★Memories
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Desire―願う―
【レモン味のキス】
バーダックと付き合い始めて二度目の春がやって来た。そんなある休日の麗らかな午後。
私はいつものようにソファーに座りながら、ホットレモンティーを飲んでいた。レモンティーは私の一番好きな飲み物だ。これを飲むと気持ちが落ち着くし、ほっこりあったまるから。
「あ~幸せ! やっぱりレモンティーはホッとするなあ」
「年寄りくせえな」
隣に座って同じ物を飲んでいたバーダックが、失礼なことを宣った。私はそんな彼をじろっと睨みつける。
「良いでしょ。これを飲むと和むんだから」
「ふーん、そういうもんか」
バーダックは少しも興味なさげに言って、レモンティーを啜っている。
相変わらず可愛くないヤツ。まあ、バーダックが可愛かったら、それはそれで怖いか……。
でも、こんな風にバーダックと何気ない時間を過ごせるなんて、贅沢っていうか至福の時を感じる。今みたいに、彼が憎まれ口を叩いたとしてもね。それが私達らしくもある。
レモンティーを飲み干して、カップをテーブルの上に置いた。
ほっと一息ついたところで、ふと疑問に思った。
「ねえ」
「どうした?」
「バーダックはどんな時に幸せを感じる?」
「はあ? いきなり何だよ」
彼は私の質問に対して、眉間に皺を寄せた。
「何よ、その顔」
バーダックは私といて幸せだと思ってくれてるんだろうか。ふとした時に不安が過ぎるのだ。
私には過去に恋人が出来たことがない。友達以上恋人未満っていうのはあるけど。
大好きな人と同じ空間で過ごして、幸せを分け合うっていうのが私の憧れだった。バーダックとなら、それが出来ると思った。彼といると自然体な自分でいられるし。
だけど彼はどう思っているのかと、一抹の不安を抱く。果たして、バーダックも私と同じ気持ちでいてくれているのか、どうしても確かめたくなった。
「お前が変なこと言うからだろうが」
「大切なことだよ。ねえ、教えて?」
私が食い下がると、バーダックはやれやれといった感じで、片手に持っていたカップをテーブルに置いた。
「そんなに言うなら教えてやっても良いが、一つ条件がある」
「え……条件?」
バーダックは不敵に笑って、私の瞳をじっと見つめている。
バーダックのこの顔は、何かを企んでいる時の物だ。
「やっぱり聞きたく――」
「何か言ったか?」
「な、何でもないです」
「分かれば良い」
偉そうに、やっぱりバーダックは横暴だ。でも惚れた弱みってヤツで、何だかんだ言っても聞き入れちゃうんだよね。
「で、条件って何?」
「オレの方を向いて、ここに座れ。それが条件だ」
バーダックが“ここ”と指したのは、何と彼の膝の上だった。
「なっ……無理無理無理っ!」
前言撤回。バーダックと対面座位なんて、恥ずかし過ぎて死ねる!
「ほう、オレの言うことが聞けねえのか? こりゃあ、躾が必要だな」
何か物騒なこと言ってらっしゃる!
これじゃあ、逆らえないよ。
「わ、分かったよ」
私は渋々バーダックの命令に従って、彼の膝の上に跨がる。
顔、近っ!
今にも唇が触れ合いそうな距離に、やっぱり羞恥心は拭えない。
すると、それを見ていた彼は満足げに笑った。
「良い子だ」
バーダックは穏やかな瞳で、私の髪に手を伸ばし、優しく撫でてくれる。
「っ……!」
不覚にも、その柔らかい表情と仕草に胸がキュンとした。
「オレが幸せを感じるのはな……」
「んんっ!」
あっと声を上げる間もなく、バーダックの唇に塞がれていた。唇の隙間に舌を割り込ませ、私の舌に絡んでくる。その熱烈なキスは、甘酸っぱいレモン風味だった。
ファーストキスはレモンの味って聞くけど、私達は何度もキスを交わしているから、ファーストキスとは言えない。でも、レモンティーを飲んだ時みたいに、気持ちがほっこりする。
すごく幸せ。バーダックとキスする時はいつもそう思う。
長い間、キスを交わした後、唇を舐められて、彼は顔を離した。
「お前とこうやってキスしてる時だぜ」
耳元で吐息混じりに囁かれ、カァッと顔が熱くなるのを感じた。
そっか、バーダックも同じ気持ちでいてくれたんだな。それって想いが通じ合えてるようで、すごく嬉しく思えた。
「私もバーダックとキスしてる時、すっごく幸せだよ」
バーダックに真似て、彼の耳元で吐息混じりに囁き返した。
すると彼はニヤリと笑って、
「まあ、一番幸せなのはお前と一つに繋がってる時だがな」
そう平然と言って退ける。
その言葉に私が耳まで真っ赤になったのは言うまでもない。
