★Memories
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
Desire―願う―
【Halloween Night】
自宅マンションの近辺にある公園の木々が秋の深まりを告げる、10月。
今年もいよいよやって来ました、ハロウィンの季節。
前回は彼に一泡吹かせようと躍起になってたけど、逆に仕返しされちゃって、敢え無く惨敗だった。
今年こそはあの手この手を使って、彼に悪戯してやるんだと私は張り切っていた。
去年同様、今年も仮装をしようと用意した衣装は、膝上の黒いワンピースに角のカチューシャをつければ、小悪魔コスチュームの完成だ。
準備万端で、コンビニに煙草を買いに出掛けたバーダックが帰宅するのを、じっと待つ。
ガチャ。
玄関のドアが開き、彼が帰って来たことを知らせる。
絶対悪戯してやる。今度こそ見返してやるんだから!
私は部屋の真ん中に立ち、彼が中に入って来るのを今か今かと待ち受ける。
バーダックの足音がどんどん近づいて来た。
ガチャ。
「ふっふっふっ……待ってたわよ、バーダック!」
「はあ? 何やってんだよ、お前……つーか、何だよ、その格好は……」
面食らった様子で私を指差すバーダック。
「ふふん、今日の私はバーダックを誘惑する小悪魔なの」
「ほう?」
「バーダック……」
私はバーダックに歩み寄り、その逞しい首に両腕を回して引き寄せる。
……めちゃくちゃ恥ずかしいけど、これも日頃の鬱憤を晴らすためだ。
「トリック・オア・トリート。お菓子をくれなきゃ、悪戯しちゃうよ?」
私は唇が触れ合いそうな距離で囁く。
今回もお菓子なんて、用意していないだろう。
去年は失敗したけど、今年はたっぷりと悪戯を遂行してやるんだから!
見てなさいよ、バーダック!
私は得意げな眼差しで彼を見つめる。
「そういうことか」
すると、何故か彼はふっと笑って言った。
「ほらよ、お望みの菓子だ」
バーダックはそう言って、紫色の帽子をちょこんと被った黒猫のクッキーが入った包みを差し出した。
「えっ?」
一瞬、何が起きたのか理解出来なかった。
「菓子が欲しかったんだろ、お前」
「えーっ!?」
「ククッ、どうした?」
「何でこうなるのよ~!」
「バカだな。オレが去年のこと忘れるわけねえだろ。そろそろお前が何かやらかす頃だろうと思ってな。先手を打って、煙草のついでに菓子も買って来たんだよ」
去年と同じ目に遭いたくないから、と。
「残念だったな。今年もオレの勝ちだぜ」
バーダックはニヤリと笑う。
「そんなの狡い」
「バーカ、人のこと言えんのかよ。どうせ、また悪戯仕掛けようとしてたんだろ」
「うっ……」
全てお見通しなのね。
悔しいけど、バーダックには到底敵わないみたい。そんな現実を思い知らされた。
「お前は単純だからな。オレを出し抜こうなんざ100年早いんだよ」
「……私の完敗よ」
私は項垂れながら、ポツリと呟いた。
すると、頭上から彼が「おい」と言葉を発した。
顔を上げると、バーダックは不敵な笑みを浮かべている。
「トリック・オア・トリート」
「え?」
「聞こえなかったのか? 菓子をくれなきゃ悪戯するぜ?」
「お、お菓子なんて用意してないわよ!」
まさか、今年も同じ手を使ってくるなんて!
「ククッ……じゃあ、悪戯しなきゃな……あーそうだ。確か、今日のお前はオレを誘惑する小悪魔なんだよな?」
「そ、それは……単なる――」
「まさか、冗談で済ませねえよな? こんな色っぽい仮装までしてよ」
バーダックの目が一瞬、ギラリと光ったような気がする。
「じょ、冗談で済まないみたいね……」
「当然だ。オレはいつでもマジだからな。冗談なんざ通じねえぜ?」
この上なく意地悪な笑みを浮かべて、恐ろしい台詞を宣ったバーダックは、軽々と私をお姫様抱っこしてベッドに運び、私の身体を下ろした。
「さてと、オレをその気にさせてもらおうか、小悪魔ちゃんよ」
「その気って……」
「もちろん、その身体でな」
「う~……謝るから、許してよ?」
「謝ったところで、もう手遅れだぜ。ほら、色っぽいポーズでオレを誘惑してみせろよ?」
「いやあぁぁっ!」
この夜、私は到底口には出せないような、恥ずかしいことをさせられ、ようやくバーダックから解放されたのは明け方だった。
「もう、限界……」
「ククッ、これに懲りたらもう悪戯なんざ考えるなよ」
「うぅ……」
最早、精も根も尽き果てたって感じだ。
彼を敵に回すと、とんでもない羽目になる。ちょっと悪戯しようものなら、100倍になって返ってくるのだ。
それは嫌という程、身を以て体験させられた。
恐るべき、バーダック。
今更だけど、去年の時点で学習すべきだったと、深く反省する私なのだった。
もう絶対悪戯なんてするもんか!
