★Memories
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Desire―願う―
【夜桜に囲まれて…】
春の日差しが心地良い日曜の昼下がり。私達はカフェでティータイムを楽しんでいた。
「ん、これ美味しい!」
仄かに香る桜あんに生クリームが絶妙な桜のモンブランを、私は幸せな気持ちで食べる。それに、桜餅の香りのような紅茶も、上品な味わいでとても美味しい。
「ん~幸せ!」
それを向かい側の席で見ていたバーダックが口を開く。
「お前は食ってる時が1番幸せな顔してるよな」
「ムッ、失礼な。幸せを感じる時は他にもちゃんとあるよ」
「例えば、オレに抱かれてる時か?」
「ぶっ!」
彼の余りにも直接的な物言いに、思い切り吹き出してしまった。
「それ、セクハラ発言だよ」
人目を気にしつつ、身を乗り出して小声で反論する。
「セクハラじゃねえだろ。お前も喜んでるしな?」
彼は人目も憚らず、人聞きの悪い台詞を宣った。
周りのお客さんの冷たい視線を感じながらも、私はなるべくそれを気にしないようにして、口を開く。
「ちっとも喜んでません!」
「ハハッ!」
堪らず睨みつけるけど、当の本人は楽しげに笑ってコーヒーを飲んでいる。
この人に意見したところで、馬耳東風。全く意味を成さないので諦めるしかない。
気を取り直して、話題を変えることにした。
「ところで、今朝のテレビで観た桜のニュース覚えてる?」
「ああ、各所で満開の桜が映ってたな」
「そうそう、あれ見たらお花見したくなっちゃったよ!」
去年の今時分、2人でお弁当持って、近所の公園にお花見に出掛けたことを思い出す。
「確か、あん時はオレが人前でお前に――」
「それは言わないで!」
「何だよ、大声出しやがって。たかがキスぐらいでよ」
「たかがじゃないよ。私にとって、キスは大事なモノなの。バーダックはそれを全然分かってないんだから!」
バーダックとのキスは特別な行為。それを人前でされたことは、羞恥プレイ以外の何物でもない。
「あーオレが悪かった。機嫌直せよ」
機嫌を損ねつつも、私はあることを思い付いていた。
「……じゃあ、お花見に連れてってくれたら許してあげる」
「そんなことで良いのか。良いぜ、連れてってやるよ」
「ホント!? 実はね、夜桜見物に行きたいの。昔家族で見に行ったんだけど、夜桜がライトアップされてすごくキレイだったんだ」
「へえ。なら、早速今晩見に行くか?」
普段より幾分優しい瞳が、私を覗き込んでくる。
「うん、行きたい!」
「じゃ、行くか。で、肝心の場所は覚えてるのか?」
「それなら大丈夫。しっかり覚えてるから」
「なら、安心だな。そんじゃ、夕方まで街をぶらつくか」
私達はカフェを後にして、夕方になるまでウインドーショッピングで時間を潰した。
やがて、宵闇が迫り、夜桜を見るにはちょうど良い時間帯になる。
私はバーダックに目的の場所を伝えた。
「そろそろ行くか」
バーダックに人気のない路地で、もう何度目か分からない程のお姫様抱っこをされ、私は彼の首に腕を絡めた。
「飛ばすからしっかり掴まっとけよ」
「う、うん」
ふわりと空に浮き上がり、目的地へと物凄いスピードで飛ばしていく。
「もっとゆっくり飛んでよ!」
「ちんたらしてたら、帰りが遅くなんだろうが」
一向にスピードを緩めないバーダックに、私はギュッと目を瞑って彼の首にしがみついてるしかなかった。
それから約20分後。
「着いたぜ」
目的地に着いて地上に降ろされた時には、息も絶え絶え。
「だらしねえな」
「し、仕方ないでしょ……ジェットコースター以上のスリルだったんだから……」
「んなことより、ここでいいんだろ?」
息を整えて、辺りを見回す。到着したのは、私の住む街から1番近場の山奥。
「わぁ!」
目の前には、雪洞でライトアップされた満開の桜が闇夜に鮮やかに浮かんで、美しく咲き誇っていた。
「見事なもんだな」
「まさに圧巻だね。昔見に来た時以上だよ!」
ライトアップされた夜桜は一面ピンク色で、とても幻想的。太陽の下で楽しむお花見とは、また一味違った雰囲気だ。
「しかし、人気ねえな」
彼の言う通り、他に人の気配はない。
「うん。ここは滅多に人が来ない穴場なの」
「まるで貸し切り状態だな」
辺りを見回していた彼が私に視線を戻して、私の腰を抱き寄せる。
「さっきは悪かったな。たががキスなんて言っちまってよ。つい、あんな言い方しちまったが……本当はオレにとっても、お前とのキスが何より大事だ」
「ううん。それを聞けただけで充分だよ」
私はにっこりと笑う。
「なあ、キスしても良いか?」
「うん……ていうか、いつも断らないじゃん」
「ふっ、そうだな」