こうして幸せいっぱいな休みの日は、穏やかな時が流れていくのだった。
【レモン味のキス】
バーダックと付き合い始めて二度目の春がやって来た。そんなある休日の麗らかな午後。
私はいつものようにソファーに座りながら、ホットレモンティーを飲んでいた。レモンティーは私の一番好きな飲み物だ。これを飲むと気持ちが落ち着くし、ほっこりあったまるから。
「あ~幸せ! やっぱりレモンティーはホッとするなあ」
「年寄りくせえな」
隣に座って同じ物を飲んでいたバーダックが、失礼なことを宣った。私はそんな彼をじろっと睨みつける。
「良いでしょ。これを飲むと和むんだから」
「ふーん、そういうもんか」
バーダックは少しも興味なさげに言って、レモンティーを啜っている。
相変わらず可愛くないヤツ。まあ、バーダックが可愛かったら、それはそれで怖いか……。
でも、こんな風にバーダックと何気ない時間を過ごせるなんて、贅沢っていうか至福の時を感じる。今みたいに、彼が憎まれ口を叩いたとしてもね。それが私達らしくもある。
レモンティーを飲み干して、カップをテーブルの上に置いた。
ほっと一息ついたところで、ふと疑問に思った。
「ねえ」
「どうした?」
「バーダックはどんな時に幸せを感じる?」
「はあ? いきなり何だよ」
彼は私の質問に対して、眉間に皺を寄せた。
「何よ、その顔」
バーダックは私といて幸せだと思ってくれてるんだろうか。ふとした時に不安が過ぎるのだ。
私には過去に恋人が出来たことがない。友達以上恋人未満っていうのはあるけど。
大好きな人と同じ空間で過ごして、幸せを分け合うっていうのが私の憧れだった。バーダックとなら、それが出来ると思った。彼といると自然体な自分でいられるし。
だけど彼はどう思っているのかと、一抹の不安を抱く。果たして、バーダックも私と同じ気持ちでいてくれているのか、どうしても確かめたくなった。
「お前が変なこと言うからだろうが」
「大切なことだよ。ねえ、教えて?」
私が食い下がると、バーダックはやれやれといった感じで、片手に持っていたカップをテーブルに置いた。
「そんなに言うなら教えてやっても良いが、一つ条件がある」
「え……条件?」
バーダックは不敵に笑って、私の瞳をじっと見つめている。
バーダックのこの顔は、何かを企んでいる時の物だ。
「やっぱり聞きたく――」
「何か言ったか?」
「な、何でもないです」
「分かれば良い」
偉そうに、やっぱりバーダックは横暴だ。でも惚れた弱みってヤツで、何だかんだ言っても聞き入れちゃうんだよね。
「で、条件って何?」
「オレの方を向いて、ここに座れ。それが条件だ」
バーダックが“ここ”と指したのは、何と彼の膝の上だった。
「なっ……無理無理無理っ!」
前言撤回。バーダックと対面座位なんて、恥ずかし過ぎて死ねる!
「ほう、オレの言うことが聞けねえのか? こりゃあ、躾が必要だな」
何か物騒なこと言ってらっしゃる!
これじゃあ、逆らえないよ。
「わ、分かったよ」
私は渋々バーダックの命令に従って、彼の膝の上に跨がる。
顔、近っ!
今にも唇が触れ合いそうな距離に、やっぱり羞恥心は拭えない。
すると、それを見ていた彼は満足げに笑った。
「良い子だ」
バーダックは穏やかな瞳で、私の髪に手を伸ばし、優しく撫でてくれる。
「っ……!」
不覚にも、その柔らかい表情と仕草に胸がキュンとした。
「オレが幸せを感じるのはな……」
「んんっ!」
あっと声を上げる間もなく、バーダックの唇に塞がれていた。唇の隙間に舌を割り込ませ、私の舌に絡んでくる。その熱烈なキスは、甘酸っぱいレモン風味だった。
ファーストキスはレモンの味って聞くけど、私達は何度もキスを交わしているから、ファーストキスとは言えない。でも、レモンティーを飲んだ時みたいに、気持ちがほっこりする。
すごく幸せ。バーダックとキスする時はいつもそう思う。
長い間、キスを交わした後、唇を舐められて、彼は顔を離した。
「お前とこうやってキスしてる時だぜ」
耳元で吐息混じりに囁かれ、カァッと顔が熱くなるのを感じた。
そっか、バーダックも同じ気持ちでいてくれたんだな。それって想いが通じ合えてるようで、すごく嬉しく思えた。
「私もバーダックとキスしてる時、すっごく幸せだよ」
バーダックに真似て、彼の耳元で吐息混じりに囁き返した。
すると彼はニヤリと笑って、
「まあ、一番幸せなのはお前と一つに繋がってる時だがな」
そう平然と言って退ける。
その言葉に私が耳まで真っ赤になったのは言うまでもない。
こうして幸せいっぱいな休みの日は、穏やかな時が流れていくのだった。