★Memories
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Desire―願う―
【Best of Bath Time】
立春を過ぎたある夜、夕飯の支度をしている時だった。春の気配を知らせる割には、今夜は一段と冷え込む。だから、腕によりをかけて鍋料理を作っていると、玄関で物音がしてバーダックの帰宅を知らせる。
「今帰った」
「お帰りなさい……って大変、髪が濡れてるじゃない」
「ああ、雪が降って来たからな。今夜は特に冷えるぜ」
「ちょっと待ってて。今すぐタオル持って来るから」
私がその場を離れようとしたら、バーダックが言った。
「タオルは必要ねえよ。それより風呂沸いてるか?」
「沸いてるよ。ご飯の前に入る?」
「そうするぜ。ついでだ、お前も付き合えよ」
バーダックがしれっと言って退ける。
「私は後でいいよ」
「遠慮するな。それに土産もあるんだぜ」
お風呂とお土産が一体何の関係があるのよ……そうか、また何か企んでるのね。その手には乗らないんだから!
「お土産は後にして、お風呂が先でしょ?」
私は素知らぬ振りをして問いかけた。
「せっかくセリパがお前の為に寄越した土産だ。つべこべ言わずに今すぐ見てみろよ」
そう言って、バーダックは手にしていた紙袋を私に押しつける。
「セリパさんから?」
予想外の名前を耳にして、まさか無視するわけにもいかず、困った私は仕方なくそれを受け取った。
「開けてみろよ」
夫に促されるまま、私は紙袋から何やら白い正方形の箱を取り出す。
「何だろう?」
セリパさんからの贈り物なんて初めてだから、自然と胸が高鳴り、私は期待を籠めて箱を開けた。
そこには鮮やかなピンク色の薔薇の形を模した固形物が、9つも綺麗に収まっている。その美しさと細やかさはまるで本物の花みたい。
「わぁ、凄い! 何これ!?」
「薔薇の入浴剤だとよ。風呂に入れると、泡風呂が楽しめるらしい」
「泡風呂!? 入りたいっ!」
そこまで言って、私ははっと口を噤む。
「言ったな? じゃあ、オレと今すぐ入るぞ、若奥様?」
「っ……」
そうか、これはまんまと嵌められたってわけね。悪い予感がしてたのにこんな子供騙しに引っ掛かるなんて、バーダックの悪知恵が働くっていうか、 私も成長しないっていうか ……どう考えても後者か。
がっくりと肩を落とす私を余所に、夫から横抱きにされてお風呂場に連れ去られてしまう。
このマンションを借りる決め手になったのは、広々とした浴槽と冬でも安心の浴室暖房が気に入ったからだ。大人が二人で入っても悠々浸かれるくらいの広さ。
その広い湯船に、脚を伸ばして背後から抱き締められる格好で浸かっていた。
肝心の薔薇の入浴剤はというと、私達の身体はすっかり泡に塗れて、ほっと安堵するような優しい香りに包まれていた。
「感想はどうだ?」
「……悔しいけど、気持ちいいわよ。でも、プレゼントしてくれたのがセリパさんだから一緒に入ったんだからね? バーダックだったら、絶対何か魂胆があるんだろうし」
「へいへい、セリパにはお前が諸手を挙げて悦んでたって伝えとくぜ。アイツも鼻が高いだろうよ」
「もう、ホントに調子いいんだから」
「そうぶうたれるなよ。せっかくの泡風呂なんだ。楽しもうぜ、色々とな」
「何言って……」
私がそう言いかけた時、バーダックの手が私の胸に回され、思わず肩が跳ね上がる。
「ちょっ……!」
「セリパがくれたチャンスだ。利用しない手はねえだろ」
意味不明なことを洩らしながらも、泡に塗れた大きな手でゆっくりと胸を揉み始めた。
幸か不幸か、泡の滑りがよく、ぬるぬるした感触が胸を覆い尽くす。
「ぁ……これが目当て、だったのね……?」
身を捩って逃れようとするけど、後ろから抱き締められている夫の力に敵う筈もない。
寧ろ、暴れれば暴れる分だけ、夫の手は私の身体を滑っていき、いいように弄ばれるだけ。
「お前も学習しねえな。オレの性格をよ」
背後でいかにも楽しげにくつくつと笑うバーダックに、私はぐうの音も出ない。
結局はバーダックの目論見に嵌まり、最後まで夫の餌食になってしまうのだった。
後から知った話だけど、セリパさんから薔薇の入浴剤を貰ったのは、あろうことかバーダックが彼女にいつもと違うシチュエーションで楽しみたいだとか何だとか宣った。その結果、セリパさんがどこぞの有名な店からお買い上げした品だったらしい。
うぅ、セリパさんにまでバーダックの魔の手が及んでたなんて、不覚にも全く気づかなかった私って一体……。
けれど、夫のいいようにはされたものの、何だかんだで泡風呂で極上のバスタイムを過ごせたのは幸運なのかなと、密かにセリパさんに感謝の念を抱いていた。
【Best of Bath Time】
立春を過ぎたある夜、夕飯の支度をしている時だった。春の気配を知らせる割には、今夜は一段と冷え込む。だから、腕によりをかけて鍋料理を作っていると、玄関で物音がしてバーダックの帰宅を知らせる。
「今帰った」
「お帰りなさい……って大変、髪が濡れてるじゃない」
「ああ、雪が降って来たからな。今夜は特に冷えるぜ」
「ちょっと待ってて。今すぐタオル持って来るから」
私がその場を離れようとしたら、バーダックが言った。
「タオルは必要ねえよ。それより風呂沸いてるか?」
「沸いてるよ。ご飯の前に入る?」
「そうするぜ。ついでだ、お前も付き合えよ」
バーダックがしれっと言って退ける。
「私は後でいいよ」
「遠慮するな。それに土産もあるんだぜ」
お風呂とお土産が一体何の関係があるのよ……そうか、また何か企んでるのね。その手には乗らないんだから!
