★Memories
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Desire―願う―
【Sweet Valentine】
今年も迎えたバレンタインデー。昨夜こっそり作ったブラウニーを、バーダックが出掛けている間に、キレイにラッピングすれば出来上がり。
ブラウニーは初心者でも失敗なく作れるとあって、張り切って挑戦してみた。
前回のバレンタインは散々なモノに終わったから、今年こそはまともなモノをあげたいと思っていたのだ。
試作品を味見してみたら、初めて作ったにしては上手く出来たと思う。
後は彼に渡すだけ。
そこへ、ガチャッと玄関のドアが開き、バーダックが帰って来た。
「おう、今帰ったぞ」
「お帰りなさい、バーダック」
彼は部屋に入って来るなり、ソファーにふんぞり返る。
その顔は険しく、眉間にシワが寄り、明らかに不機嫌なオーラを纏っていた。
「何か、機嫌悪いね。どうしたの?」
「ああ、いつもオレが吸ってる煙草の銘柄が売り切れでな。しょうがねえから別のコンビニに行ったんだが、そこでも売り切れてやがった」
「他のじゃダメなの?」
「ダメだ。いつものじゃねえと吸う意味がねえ。つーか、まずい銘柄のは死んでも吸いたくねえからな」
「ふーん」
愛煙家にもこだわりがあるのね。分かりたくもないけど。
「あーイラつくぜ」
バーダックが不機嫌だと、私にまでとばっちりを受けるかもしれない。
ここは、早々に機嫌を直してもらわなくちゃ!
「ねえ、バーダック。煙草の代わりと言ったらなんだけど、気分転換に甘い物なんてどうかな?」
「あ? 別に要らねえよ」
「まあまあ、そう言わないで。今日はバレンタインデーなんだよ?」
「バレンタイン……そういや、そうだったな。すっかり忘れてたぜ」
バーダックにしてみれば、バレンタインなんて関係ないとでも思ってるのかもしれない。
それでも女子にしてみれば、年に一度のバレンタインデーなんだから、最高の一日にしたい……って、わけで絶対受け取ってもらわないと!
私は気合いを入れ直して満面の笑みを浮かべると、彼の隣に腰掛けた。
「そういうわけで……私から、ハッピーバレンタイン!」
両手に持っていた箱をバーダックに差し出す。
「ああ、サンキュ。有り難く貰っとくぜ」
それを受け取ったバーダックは、ラッピングを解いて箱を開けた。
そこには、ハートの形に振り掛けた粉砂糖がポイントの、ブラウニーが現れる。
「おっ、美味そうじゃねえか。お前、頑張ったんだな」
「バーダックに食べて貰いたいから、ちょっと張り切っちゃった。どうしても失敗したくなかったから、ランクを下げたんだけどね。味は保証するよ」
「へえ、そうなのか」
すると、バーダックははたと何かを思いついたように、ニヤリと笑った。
「この菓子、お前が食べさせろよ?」
「へ?」
「お前が食べさせてくれたら、もっと美味くなると思うんだよな」
「でも……」
食べさせて貰ったことはあるけど、食べさせるのは今日が初めてなわけで、ちょっと恥ずかしい。
「おら、早くしろ」
「もう、しょうがないなぁ」
口では文句を言いつつ、満更でもない私。
箱を受け取った私は、ブラウニーを一つつまみ上げて、彼の口元へ持っていく。
「はい、あーん」
バーダックは口を開けてブラウニーに食らい付き、もぐもぐと口を動かして、じっくり味を確かめている様子。
「どうかな?」
ドキドキしながら、彼の反応を待つ。
「美味い。甘ったるくなくて、オレにはちょうどいい甘さだ。これなら合格点だな」
「良かったぁ」
「本当に上達したな、お前」
バーダックは手を伸ばして私の頭を優しく撫でる。
前回の大失敗を知っているからか、彼の反応は優しい。
「機嫌直った?」
「そうだな」
彼が徐に私の両手首を掴む。
次の瞬間、ソファーを背にして、バーダック越しに天井が見えた。
「オレの機嫌が直るには、お前からもう1つ貰いたいモンがある」
顔を近づけ、唇が触れ合いそうな距離で彼が囁く。
「分かるか? オレが喉から手が出る程欲しいモンだ」
私は生唾を飲み込む。
「もしかして……私?」
彼は面白そうに喉元で低く笑う。
「正解。オレのイラつきを解消出来るのはお前だけだからな」
そんな台詞とともにバーダックは唇を重ね合わせた。
けれど、すぐに唇を離してしまう。
「なあ、オレが好きか?」
「突然、何……?」
「答えろ」
「す……んんっ!」
答えようとした唇は塞がれてしまい、深く口づけられる。
何度もキスを交わした後、彼が唇を離して囁く。
「答えるまでずっと離さねえからな」
バーダックが好きかどうかなんて明白だ。彼以外考えられない。
そんなことを頭の隅で考えていたけど、次第に何も考えられなくなり、彼に溺れていく。
言葉通り、翌朝まで彼の腕の中から離してもらえないのだった。
【Sweet Valentine】
今年も迎えたバレンタインデー。昨夜こっそり作ったブラウニーを、バーダックが出掛けている間に、キレイにラッピングすれば出来上がり。
ブラウニーは初心者でも失敗なく作れるとあって、張り切って挑戦してみた。
前回のバレンタインは散々なモノに終わったから、今年こそはまともなモノをあげたいと思っていたのだ。
試作品を味見してみたら、初めて作ったにしては上手く出来たと思う。
後は彼に渡すだけ。
そこへ、ガチャッと玄関のドアが開き、バーダックが帰って来た。
「おう、今帰ったぞ」
「お帰りなさい、バーダック」
彼は部屋に入って来るなり、ソファーにふんぞり返る。
その顔は険しく、眉間にシワが寄り、明らかに不機嫌なオーラを纏っていた。
「何か、機嫌悪いね。どうしたの?」
「ああ、いつもオレが吸ってる煙草の銘柄が売り切れでな。しょうがねえから別のコンビニに行ったんだが、そこでも売り切れてやがった」
「他のじゃダメなの?」
「ダメだ。いつものじゃねえと吸う意味がねえ。つーか、まずい銘柄のは死んでも吸いたくねえからな」
「ふーん」
愛煙家にもこだわりがあるのね。分かりたくもないけど。
「あーイラつくぜ」
バーダックが不機嫌だと、私にまでとばっちりを受けるかもしれない。
ここは、早々に機嫌を直してもらわなくちゃ!
