★Memories
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Desire―願う―
【策略家のオレ様】
ある週末の夜。お風呂上がりに、スキンケアをして髪を乾かした私は部屋に戻ると、先にお風呂から上がったバーダックがベッドに寝転んで寛いでいた。
彼は私を見ると、上半身を起こして、
「なあ、風呂上がりに一杯やらねえか?」
クイッとお酒を飲む仕草をした。
「良いね。何、飲む?」
家はバーダックが無類のお酒好きな為、色んな種類のお酒を常備してあるのだ。
「ウイスキーが飲みてえな。つまみは簡単なモンで良いぜ」
「分かった。私はロゼにしようかな」
キッチンに行き、冷蔵庫から生ハムとレタスにアボカド、その他諸々の食材を取り出して、サラダを作る。サラダは簡単だけど彩り良く盛り付けたから、見た目にも鮮やかに出来上がった。サラダを作り終え、お酒を用意して部屋に戻る。
「お待たせ、おつまみは生ハムとアボカドのサラダにしたよ」
テーブルにお酒とサラダを並べて、ソファーに腰掛ける。彼もベッドから下りて、私の横に座った。
早速ロゼを一口飲み、ふっと息をついた。疲れた身体にアルコールは程よく染み渡る。
「お風呂上がりのお酒は最高だね」
「そうだな」
バーダックはウイスキーをロックで愉しんでいる。
「ねえ、サラダ食べてみて」
「ああ、見た目は合格だな」
「味も保証するよ」
私に促されたバーダックはサラダをパクッと頬張ると、味を確かめるように咀嚼して飲み込んだ。
「どう?」
身を乗り出すようにして訊ねると、バーダックはニヤリと笑った。
「結構イケるぜ。手放しで誉めてやるよ」
「ホント!?」
「ああ」
彼が手放しで誉めてくれるなんて珍しい。だけど、自信があったから素直に嬉しかった。
「良かった、誉めてもらえて。それね、ドレッシングも手作りなの」
「へえ、やるじゃねえか」
「ふふ、手作りって言っても凄く簡単なんだけどね」
「なら、気に入ったからまた作れよ」
「いいよ、いつでも作ってあげる」
私は上機嫌で頷き、サラダを食べようとした。
すると、バーダックが私の手首を掴まえて「ちょっと待て」と、それを遮った。
「どうしたの?」
疑問に思って問い掛けると、彼は何かを企むように笑った。
「そいつはオレが食べさせてやるよ」
「ええっ!?」
あのオレ様が恋人同士なら誰もが一度はやっているであろう、所謂「あーん」をやろうって言うの!?
「何だ、嫌なのか?」
目を丸くする私に対して、彼は見る見る内に不機嫌になっていく。それを目にした私は焦った。
「違うの! そういうわけじゃなくて……」
「何だよ、ハッキリしろ」
「ちょっと、いや、かなり驚いたっていうか何ていうか……物凄く、意外だったのよ。バーダックってば、恋人らしいことあんまりしてくれないから……」
「……まあな。単なる気まぐれだ」
何だ、気まぐれかぁ。そうだよね、特別甘い雰囲気ってわけでもなかったし。
「んなことより、早く口を開けろ」
「あ……う、うん。じゃあ、あ~ん……」
「ほらよ」
バーダックがフォークに刺したアボカドを私の口元に持って来ると、ちょっと恥ずかしく思いながらも、私はパクッと食らいつく。
すると、口の中にアボカドのクリーミーな食感が広がった。
「ん~我ながら絶品ね!」
ドレッシングには隠し味にレモン汁を使っているから、サッパリしていていくらでも食べられる。
「もっと欲しいか」
「う、うん……」
ちょっと恥ずかしくもあるけど、普通に食べるよりバーダックが食べさせてくれた方が、何倍ものスパイスになって、より美味しく感じられる。
彼がまたサラダを食べさせてくれると思い、私は口をぼんやり開けて待った。
でも次に入って来たのは、サラダじゃなくてバーダックの舌だった。
私は頭が真っ白になる。彼とのキスは数え切れない程してるけど、不意打ちのキスは何度しようが慣れない感覚だ。
長い長いキスの後、彼は唇を離した。
「い、いきなり何すんのよ!」
私はすっかり動揺して、顔どころか耳まで真っ赤だと思う。
「何って、キスだろ。つーか、キスぐらい何度もしてるじゃねえか。今更照れんなよ」
彼はさもおかしそうに笑っている。
「それはそうだけど、不意打ちには弱いのよ!」
「ほう。じゃあ、今からキスするって言えば良いのか?」
そう言いつつ、彼が迫って来たから後退ると、ソファーの端までジリジリと追い詰められてしまう。
「ま、間に合ってます!」
「遠慮すんなよ。夜はこれからじゃねえか。なあ?」
バーダックの意地悪な顔がドアップになった瞬間、私はもう逃げられないと悟り、身体の力を抜いた。
「やっと観念したか。さあて、恋人同士らしく、気持ち良いことしようぜ?」