「お土産は後にして、お風呂が先でしょ?」
私は素知らぬ振りをして問いかけた。
「せっかくセリパがお前の為に寄越した土産だ。つべこべ言わずに今すぐ見てみろよ」
そう言って、バーダックは手にしていた紙袋を私に押しつける。
「セリパさんから?」
予想外の名前を耳にして、まさか無視するわけにもいかず、困った私は仕方なくそれを受け取った。
「開けてみろよ」
夫に促されるまま、私は紙袋から何やら白い正方形の箱を取り出す。
「何だろう?」
セリパさんからの贈り物なんて初めてだから、自然と胸が高鳴り、私は期待を籠めて箱を開けた。
そこには鮮やかなピンク色の薔薇の形を模した固形物が、9つも綺麗に収まっている。その美しさと細やかさはまるで本物の花みたい。
「わぁ、凄い! 何これ!?」
「薔薇の入浴剤だとよ。風呂に入れると、泡風呂が楽しめるらしい」
「泡風呂!? 入りたいっ!」
そこまで言って、私ははっと口を噤む。
「言ったな? じゃあ、オレと今すぐ入るぞ、若奥様?」
「っ……」
そうか、これはまんまと嵌められたってわけね。悪い予感がしてたのにこんな子供騙しに引っ掛かるなんて、バーダックの悪知恵が働くっていうか、 私も成長しないっていうか ……どう考えても後者か。
がっくりと肩を落とす私を余所に、夫から横抱きにされてお風呂場に連れ去られてしまう。
このマンションを借りる決め手になったのは、広々とした浴槽と冬でも安心の浴室暖房が気に入ったからだ。大人が二人で入っても悠々浸かれるくらいの広さ。
その広い湯船に、脚を伸ばして背後から抱き締められる格好で浸かっていた。
肝心の薔薇の入浴剤はというと、私達の身体はすっかり泡に塗れて、ほっと安堵するような優しい香りに包まれていた。
「感想はどうだ?」
「……悔しいけど、気持ちいいわよ。でも、プレゼントしてくれたのがセリパさんだから一緒に入ったんだからね? バーダックだったら、絶対何か魂胆があるんだろうし」
「へいへい、セリパにはお前が諸手を挙げて悦んでたって伝えとくぜ。アイツも鼻が高いだろうよ」
「もう、ホントに調子いいんだから」
「そうぶうたれるなよ。せっかくの泡風呂なんだ。楽しもうぜ、色々とな」
「何言って……」
私がそう言いかけた時、バーダックの手が私の胸に回され、思わず肩が跳ね上がる。
「ちょっ……!」
「セリパがくれたチャンスだ。利用しない手はねえだろ」
意味不明なことを洩らしながらも、泡に塗れた大きな手でゆっくりと胸を揉み始めた。
幸か不幸か、泡の滑りがよく、ぬるぬるした感触が胸を覆い尽くす。
「ぁ……これが目当て、だったのね……?」
身を捩って逃れようとするけど、後ろから抱き締められている夫の力に敵う筈もない。
寧ろ、暴れれば暴れる分だけ、夫の手は私の身体を滑っていき、いいように弄ばれるだけ。
「お前も学習しねえな。オレの性格をよ」
背後でいかにも楽しげにくつくつと笑うバーダックに、私はぐうの音も出ない。
結局はバーダックの目論見に嵌まり、最後まで夫の餌食になってしまうのだった。
後から知った話だけど、セリパさんから薔薇の入浴剤を貰ったのは、あろうことかバーダックが彼女にいつもと違うシチュエーションで楽しみたいだとか何だとか宣った。その結果、セリパさんがどこぞの有名な店からお買い上げした品だったらしい。
うぅ、セリパさんにまでバーダックの魔の手が及んでたなんて、不覚にも全く気づかなかった私って一体……。
けれど、夫のいいようにはされたものの、何だかんだで泡風呂で極上のバスタイムを過ごせたのは幸運なのかなと、密かにセリパさんに感謝の念を抱いていた。