★Memories
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Desire―願う―
【大観覧車の頂上で…】
私とバーダックは休日を利用して遊園地に遊びに来ていた。
園内のありとあらゆる絶叫マシーンに乗ってお腹の底から叫んだ後は、バーダックが嫌がるのを半ば強引に誘ったメリーゴーランドとコーヒーカップ、白熱しながら競い合ったゴーカート、ゾンビに追い掛けられて本気で怖かったお化け屋敷、思わず入り口を見失ったミラーハウスと、まるで童心に返ったように遊び倒して、気づけばあっという間に夜になっていた。
最後にこの遊園地で一番話題の、大観覧車に乗ろうと彼を誘った。
係員が扉を開けてくれて、私達は向かい合わせで大観覧車に乗り込む。
因みに所要時間は約15分。長いようで短い時間だ。
「こんな乗り物に乗りたがるなんざ、お前はガキと一緒だな」
「そういうバーダックだって、散々私と一緒になって楽しんでたくせに、よく言うよ」
「何吐かしてやがる。確かメリーゴーランドとコーヒーカップって言ったか。あれは、お前がオレを無理矢理乗せたんだろうが」
「やっぱり楽しくなかった?」
「楽しいわけねえだろ。あれは悪夢だったぜ」
「……バーダック、思いっ切り子供に笑われてたもんね。恐い顔のおじさんがメリーゴーランドに乗ってるって」
「ああ、一生分の恥をかいた気分だ。言っとくが、もう二度と乗らねえからな」
恨みがましい顔つきで文句を言うバーダックに、まずいと思った私は話題を変えることにした。
「ねえ、そういえばさ」
「あ? 何だよ?」
「観覧車には有名なジンクスがあるって知ってる?」
「知らねえな。何だよ、そのジンクスってのは」
バーダックの思いの外食いつきのよさにホッとしながら、話を切り出す。
「あのね、観覧車の頂上でキスしたカップルは永遠に別れないんだって」
「まさかお前、本気でそんなこと信じてんのか?」
「当然だよ。だってロマンチックじゃないの」
「へえ……なら、お前も頂上でキスして欲しいのか?」
「もちろん、して欲しいよ。だって女子の憧れだしね」
「そうか」
そう言って、バーダックは外の景色に目を向ける。
私も外を眺めると、まるで宝石箱のような綺麗な夜景が目に映った。
それにしても……もうすぐ頂上なのに、キスしてくれないのかな、やっぱり興味ないのかなと残念に思っていると、バーダックが徐に口を開いた。
「もうすぐ頂上だな」
「う、うん」
「ほら、こっち来いよ」
「わっ……!」
突然、バーダックに手を引かれて、彼の隣に座らされた。
「特別にお姫様の願いを叶えてやるよ」
バーダックが私の耳元でいつもより優しく囁くから、自分でも思いがけず、ドキッと胸が高鳴った。
そして、ちょうど私達を乗せた大観覧車が頂上に達した時、私の唇は彼の唇に奪うようにキスされていた。
お互いの唇が深く重なり合って、角度を変えながら、何度もキスを交わす。
それは、うっとりする程、甘く濃密なひと時だった。
どれくらいの間、キスを交わしていただろう。不意に唇が離された。
「これで、お前の話だとオレ達は永遠に別れないってことになるな」
「そうだね」
間もなく地上に到着しようという時、バーダックは更に私の耳元で囁く。
「ジンクスなんざに頼らなくとも、オレはお前を手放すつもりは、更々ないけどな。お前の心も身体も永遠にオレのもんだ」
「バーダック……」
私は気恥ずかしいような擽ったいような気持ちになりつつ、改めてバーダックに愛されてるなと実感した。
私達を乗せた大観覧車が地上に戻って来ると、彼が先に降りて、私に手を伸ばしてくれる。
本当にお姫様になったような気分を味わいながら、バーダックの手を取り、大観覧車を降りた。
遊園地デートの帰り道。
「お前、端から観覧車が目的だったろ?」
バーダックのいきなりの核心をついた問い掛けに、思わずギクッとする私。
「ア、アハハ……バレてたのね」
「当然だろ。お前は単純だからな」
その言葉にちょっとだけムッとする。
「悪かったね、単純で」
「オレは誉めてんだぜ。何たって、その単純さに助けられたんだからな」
「どういう意味?」
「さあな、自分で考えろよ」
「ケチ!」
「ケチで結構だ」
そんなやり取りをしながら、私達は家路に着いた。
後日。バーダックが私の単純さに助けられたって言うのが、やっぱりどうしても気になって彼に詰め寄ると、「しょうがねえな」と渋々ながら教えてくれた。
その理由は、バーダックがランプの精だった頃、私が彼を自由にして欲しいと願ったからだそうだ。
つまり彼は少なからず、私に感謝してくれているというわけだ。
「ニヤニヤすんな。これだから教えたくなかったんだよ」
