★Memories
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Desire―願う―
【捕われた新妻】
結婚してから今日までの一ヶ月、本当に怒涛の毎日だった。
結婚後の挨拶回りも新婚旅行も済ませたけど、まだ新居のこととか、今後も仕事を続けるか否かも考えなくちゃならないことが残ってる。
そんなある金曜の夕方、仕事を終えて帰宅した私はお風呂を沸かして、彼の帰りを待ちながら夕飯のシチューを作る。
最近寒暖の差が激しくなってきたので、きっと彼が喜んでくれると思いながら、隠し味に愛情込めて炊事に没頭した。
すると玄関の扉が開いてバーダックの帰宅を知らせる。
「今帰ったぜ」
「お帰りなさい、旦那様」
「何だ、その呼び方」
「ふふ、昔風で良いでしょ、愛しの旦那様!」
お玉片手に空いた手でバーダックの頬を、つんと突く。
すると少し疲労の色が見える旦那様がニヤッと口の端を上げて、私の手を取り、軽く口づける。
「なら若奥様、早いところ飯にしてくれ」
「何よ、その呼び方」
「旦那様の対義語は奥様だろ」
「まあ、そうだけど」
「おら、早くしろ」
「はーい」
私の旦那様は結婚後もオレ様ぶりを遺憾なく発揮している。実に彼らしいけど。
彼が部屋着に着替えてテレビを観ている間、手早くテーブルに料理を並べる。本日の献立はクリームシチューにロールパン、シーザーサラダ。やっぱり寒い日は鍋かシチューに限る。
「美味そうだな」
「どうぞ、召し上がれ」
彼が食事を始めたのを見届けてから、私もパンを千切ってシチューにつけて口にする。
うん、いつもの味だ。もちろん味見もしてるけど、改めて食べると濃厚で深い味わいが口の中に広がり、何とも言えない幸福に包まれる。
「このシチュー美味いな。いつもの味だ」
「えへへ、同じ同じ!」
「何がだ?」
「私も全く同じ意見ってこと。やっぱり夫婦だね」
「ふっ、まだまだ新米夫婦だがな」
「そだね」
サラダをつつきながら私は苦笑いで返す。
「じゃあよ、1つ質問するが……夫婦ならオレが今考えてること分かるか?」
「バーダックが今考えてること?」
質問に質問で返すと、旦那様はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
うっ、この笑みは何か企んでる顔だ!
私が反射的に身構えると、彼は意外なことを口にする。
「ほら、早く答えろよ。正解したら褒美をやるぜ」
「えっ、ご褒美!?」
ご褒美という魅惑的な言葉に思わず心が弾み出す。
それに釣られた私は真剣に考え、ある1つの答えを導き出した。
「うーんとね、仕事で疲れてるだろうから、早くお風呂に入って寝たいんじゃないの?」
何せ疲れた顔してたもんね。これで当たりでしょ!
「へえ? 本当にその答えで良いんだな?」
「う、うん」
そう言われると、ちょっと自信ないけど……。
旦那様は何故か勝ち誇った笑みを浮かべた。どっちにも取れるけど、もしかして?
その笑顔に私は期待に胸を膨らませる。
「当たった?」
「残念ながら、ハズレだ」
「えーっ!? 違うの!?」
あーあ、がっかり……期待して損した。
「ククッ、もっとオレの思考回路を理解する能力を養えよ、若奥様」
「くっ、悔しい!」
新米だから仕方ないと思いつつも、やっぱり悔しいモノは悔しいのだ。
「さて、不正解の若奥様にはお仕置きが必要だよな?」
「そんなの聞いてないよ!?」
「まあ、言ってねえからな。それに先に言っちまえば、どうせお前乗ってこねえだろ」
……しっかり見抜かれてる。
「でも、でもっ! まだ正解聞いてないし!」
「ああ、正解はな……」
旦那様は思わず憎らしくなるほど最上級の艶(あで)やかな笑みを浮かべて、
「お前と風呂に入って、取り敢えず一度抱くだろ。風呂から上がったら、ベッドでお前の気が狂うまで愛撫して、オレの精が果てるまでお前を抱く」
等と何とも世にも恐ろしい発言を宣った。
「い、嫌よ! っていうか、そんなの当たる筈ないし、仮に当たったとしても嬉しい訳ないじゃない!」
「そんなことねえだろ。正解してりゃ、褒美が貰えたんだからな」
「それだって、どうせ私には得にならないんじゃないの!?」
私はフンッと顔を背ける。
「正解してた場合はな、お前の好きな場所でデートする予定だったんだぜ?」
「……え?」
「あとはお前が好きな甘いモンでも食わせてやろうって考えてたな」
「あ……そこまで私のこと考えてくれてたなんて……それなのに、私……ごめんなさい」
旦那様の殊勝な発言で反省した私は、きちんと彼を見て素直に謝罪の言葉を紡ぐ。
「気にしてねえよ」
旦那様は立ち上がると、私の腕を掴んで立たされた。
「その分たっぷり気持ち良い思いさせてもらうからよ」
「ちょ、待っ……」
「待たねえ。行くぜ、愛しの若奥様」
「その呼び方狡い……」