【Halloween Night】
自宅マンションの近辺にある公園の木々が秋の深まりを告げる、10月。
今年もいよいよやって来ました、ハロウィンの季節。
前回は彼に一泡吹かせようと躍起になってたけど、逆に仕返しされちゃって、敢え無く惨敗だった。
今年こそはあの手この手を使って、彼に悪戯してやるんだと私は張り切っていた。
去年同様、今年も仮装をしようと用意した衣装は、膝上の黒いワンピースに角のカチューシャをつければ、小悪魔コスチュームの完成だ。
準備万端で、コンビニに煙草を買いに出掛けたバーダックが帰宅するのを、じっと待つ。
ガチャ。
玄関のドアが開き、彼が帰って来たことを知らせる。
絶対悪戯してやる。今度こそ見返してやるんだから!
私は部屋の真ん中に立ち、彼が中に入って来るのを今か今かと待ち受ける。
バーダックの足音がどんどん近づいて来た。
ガチャ。
「ふっふっふっ……待ってたわよ、バーダック!」
「はあ? 何やってんだよ、お前……つーか、何だよ、その格好は……」
面食らった様子で私を指差すバーダック。
「ふふん、今日の私はバーダックを誘惑する小悪魔なの」
「ほう?」
「バーダック……」
私はバーダックに歩み寄り、その逞しい首に両腕を回して引き寄せる。
……めちゃくちゃ恥ずかしいけど、これも日頃の鬱憤を晴らすためだ。
「トリック・オア・トリート。お菓子をくれなきゃ、悪戯しちゃうよ?」
私は唇が触れ合いそうな距離で囁く。
今回もお菓子なんて、用意していないだろう。
去年は失敗したけど、今年はたっぷりと悪戯を遂行してやるんだから!
見てなさいよ、バーダック!
私は得意げな眼差しで彼を見つめる。
「そういうことか」
すると、何故か彼はふっと笑って言った。
「ほらよ、お望みの菓子だ」
バーダックはそう言って、紫色の帽子をちょこんと被った黒猫のクッキーが入った包みを差し出した。
「えっ?」
一瞬、何が起きたのか理解出来なかった。
「菓子が欲しかったんだろ、お前」
「えーっ!?」
「ククッ、どうした?」
「何でこうなるのよ~!」
「バカだな。オレが去年のこと忘れるわけねえだろ。そろそろお前が何かやらかす頃だろうと思ってな。先手を打って、煙草のついでに菓子も買って来たんだよ」
去年と同じ目に遭いたくないから、と。
「残念だったな。今年もオレの勝ちだぜ」
バーダックはニヤリと笑う。
「そんなの狡い」
「バーカ、人のこと言えんのかよ。どうせ、また悪戯仕掛けようとしてたんだろ」
「うっ……」
全てお見通しなのね。
悔しいけど、バーダックには到底敵わないみたい。そんな現実を思い知らされた。
「お前は単純だからな。オレを出し抜こうなんざ100年早いんだよ」
「……私の完敗よ」
私は項垂れながら、ポツリと呟いた。
すると、頭上から彼が「おい」と言葉を発した。
顔を上げると、バーダックは不敵な笑みを浮かべている。
「トリック・オア・トリート」
「え?」
「聞こえなかったのか? 菓子をくれなきゃ悪戯するぜ?」
「お、お菓子なんて用意してないわよ!」
まさか、今年も同じ手を使ってくるなんて!
「ククッ……じゃあ、悪戯しなきゃな……あーそうだ。確か、今日のお前はオレを誘惑する小悪魔なんだよな?」
「そ、それは……単なる――」
「まさか、冗談で済ませねえよな? こんな色っぽい仮装までしてよ」
バーダックの目が一瞬、ギラリと光ったような気がする。
「じょ、冗談で済まないみたいね……」
「当然だ。オレはいつでもマジだからな。冗談なんざ通じねえぜ?」
この上なく意地悪な笑みを浮かべて、恐ろしい台詞を宣ったバーダックは、軽々と私をお姫様抱っこしてベッドに運び、私の身体を下ろした。
「さてと、オレをその気にさせてもらおうか、小悪魔ちゃんよ」
「その気って……」
「もちろん、その身体でな」
「う~……謝るから、許してよ?」
「謝ったところで、もう手遅れだぜ。ほら、色っぽいポーズでオレを誘惑してみせろよ?」
「いやあぁぁっ!」
この夜、私は到底口には出せないような、恥ずかしいことをさせられ、ようやくバーダックから解放されたのは明け方だった。
「もう、限界……」
「ククッ、これに懲りたらもう悪戯なんざ考えるなよ」
「うぅ……」
最早、精も根も尽き果てたって感じだ。
彼を敵に回すと、とんでもない羽目になる。ちょっと悪戯しようものなら、100倍になって返ってくるのだ。
それは嫌という程、身を以て体験させられた。
恐るべき、バーダック。
今更だけど、去年の時点で学習すべきだったと、深く反省する私なのだった。
もう絶対悪戯なんてするもんか!