「ねえ、バーダック。煙草の代わりと言ったらなんだけど、気分転換に甘い物なんてどうかな?」
「あ? 別に要らねえよ」
「まあまあ、そう言わないで。今日はバレンタインデーなんだよ?」
「バレンタイン……そういや、そうだったな。すっかり忘れてたぜ」
バーダックにしてみれば、バレンタインなんて関係ないとでも思ってるのかもしれない。
それでも女子にしてみれば、年に一度のバレンタインデーなんだから、最高の一日にしたい……って、わけで絶対受け取ってもらわないと!
私は気合いを入れ直して満面の笑みを浮かべると、彼の隣に腰掛けた。
「そういうわけで……私から、ハッピーバレンタイン!」
両手に持っていた箱をバーダックに差し出す。
「ああ、サンキュ。有り難く貰っとくぜ」
それを受け取ったバーダックは、ラッピングを解いて箱を開けた。
そこには、ハートの形に振り掛けた粉砂糖がポイントの、ブラウニーが現れる。
「おっ、美味そうじゃねえか。お前、頑張ったんだな」
「バーダックに食べて貰いたいから、ちょっと張り切っちゃった。どうしても失敗したくなかったから、ランクを下げたんだけどね。味は保証するよ」
「へえ、そうなのか」
すると、バーダックははたと何かを思いついたように、ニヤリと笑った。
「この菓子、お前が食べさせろよ?」
「へ?」
「お前が食べさせてくれたら、もっと美味くなると思うんだよな」
「でも……」
食べさせて貰ったことはあるけど、食べさせるのは今日が初めてなわけで、ちょっと恥ずかしい。
「おら、早くしろ」
「もう、しょうがないなぁ」
口では文句を言いつつ、満更でもない私。
箱を受け取った私は、ブラウニーを一つつまみ上げて、彼の口元へ持っていく。
「はい、あーん」
バーダックは口を開けてブラウニーに食らい付き、もぐもぐと口を動かして、じっくり味を確かめている様子。
「どうかな?」
ドキドキしながら、彼の反応を待つ。
「美味い。甘ったるくなくて、オレにはちょうどいい甘さだ。これなら合格点だな」
「良かったぁ」
「本当に上達したな、お前」
バーダックは手を伸ばして私の頭を優しく撫でる。
前回の大失敗を知っているからか、彼の反応は優しい。
「機嫌直った?」
「そうだな」
彼が徐に私の両手首を掴む。
次の瞬間、ソファーを背にして、バーダック越しに天井が見えた。
「オレの機嫌が直るには、お前からもう1つ貰いたいモンがある」
顔を近づけ、唇が触れ合いそうな距離で彼が囁く。
「分かるか? オレが喉から手が出る程欲しいモンだ」
私は生唾を飲み込む。
「もしかして……私?」
彼は面白そうに喉元で低く笑う。
「正解。オレのイラつきを解消出来るのはお前だけだからな」
そんな台詞とともにバーダックは唇を重ね合わせた。
けれど、すぐに唇を離してしまう。
「なあ、オレが好きか?」
「突然、何……?」
「答えろ」
「す……んんっ!」
答えようとした唇は塞がれてしまい、深く口づけられる。
何度もキスを交わした後、彼が唇を離して囁く。
「答えるまでずっと離さねえからな」
バーダックが好きかどうかなんて明白だ。彼以外考えられない。
そんなことを頭の隅で考えていたけど、次第に何も考えられなくなり、彼に溺れていく。
言葉通り、翌朝まで彼の腕の中から離してもらえないのだった。