★Memories
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Desire―願う―
【2人だけのX'mas Eve】
今日は12月24日。冬の一大イベント、クリスマス・イヴ。聖なる前夜、恋人達が愛を語らう――そんなロマンチックなひと時を想像していた。でも現実は……。
「おい、シャンパンもうねえのか?」
「……」
「おい、聞いてんのか?」
「……」
「無視すんなよ!」
「煩いわね! シャンパンはアンタが全部飲み切っちゃったんじゃないの!」
しつこく食い下がるバーダックにムカついた私は、空になった数本のシャンパンボトルを指差して、彼をジロリと睨みつける。
折角二人で飲もうと思っていたシャンパンを、彼が最後の一滴まで飲み尽くしてしまったのだ。
「うるせえのはお前だ。あー失敗したな。やっぱ、もう2、3本買っておくべきだったぜ」
これだもん、ロマンチックの欠けらもない。
そもそも彼との甘いひと時を期待する方が間違ってた。
だからと言って、まさかアルコール抜きにするわけにもいかない。そんなことしたら彼が必ず文句を言うに決まってる。
私は呆れつつ、テーブルの中央に鎮座している、苺が丁寧に飾られたクリスマスケーキに手を伸ばす。
「ねえ、バーダックもケーキ食べる?」
「……ああ」
「そんなに拗ねないの。子供じゃないんだから」
「……ほっとけ」
未練タラタラなバーダックに私は苦笑しつつ、ケーキを2人分切り分けて皿に乗せると、フォークを添えて彼の前に差し出した。
皿を受け取ったバーダックはケーキを大きめに切って口に運ぶ。
その時、口の端に生クリームがついた。彼はそれに気がついていないらしい。
その姿は普段は隙のないバーダックからは想像出来ないくらい、隙だらけでちょっと可愛く思える。
「バーダック、動かないでね」
「あ?」
私は手を伸ばして、彼の口元の生クリームを指で拭い取る。
「何だ、いきなり」
「口元に生クリームがついてたの……ほら」
私が指先についた生クリームを見せると、彼は私の手をぐいっと引き寄せて、ペロッと舐め取った。
「あっ!」
「普通に食うより、何倍も甘いな」
バーダックは勝ち誇ったようにニヤリと笑い、そのまま私を抱き寄せた。
彼の優しい温もりが私を包み込み、私は安心感を覚えたけど……。
「……バカ」
その一方で指を舐められたのが恥ずかしくて、ギュッと目を瞑る。
「そうかもな。その場合、お前もだぜ」
「ちょっと酷くない?」
「お前も同罪だろうが」
改めてそう言われると、そうかと納得してしまう。
次の瞬間、首元が何か冷たい感触に包まれた。
「な、何?」
目を開けて首元を見ると、そこにはシルバーのネックレスが私の首を飾っていた。ペンダントトップはピンキーリング程の小さな指輪が目に入る。
「これって……」
「決まってんだろ。クリスマスプレゼントだ」
「こんな可愛いプレゼントをくれるなんて……ありがとう、すっごく嬉しい!」
指輪を手に取ると、そこには“Dear Lady Luck,You belong to me.”という文字が刻まれていた。
「“親愛なる幸運の女神へ、お前はオレのモノだ”」
読んだ瞬間、思わず胸がキュンとなる。
「これって……」
お姫様の次は女神なんて、彼の発想にはいつも驚かされてばかりだ。
「フン……いつでもどこでも傍にいてやれるわけじゃねえからな。虫よけ代わりにつけとけ」
ぶっきらぼうに言うバーダック。
少し照れるけど、素直に嬉しいな。
「バーダック、ありがとう。大切にするね」
「おう」
私も彼に渡そうと、テーブルの下に置いていたプレゼントに手を伸ばす。
「私からもバーダックにプレゼントがあるの。はい、どうぞ」
私は笑顔で特大サイズの包みを彼に差し出す。
「ありがとよ。結構でかいな」
彼は受け取った包みのリボンを解いて、中から赤のダウンジャケットを取り出した。
「防寒着か。暖かそうだな」
バーダックはダウンジャケットを目の前に広げて、しげしげと見つめている。
「うん、赤はバーダックのイメージカラーみたいなものだし」
「結構高かっただろ?」
「そんなこと気にしないでよ。それ着て色んな所に出掛けようね」
「ああ、想い出沢山作らねえとな」
彼にしては珍しく感慨深げな面持ちで答え、今度は私を力強く抱き締めた。
私も彼の背中に腕を回して、それに応える。
「酒は飲み足りねえが、お前のお蔭で良いイヴになったぜ」
「私も。最初はどうなることかと思ったけど、素敵なイヴになったよ」
「来年もその先もずっと一緒に過ごそうな」
彼は私の耳元で甘く囁くと、情熱的なキスを仕掛けてくる。ケーキを食べた後ということもあって、甘い香りが口腔に広がっていき、私はそれだけでうっとりとした気分になる。