「お手柔らかに……」
ところが私の願いも虚しく、一晩中寝かせては貰えないのだった。
【策略家のオレ様】
ある週末の夜。お風呂上がりに、スキンケアをして髪を乾かした私は部屋に戻ると、先にお風呂から上がったバーダックがベッドに寝転んで寛いでいた。
彼は私を見ると、上半身を起こして、
「なあ、風呂上がりに一杯やらねえか?」
クイッとお酒を飲む仕草をした。
「良いね。何、飲む?」
家はバーダックが無類のお酒好きな為、色んな種類のお酒を常備してあるのだ。
「ウイスキーが飲みてえな。つまみは簡単なモンで良いぜ」
「分かった。私はロゼにしようかな」
キッチンに行き、冷蔵庫から生ハムとレタスにアボカド、その他諸々の食材を取り出して、サラダを作る。サラダは簡単だけど彩り良く盛り付けたから、見た目にも鮮やかに出来上がった。サラダを作り終え、お酒を用意して部屋に戻る。
「お待たせ、おつまみは生ハムとアボカドのサラダにしたよ」
テーブルにお酒とサラダを並べて、ソファーに腰掛ける。彼もベッドから下りて、私の横に座った。
早速ロゼを一口飲み、ふっと息をついた。疲れた身体にアルコールは程よく染み渡る。
「お風呂上がりのお酒は最高だね」
「そうだな」
バーダックはウイスキーをロックで愉しんでいる。
「ねえ、サラダ食べてみて」
「ああ、見た目は合格だな」
「味も保証するよ」
私に促されたバーダックはサラダをパクッと頬張ると、味を確かめるように咀嚼して飲み込んだ。
「どう?」
身を乗り出すようにして訊ねると、バーダックはニヤリと笑った。
「結構イケるぜ。手放しで誉めてやるよ」
「ホント!?」
「ああ」
彼が手放しで誉めてくれるなんて珍しい。だけど、自信があったから素直に嬉しかった。
「良かった、誉めてもらえて。それね、ドレッシングも手作りなの」
「へえ、やるじゃねえか」
「ふふ、手作りって言っても凄く簡単なんだけどね」
「なら、気に入ったからまた作れよ」
「いいよ、いつでも作ってあげる」
私は上機嫌で頷き、サラダを食べようとした。
すると、バーダックが私の手首を掴まえて「ちょっと待て」と、それを遮った。
「どうしたの?」
疑問に思って問い掛けると、彼は何かを企むように笑った。
「そいつはオレが食べさせてやるよ」
「ええっ!?」
あのオレ様が恋人同士なら誰もが一度はやっているであろう、所謂「あーん」をやろうって言うの!?
「何だ、嫌なのか?」
目を丸くする私に対して、彼は見る見る内に不機嫌になっていく。それを目にした私は焦った。
「違うの! そういうわけじゃなくて……」
「何だよ、ハッキリしろ」
「ちょっと、いや、かなり驚いたっていうか何ていうか……物凄く、意外だったのよ。バーダックってば、恋人らしいことあんまりしてくれないから……」
「……まあな。単なる気まぐれだ」
何だ、気まぐれかぁ。そうだよね、特別甘い雰囲気ってわけでもなかったし。
「んなことより、早く口を開けろ」
「あ……う、うん。じゃあ、あ~ん……」
「ほらよ」
バーダックがフォークに刺したアボカドを私の口元に持って来ると、ちょっと恥ずかしく思いながらも、私はパクッと食らいつく。
すると、口の中にアボカドのクリーミーな食感が広がった。
「ん~我ながら絶品ね!」
ドレッシングには隠し味にレモン汁を使っているから、サッパリしていていくらでも食べられる。
「もっと欲しいか」
「う、うん……」
ちょっと恥ずかしくもあるけど、普通に食べるよりバーダックが食べさせてくれた方が、何倍ものスパイスになって、より美味しく感じられる。
彼がまたサラダを食べさせてくれると思い、私は口をぼんやり開けて待った。
でも次に入って来たのは、サラダじゃなくてバーダックの舌だった。
私は頭が真っ白になる。彼とのキスは数え切れない程してるけど、不意打ちのキスは何度しようが慣れない感覚だ。
長い長いキスの後、彼は唇を離した。
「い、いきなり何すんのよ!」
私はすっかり動揺して、顔どころか耳まで真っ赤だと思う。
「何って、キスだろ。つーか、キスぐらい何度もしてるじゃねえか。今更照れんなよ」
彼はさもおかしそうに笑っている。
「それはそうだけど、不意打ちには弱いのよ!」
「ほう。じゃあ、今からキスするって言えば良いのか?」
そう言いつつ、彼が迫って来たから後退ると、ソファーの端までジリジリと追い詰められてしまう。
「ま、間に合ってます!」
「遠慮すんなよ。夜はこれからじゃねえか。なあ?」
バーダックの意地悪な顔がドアップになった瞬間、私はもう逃げられないと悟り、身体の力を抜いた。
「やっと観念したか。さあて、恋人同士らしく、気持ち良いことしようぜ?」
「お手柔らかに……」
ところが私の願いも虚しく、一晩中寝かせては貰えないのだった。