こうして、私は旦那様の愛の罠にまんまと嵌まってしまうのだった。
【捕われた新妻】
結婚してから今日までの一ヶ月、本当に怒涛の毎日だった。
結婚後の挨拶回りも新婚旅行も済ませたけど、まだ新居のこととか、今後も仕事を続けるか否かも考えなくちゃならないことが残ってる。
そんなある金曜の夕方、仕事を終えて帰宅した私はお風呂を沸かして、彼の帰りを待ちながら夕飯のシチューを作る。
最近寒暖の差が激しくなってきたので、きっと彼が喜んでくれると思いながら、隠し味に愛情込めて炊事に没頭した。
すると玄関の扉が開いてバーダックの帰宅を知らせる。
「今帰ったぜ」
「お帰りなさい、旦那様」
「何だ、その呼び方」
「ふふ、昔風で良いでしょ、愛しの旦那様!」
お玉片手に空いた手でバーダックの頬を、つんと突く。
すると少し疲労の色が見える旦那様がニヤッと口の端を上げて、私の手を取り、軽く口づける。
「なら若奥様、早いところ飯にしてくれ」
「何よ、その呼び方」
「旦那様の対義語は奥様だろ」
「まあ、そうだけど」
「おら、早くしろ」
「はーい」
私の旦那様は結婚後もオレ様ぶりを遺憾なく発揮している。実に彼らしいけど。
彼が部屋着に着替えてテレビを観ている間、手早くテーブルに料理を並べる。本日の献立はクリームシチューにロールパン、シーザーサラダ。やっぱり寒い日は鍋かシチューに限る。
「美味そうだな」
「どうぞ、召し上がれ」
彼が食事を始めたのを見届けてから、私もパンを千切ってシチューにつけて口にする。
うん、いつもの味だ。もちろん味見もしてるけど、改めて食べると濃厚で深い味わいが口の中に広がり、何とも言えない幸福に包まれる。
「このシチュー美味いな。いつもの味だ」
「えへへ、同じ同じ!」
「何がだ?」
「私も全く同じ意見ってこと。やっぱり夫婦だね」
「ふっ、まだまだ新米夫婦だがな」
「そだね」
サラダをつつきながら私は苦笑いで返す。
「じゃあよ、1つ質問するが……夫婦ならオレが今考えてること分かるか?」
「バーダックが今考えてること?」
質問に質問で返すと、旦那様はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
うっ、この笑みは何か企んでる顔だ!
私が反射的に身構えると、彼は意外なことを口にする。
「ほら、早く答えろよ。正解したら褒美をやるぜ」
「えっ、ご褒美!?」
ご褒美という魅惑的な言葉に思わず心が弾み出す。
それに釣られた私は真剣に考え、ある1つの答えを導き出した。
「うーんとね、仕事で疲れてるだろうから、早くお風呂に入って寝たいんじゃないの?」
何せ疲れた顔してたもんね。これで当たりでしょ!
「へえ? 本当にその答えで良いんだな?」
「う、うん」
そう言われると、ちょっと自信ないけど……。
旦那様は何故か勝ち誇った笑みを浮かべた。どっちにも取れるけど、もしかして?
その笑顔に私は期待に胸を膨らませる。
「当たった?」
「残念ながら、ハズレだ」
「えーっ!? 違うの!?」
あーあ、がっかり……期待して損した。
「ククッ、もっとオレの思考回路を理解する能力を養えよ、若奥様」
「くっ、悔しい!」
新米だから仕方ないと思いつつも、やっぱり悔しいモノは悔しいのだ。
「さて、不正解の若奥様にはお仕置きが必要だよな?」
「そんなの聞いてないよ!?」
「まあ、言ってねえからな。それに先に言っちまえば、どうせお前乗ってこねえだろ」
……しっかり見抜かれてる。
「でも、でもっ! まだ正解聞いてないし!」
「ああ、正解はな……」
旦那様は思わず憎らしくなるほど最上級の艶(あで)やかな笑みを浮かべて、
「お前と風呂に入って、取り敢えず一度抱くだろ。風呂から上がったら、ベッドでお前の気が狂うまで愛撫して、オレの精が果てるまでお前を抱く」
等と何とも世にも恐ろしい発言を宣った。
「い、嫌よ! っていうか、そんなの当たる筈ないし、仮に当たったとしても嬉しい訳ないじゃない!」
「そんなことねえだろ。正解してりゃ、褒美が貰えたんだからな」
「それだって、どうせ私には得にならないんじゃないの!?」
私はフンッと顔を背ける。
「正解してた場合はな、お前の好きな場所でデートする予定だったんだぜ?」
「……え?」
「あとはお前が好きな甘いモンでも食わせてやろうって考えてたな」
「あ……そこまで私のこと考えてくれてたなんて……それなのに、私……ごめんなさい」
旦那様の殊勝な発言で反省した私は、きちんと彼を見て素直に謝罪の言葉を紡ぐ。
「気にしてねえよ」
旦那様は立ち上がると、私の腕を掴んで立たされた。
「その分たっぷり気持ち良い思いさせてもらうからよ」
「ちょ、待っ……」
「待たねえ。行くぜ、愛しの若奥様」
「その呼び方狡い……」
こうして、私は旦那様の愛の罠にまんまと嵌まってしまうのだった。