいからトーマと同等かもな」
バーダックがニヤリと笑って、私の頭を軽く叩く。
「何よ、それ。私のどこが子供っぽいのよ!?」
「そうやって、すぐムキになる所だ」
「う……」
まさに、さっきの仕返しをされた感じ……。
「……どーせ私は子供ですよーだ」
途端、皆の笑い声が部屋に響き渡る。
楽しい時間はあっという間で、残るはケーキを食べるだけ。
「私達特製のクリスマスケーキだよ」
「あ、ケーキか……」
私がテーブルにケーキと紅茶を出すと、何故かセリパさんの顔が曇る。
「どうかしたの?」
「実はアタシ達も買ってきたんだよ、ブッシュドノエル」
「そ、そうなの?」
しばらく沈黙が訪れる。
「それじゃあ、両方食べないかい? せっかくのケーキなんだからさ。ね、トーマ?」
「ああ、もちろんだ。オレは幾らでも食えるぜ!」
トーマさんは自らの胸を叩く。
「ありがとう、二人とも。すぐ支度するね」
私はセリパさんからケーキの箱を受け取り、超特急でケーキを用意した。
私達合作のクリスマスケーキは、トーマさんとセリパさんを満面の笑みにするには充分だった。バーダックも満足そうで良かったな。
こうして、ちょっとしたアクシデントはあったものの、和やかな雰囲気でホームパーティーは幕を閉じた。
二人だけのクリスマスも良いけど、気の合う友人とのひとときも大切だと思う、聖なる夜だった。
【聖なる夜の贈り物】
今日は結婚してから初めてのクリスマス。バーダックの提案で、トーマさんとセリパさんを招いてのホームパーティーを開くことになった。
前にバーダックが手料理を二人に振る舞ったけど、今度は彼との共同でクリスマスケーキを作っていた。
今回は出来合いが殆どで、ケーキだけは手作りと決めて二人に喜んで貰う為に奮闘する。途中、生クリームを味見したけど、ちょうど良い甘さでなかなか美味しく出来たと思う。最後にデコレーションして準備はOK。
「上手くできたね」
「ま、初めてにしちゃあな」
「あ、バーダック。ほっぺにクリームついてるよ」
「あ? どこだ?」
夫は手探りで、生クリームを取ろうとしている。
結果、顔中クリームだらけ。
「あ~あ……ほら、取ってあげるから大人しくして」
夫は舌打ちして、手を下ろした。
「……早くしろ」
「はいはい、ちょっと待って」
私はタオルをぬるま湯で濡らし、きつく絞って、バーダックの顔を一応丁寧に拭いていく。
「む……もう少し優しくしろよな」
「充分優しいでしょうが」
仕上げに彼の鼻をタオルの上から摘まんで離した。
「ぐ……てめえ、後で覚えてろよ」
「知りませーん。それより、もうすぐトーマさん達が来る頃だよ。早くテーブルセッティングしなきゃ!」
「わぁーってるよ」
私達は協力してテーブルセッティングに勤しんだ。
一時間後。
玄関のチャイムが鳴り響いた。
「来たね」
「ああ」
玄関に移動してドアを開けると、二人が笑顔で玄関ポーチに立っていた。
「二人とも、いらっしゃい!」
「待ってたぜ」
「おーバーダック! 雪が降って来たから早く入れてくれ! 寒くて敵わん!」
「来て早々に我が儘言うんじゃないよ、トーマ」
セリパさんがトーマさんの耳を引っ張って諫めた。
「痛てて! セリパ! 耳離してくれよ!」
「いいから大人しくしてな! 悪いね、バーダック」
「構いやしねえよ。それより、トーマを離してやれよ、セリパ。じゃねえと、そいつの耳が千切れるぞ」
「しょうがないね、バーダックはトーマに甘いんだからさ」
セリパさんはトーマさんの耳を離して、お手上げする。
「た、助かったぜ……サンキューな、バーダック」
「ああ。それより、早く上がれよ。風邪ひくぞ」
バーダックの鶴の一声で二人は部屋に上がり、程なくしてホームパーティーが始まった。
「メリークリスマス!」
シャンパンで乾杯した私達は、思い思いに食事を楽しんだ。
トーマさん達は殆ど出来合いの料理を喜んで食べてくれる。それはちょっと申し訳ないけど、ケーキに時間を掛けた分だけ喜んでくれたら嬉しいな。
更に一時間後。宴もたけなわになり、クリスマスプレゼントを交換し合う。
私とバーダックが、二人に温泉入浴剤のセットを贈ると。
「ありがとよ、バーダックに奥さんも。ありがたく使わせて貰うぜ。なあ、セリパ」
「ああ、嬉しいよ。毎日使う物だからね。これから風呂に入るのが楽しみだよ」
二人は、特にセリパさんが満面に笑みを湛えて喜んでくれた。
「良かった。私達が好んで使ってる物だから、二人も絶対気に入ってくれると思ったのよね」
そして、その二人からのプレゼントは。
「クマの、ぬいぐるみ?」
特大のテディベア。
「随分でかい荷物だと思っていたが、これをオレらでどうしろってんだよ?」
バーダックが私の思いを代弁してくれた。
「だからよ、その内子供が出来んだろ? ちょっと早いがその子にあげてくれ」
「はあ? お前、幾らなんでも気が早いだろ」
夫は呆れ果てている。
「アタシは反対したんだけどね、トーマがどうしてもって聞かなくてさ」
「オレはガキか」
「似たようなもんだろ、男なんて幾つになっても子供だよ」
セリパさんは涼しげな顔でシャンパンを呷っている。
「ぐっ……悔しいが、何も言い返せねえ」
「はははっ! 尻に敷かれてるな、トーマよ?」
「ああ、口じゃセリパには敵わんな」
肩を竦めるトーマさん。
「ガキといや、こいつもかなりガキっぽいからトーマと同等かもな」
バーダックがニヤリと笑って、私の頭を軽く叩く。
「何よ、それ。私のどこが子供っぽいのよ!?」
「そうやって、すぐムキになる所だ」
「う……」
まさに、さっきの仕返しをされた感じ……。
「……どーせ私は子供ですよーだ」
途端、皆の笑い声が部屋に響き渡る。
楽しい時間はあっという間で、残るはケーキを食べるだけ。
「私達特製のクリスマスケーキだよ」
「あ、ケーキか……」
私がテーブルにケーキと紅茶を出すと、何故かセリパさんの顔が曇る。
「どうかしたの?」
「実はアタシ達も買ってきたんだよ、ブッシュドノエル」
「そ、そうなの?」
しばらく沈黙が訪れる。
「それじゃあ、両方食べないかい? せっかくのケーキなんだからさ。ね、トーマ?」
「ああ、もちろんだ。オレは幾らでも食えるぜ!」
トーマさんは自らの胸を叩く。
「ありがとう、二人とも。すぐ支度するね」
私はセリパさんからケーキの箱を受け取り、超特急でケーキを用意した。
私達合作のクリスマスケーキは、トーマさんとセリパさんを満面の笑みにするには充分だった。バーダックも満足そうで良かったな。
こうして、ちょっとしたアクシデントはあったものの、和やかな雰囲気でホームパーティーは幕を閉じた。
二人だけのクリスマスも良いけど、気の合う友人とのひとときも大切だと思う、聖なる夜だった。