こうして幸せに満ち足りたイヴの夜は更けていくのだった。
【2人だけのX'mas Eve】
今日は12月24日。冬の一大イベント、クリスマス・イヴ。聖なる前夜、恋人達が愛を語らう――そんなロマンチックなひと時を想像していた。でも現実は……。
「おい、シャンパンもうねえのか?」
「……」
「おい、聞いてんのか?」
「……」
「無視すんなよ!」
「煩いわね! シャンパンはアンタが全部飲み切っちゃったんじゃないの!」
しつこく食い下がるバーダックにムカついた私は、空になった数本のシャンパンボトルを指差して、彼をジロリと睨みつける。
折角二人で飲もうと思っていたシャンパンを、彼が最後の一滴まで飲み尽くしてしまったのだ。
「うるせえのはお前だ。あー失敗したな。やっぱ、もう2、3本買っておくべきだったぜ」
これだもん、ロマンチックの欠けらもない。
そもそも彼との甘いひと時を期待する方が間違ってた。
だからと言って、まさかアルコール抜きにするわけにもいかない。そんなことしたら彼が必ず文句を言うに決まってる。
私は呆れつつ、テーブルの中央に鎮座している、苺が丁寧に飾られたクリスマスケーキに手を伸ばす。
「ねえ、バーダックもケーキ食べる?」
「……ああ」
「そんなに拗ねないの。子供じゃないんだから」
「……ほっとけ」
未練タラタラなバーダックに私は苦笑しつつ、ケーキを2人分切り分けて皿に乗せると、フォークを添えて彼の前に差し出した。
皿を受け取ったバーダックはケーキを大きめに切って口に運ぶ。
その時、口の端に生クリームがついた。彼はそれに気がついていないらしい。
その姿は普段は隙のないバーダックからは想像出来ないくらい、隙だらけでちょっと可愛く思える。
「バーダック、動かないでね」
「あ?」
私は手を伸ばして、彼の口元の生クリームを指で拭い取る。
「何だ、いきなり」
「口元に生クリームがついてたの……ほら」
私が指先についた生クリームを見せると、彼は私の手をぐいっと引き寄せて、ペロッと舐め取った。
「あっ!」
「普通に食うより、何倍も甘いな」
バーダックは勝ち誇ったようにニヤリと笑い、そのまま私を抱き寄せた。
彼の優しい温もりが私を包み込み、私は安心感を覚えたけど……。
「……バカ」
その一方で指を舐められたのが恥ずかしくて、ギュッと目を瞑る。
「そうかもな。その場合、お前もだぜ」
「ちょっと酷くない?」
「お前も同罪だろうが」
改めてそう言われると、そうかと納得してしまう。
次の瞬間、首元が何か冷たい感触に包まれた。
「な、何?」
目を開けて首元を見ると、そこにはシルバーのネックレスが私の首を飾っていた。ペンダントトップはピンキーリング程の小さな指輪が目に入る。
「これって……」
「決まってんだろ。クリスマスプレゼントだ」
「こんな可愛いプレゼントをくれるなんて……ありがとう、すっごく嬉しい!」
指輪を手に取ると、そこには“Dear Lady Luck,You belong to me.”という文字が刻まれていた。
「“親愛なる幸運の女神へ、お前はオレのモノだ”」
読んだ瞬間、思わず胸がキュンとなる。
「これって……」
お姫様の次は女神なんて、彼の発想にはいつも驚かされてばかりだ。
「フン……いつでもどこでも傍にいてやれるわけじゃねえからな。虫よけ代わりにつけとけ」
ぶっきらぼうに言うバーダック。
少し照れるけど、素直に嬉しいな。
「バーダック、ありがとう。大切にするね」
「おう」
私も彼に渡そうと、テーブルの下に置いていたプレゼントに手を伸ばす。
「私からもバーダックにプレゼントがあるの。はい、どうぞ」
私は笑顔で特大サイズの包みを彼に差し出す。
「ありがとよ。結構でかいな」
彼は受け取った包みのリボンを解いて、中から赤のダウンジャケットを取り出した。
「防寒着か。暖かそうだな」
バーダックはダウンジャケットを目の前に広げて、しげしげと見つめている。
「うん、赤はバーダックのイメージカラーみたいなものだし」
「結構高かっただろ?」
「そんなこと気にしないでよ。それ着て色んな所に出掛けようね」
「ああ、想い出沢山作らねえとな」
彼にしては珍しく感慨深げな面持ちで答え、今度は私を力強く抱き締めた。
私も彼の背中に腕を回して、それに応える。
「酒は飲み足りねえが、お前のお蔭で良いイヴになったぜ」
「私も。最初はどうなることかと思ったけど、素敵なイヴになったよ」
「来年もその先もずっと一緒に過ごそうな」
彼は私の耳元で甘く囁くと、情熱的なキスを仕掛けてくる。ケーキを食べた後ということもあって、甘い香りが口腔に広がっていき、私はそれだけでうっとりとした気分になる。
こうして幸せに満ち足りたイヴの夜は更けていくのだった。