バーダックは満足そうな笑みを浮かべると、満開の夜桜に囲まれて、重ねるだけの優しいキスをくれた。
【夜桜に囲まれて…】
春の日差しが心地良い日曜の昼下がり。私達はカフェでティータイムを楽しんでいた。
「ん、これ美味しい!」
仄かに香る桜あんに生クリームが絶妙な桜のモンブランを、私は幸せな気持ちで食べる。それに、桜餅の香りのような紅茶も、上品な味わいでとても美味しい。
「ん~幸せ!」
それを向かい側の席で見ていたバーダックが口を開く。
「お前は食ってる時が1番幸せな顔してるよな」
「ムッ、失礼な。幸せを感じる時は他にもちゃんとあるよ」
「例えば、オレに抱かれてる時か?」
「ぶっ!」
彼の余りにも直接的な物言いに、思い切り吹き出してしまった。
「それ、セクハラ発言だよ」
人目を気にしつつ、身を乗り出して小声で反論する。
「セクハラじゃねえだろ。お前も喜んでるしな?」
彼は人目も憚らず、人聞きの悪い台詞を宣った。
周りのお客さんの冷たい視線を感じながらも、私はなるべくそれを気にしないようにして、口を開く。
「ちっとも喜んでません!」
「ハハッ!」
堪らず睨みつけるけど、当の本人は楽しげに笑ってコーヒーを飲んでいる。
この人に意見したところで、馬耳東風。全く意味を成さないので諦めるしかない。
気を取り直して、話題を変えることにした。
「ところで、今朝のテレビで観た桜のニュース覚えてる?」
「ああ、各所で満開の桜が映ってたな」
「そうそう、あれ見たらお花見したくなっちゃったよ!」
去年の今時分、2人でお弁当持って、近所の公園にお花見に出掛けたことを思い出す。
「確か、あん時はオレが人前でお前に――」
「それは言わないで!」
「何だよ、大声出しやがって。たかがキスぐらいでよ」
「たかがじゃないよ。私にとって、キスは大事なモノなの。バーダックはそれを全然分かってないんだから!」
バーダックとのキスは特別な行為。それを人前でされたことは、羞恥プレイ以外の何物でもない。
「あーオレが悪かった。機嫌直せよ」
機嫌を損ねつつも、私はあることを思い付いていた。
「……じゃあ、お花見に連れてってくれたら許してあげる」
「そんなことで良いのか。良いぜ、連れてってやるよ」
「ホント!? 実はね、夜桜見物に行きたいの。昔家族で見に行ったんだけど、夜桜がライトアップされてすごくキレイだったんだ」
「へえ。なら、早速今晩見に行くか?」
普段より幾分優しい瞳が、私を覗き込んでくる。
「うん、行きたい!」
「じゃ、行くか。で、肝心の場所は覚えてるのか?」
「それなら大丈夫。しっかり覚えてるから」
「なら、安心だな。そんじゃ、夕方まで街をぶらつくか」
私達はカフェを後にして、夕方になるまでウインドーショッピングで時間を潰した。
やがて、宵闇が迫り、夜桜を見るにはちょうど良い時間帯になる。
私はバーダックに目的の場所を伝えた。
「そろそろ行くか」
バーダックに人気のない路地で、もう何度目か分からない程のお姫様抱っこをされ、私は彼の首に腕を絡めた。
「飛ばすからしっかり掴まっとけよ」
「う、うん」
ふわりと空に浮き上がり、目的地へと物凄いスピードで飛ばしていく。
「もっとゆっくり飛んでよ!」
「ちんたらしてたら、帰りが遅くなんだろうが」
一向にスピードを緩めないバーダックに、私はギュッと目を瞑って彼の首にしがみついてるしかなかった。
それから約20分後。
「着いたぜ」
目的地に着いて地上に降ろされた時には、息も絶え絶え。
「だらしねえな」
「し、仕方ないでしょ……ジェットコースター以上のスリルだったんだから……」
「んなことより、ここでいいんだろ?」
息を整えて、辺りを見回す。到着したのは、私の住む街から1番近場の山奥。
「わぁ!」
目の前には、雪洞でライトアップされた満開の桜が闇夜に鮮やかに浮かんで、美しく咲き誇っていた。
「見事なもんだな」
「まさに圧巻だね。昔見に来た時以上だよ!」
ライトアップされた夜桜は一面ピンク色で、とても幻想的。太陽の下で楽しむお花見とは、また一味違った雰囲気だ。
「しかし、人気ねえな」
彼の言う通り、他に人の気配はない。
「うん。ここは滅多に人が来ない穴場なの」
「まるで貸し切り状態だな」
辺りを見回していた彼が私に視線を戻して、私の腰を抱き寄せる。
「さっきは悪かったな。たががキスなんて言っちまってよ。つい、あんな言い方しちまったが……本当はオレにとっても、お前とのキスが何より大事だ」
「ううん。それを聞けただけで充分だよ」
私はにっこりと笑う。
「なあ、キスしても良いか?」
「うん……ていうか、いつも断らないじゃん」
「ふっ、そうだな」
バーダックは満足そうな笑みを浮かべると、満開の夜桜に囲まれて、重ねるだけの優しいキスをくれた。