彼に頭を小突かれながら、あの時願ったことは間違いなかったんだと実感する、今日この頃なのだった。
【大観覧車の頂上で…】
私とバーダックは休日を利用して遊園地に遊びに来ていた。
園内のありとあらゆる絶叫マシーンに乗ってお腹の底から叫んだ後は、バーダックが嫌がるのを半ば強引に誘ったメリーゴーランドとコーヒーカップ、白熱しながら競い合ったゴーカート、ゾンビに追い掛けられて本気で怖かったお化け屋敷、思わず入り口を見失ったミラーハウスと、まるで童心に返ったように遊び倒して、気づけばあっという間に夜になっていた。
最後にこの遊園地で一番話題の、大観覧車に乗ろうと彼を誘った。
係員が扉を開けてくれて、私達は向かい合わせで大観覧車に乗り込む。
因みに所要時間は約15分。長いようで短い時間だ。
「こんな乗り物に乗りたがるなんざ、お前はガキと一緒だな」
「そういうバーダックだって、散々私と一緒になって楽しんでたくせに、よく言うよ」
「何吐かしてやがる。確かメリーゴーランドとコーヒーカップって言ったか。あれは、お前がオレを無理矢理乗せたんだろうが」
「やっぱり楽しくなかった?」
「楽しいわけねえだろ。あれは悪夢だったぜ」
「……バーダック、思いっ切り子供に笑われてたもんね。恐い顔のおじさんがメリーゴーランドに乗ってるって」
「ああ、一生分の恥をかいた気分だ。言っとくが、もう二度と乗らねえからな」
恨みがましい顔つきで文句を言うバーダックに、まずいと思った私は話題を変えることにした。
「ねえ、そういえばさ」
「あ? 何だよ?」
「観覧車には有名なジンクスがあるって知ってる?」
「知らねえな。何だよ、そのジンクスってのは」
バーダックの思いの外食いつきのよさにホッとしながら、話を切り出す。
「あのね、観覧車の頂上でキスしたカップルは永遠に別れないんだって」
「まさかお前、本気でそんなこと信じてんのか?」
「当然だよ。だってロマンチックじゃないの」
「へえ……なら、お前も頂上でキスして欲しいのか?」
「もちろん、して欲しいよ。だって女子の憧れだしね」
「そうか」
そう言って、バーダックは外の景色に目を向ける。
私も外を眺めると、まるで宝石箱のような綺麗な夜景が目に映った。
それにしても……もうすぐ頂上なのに、キスしてくれないのかな、やっぱり興味ないのかなと残念に思っていると、バーダックが徐に口を開いた。
「もうすぐ頂上だな」
「う、うん」
「ほら、こっち来いよ」
「わっ……!」
突然、バーダックに手を引かれて、彼の隣に座らされた。
「特別にお姫様の願いを叶えてやるよ」
バーダックが私の耳元でいつもより優しく囁くから、自分でも思いがけず、ドキッと胸が高鳴った。
そして、ちょうど私達を乗せた大観覧車が頂上に達した時、私の唇は彼の唇に奪うようにキスされていた。
お互いの唇が深く重なり合って、角度を変えながら、何度もキスを交わす。
それは、うっとりする程、甘く濃密なひと時だった。
どれくらいの間、キスを交わしていただろう。不意に唇が離された。
「これで、お前の話だとオレ達は永遠に別れないってことになるな」
「そうだね」
間もなく地上に到着しようという時、バーダックは更に私の耳元で囁く。
「ジンクスなんざに頼らなくとも、オレはお前を手放すつもりは、更々ないけどな。お前の心も身体も永遠にオレのもんだ」
「バーダック……」
私は気恥ずかしいような擽ったいような気持ちになりつつ、改めてバーダックに愛されてるなと実感した。
私達を乗せた大観覧車が地上に戻って来ると、彼が先に降りて、私に手を伸ばしてくれる。
本当にお姫様になったような気分を味わいながら、バーダックの手を取り、大観覧車を降りた。
遊園地デートの帰り道。
「お前、端から観覧車が目的だったろ?」
バーダックのいきなりの核心をついた問い掛けに、思わずギクッとする私。
「ア、アハハ……バレてたのね」
「当然だろ。お前は単純だからな」
その言葉にちょっとだけムッとする。
「悪かったね、単純で」
「オレは誉めてんだぜ。何たって、その単純さに助けられたんだからな」
「どういう意味?」
「さあな、自分で考えろよ」
「ケチ!」
「ケチで結構だ」
そんなやり取りをしながら、私達は家路に着いた。
後日。バーダックが私の単純さに助けられたって言うのが、やっぱりどうしても気になって彼に詰め寄ると、「しょうがねえな」と渋々ながら教えてくれた。
その理由は、バーダックがランプの精だった頃、私が彼を自由にして欲しいと願ったからだそうだ。
つまり彼は少なからず、私に感謝してくれているというわけだ。
「ニヤニヤすんな。これだから教えたくなかったんだよ」
彼に頭を小突かれながら、あの時願ったことは間違いなかったんだと実感する、今日この頃なのだった。