★Memories
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Desire―願う―
【White Day】
今日は3月14日、いわゆるホワイトデーだ。まさか“あのバーダック”がバレンタインデーのお返しをくれるわけがない。そもそもホワイトデー自体知らないかもしれない。それでもちょっとだけ期待してしまう自分がいる。
そんなこんなで朝からそわそわしていると、「お前、何か変だぜ。風邪でもひいたんじゃねえのか?」なーんて、ズレたこと言われるし。
「か、風邪なんかひいてないし……それより、今日何の日か知ってる?」
やっぱりここはストレートに聞いてみるのが一番だ。
「さあ、知らねえな」
「あっそう……」
やっぱりランプの魔人だったバーダックがホワイトデーを知らないのは無理もないか。
残念な気持ちを抱きつつ、家を出るのだった。
定時を過ぎ、帰宅途中、至る所で恋人達が腕を組んでいる姿を見ると、心がささくれ立つ。ホワイトデーなんかなければいいのに……。
はっ、いけない。バーダックがホワイトデーを知らないからって、マイナス思考になっちゃダメだ。ここは平常心を保って……。
「ただいま」
「おう、待ってたぜ」
「待ってたって……ええっ!?」
ドアを開けた先で、何と私のエプロンを身につけたバーダックに出迎えられた。
平常心はどこへやら、心の底からびっくり!
「人のエプロンつけて何してんの!?」
「見りゃ分かるだろうが。菓子作ってんだよ」
そう言いながら、親指でオーブンを指す。
「似合わなっ!」
「うるせえな。今日は特別な日なんだろ。テレビで特集やってたからな。男が女に菓子を贈るってよ」
「確かにそうだけど……って、バーダックってお菓子作れるの!?」
「一応簡単なもんは作れるぜ。クッキーなんか、ホットケーキミックス使えばすぐ出来るしな」
バーダックの口からお菓子用語が出て来るなんて、何だか夢でも見てるみたい……。
「今朝お前の様子が変だったのは、今日がホワイトデーだからだろ?」
「あ、うん。そうだけど……」
「気づいてやれなくて悪かったな」
「えっ!?」
あのバーダックが謝ってくれるなんてホントに夢みたい。
と、そこでお菓子が焼き上がったらしく、バーダックがオーブンを開けるとキッチンに香ばしい匂いが漂う。
「どうやら上手く焼けたみたいだな」
バーダックが天板を持ち上げてテーブルの上に乗せ、焼き上がったばかりのお菓子を見せてくれる。 そこにはハート型や星型のクッキーが何枚も並んでいた。
「わあ、美味しそう!」
「味見してみるか?」
「でも熱いでしょ。冷ましてからの方が……」
私がそう言いかけると、バーダックは徐にハート型のクッキーを一枚摘み上げる。
「こうやって冷ませば食えるぜ」
そして、ふうふうと息を吹きかけた。
「ほら、口開けろよ」
「えっ、あ……あーん」
こういうの慣れてないから妙に恥ずかしい……。
戸惑いながらも言われるまま口を開ければ、クッキーを押し込まれて、噛み締めるとほんのり香ばしい風味が口いっぱいに広がる。
「美味しい!」
「オレにも味見させろよ」
そんな言葉が耳元で聞こえた瞬間、唇を塞がれた。
薄く開いた唇の隙間からバーダックの舌が差し込まれる。
「んんっ……」
互いの舌が絡み合い、より甘さが増したような気がする。
バーダックの舌が優しく私の舌を撫で、クッキーの味を堪能してるみたい。
「……甘いな」
「当たり前でしょ。自分で作っておいて何言ってるのよ」
「違う、お前が甘いんだよ。唇だけじゃない。ここも……」
そう囁きながら、私の首筋に顔を埋めて、ぺろっと舐められた。
「あっ……」
「やっぱ、やる側より貰う側の方がいいな」
不敵な笑みを浮かべたバーダックがエプロンを脱ぎ捨て、私を抱き上げる。
「なっ、何するの!?」
「決まってんだろ、お前を喰うんだよ」
「ちょっと待って! 何でそうなるのよ!?」
「観念しな。隅々まで可愛がってやるからよ」
「やだってば! 何でこうなるの――っ!」
必死の抵抗も虚しく、またもやベッドへ連行されてしまうのだった。
END
【White Day】
今日は3月14日、いわゆるホワイトデーだ。まさか“あのバーダック”がバレンタインデーのお返しをくれるわけがない。そもそもホワイトデー自体知らないかもしれない。それでもちょっとだけ期待してしまう自分がいる。
そんなこんなで朝からそわそわしていると、「お前、何か変だぜ。風邪でもひいたんじゃねえのか?」なーんて、ズレたこと言われるし。
「か、風邪なんかひいてないし……それより、今日何の日か知ってる?」
やっぱりここはストレートに聞いてみるのが一番だ。
「さあ、知らねえな」
「あっそう……」
やっぱりランプの魔人だったバーダックがホワイトデーを知らないのは無理もないか。
残念な気持ちを抱きつつ、家を出るのだった。
定時を過ぎ、帰宅途中、至る所で恋人達が腕を組んでいる姿を見ると、心がささくれ立つ。ホワイトデーなんかなければいいのに……。
はっ、いけない。バーダックがホワイトデーを知らないからって、マイナス思考になっちゃダメだ。ここは平常心を保って……。
「ただいま」
「おう、待ってたぜ」
「待ってたって……ええっ!?」
ドアを開けた先で、何と私のエプロンを身につけたバーダックに出迎えられた。
平常心はどこへやら、心の底からびっくり!
「人のエプロンつけて何してんの!?」
「見りゃ分かるだろうが。菓子作ってんだよ」
そう言いながら、親指でオーブンを指す。
「似合わなっ!」
「うるせえな。今日は特別な日なんだろ。テレビで特集やってたからな。男が女に菓子を贈るってよ」
「確かにそうだけど……って、バーダックってお菓子作れるの!?」
「一応簡単なもんは作れるぜ。クッキーなんか、ホットケーキミックス使えばすぐ出来るしな」
バーダックの口からお菓子用語が出て来るなんて、何だか夢でも見てるみたい……。
「今朝お前の様子が変だったのは、今日がホワイトデーだからだろ?」
「あ、うん。そうだけど……」
「気づいてやれなくて悪かったな」
「えっ!?」
あのバーダックが謝ってくれるなんてホントに夢みたい。
と、そこでお菓子が焼き上がったらしく、バーダックがオーブンを開けるとキッチンに香ばしい匂いが漂う。
「どうやら上手く焼けたみたいだな」
バーダックが天板を持ち上げてテーブルの上に乗せ、焼き上がったばかりのお菓子を見せてくれる。 そこにはハート型や星型のクッキーが何枚も並んでいた。
「わあ、美味しそう!」
「味見してみるか?」
「でも熱いでしょ。冷ましてからの方が……」
私がそう言いかけると、バーダックは徐にハート型のクッキーを一枚摘み上げる。
「こうやって冷ませば食えるぜ」
そして、ふうふうと息を吹きかけた。
「ほら、口開けろよ」
「えっ、あ……あーん」
こういうの慣れてないから妙に恥ずかしい……。
戸惑いながらも言われるまま口を開ければ、クッキーを押し込まれて、噛み締めるとほんのり香ばしい風味が口いっぱいに広がる。
「美味しい!」
「オレにも味見させろよ」
そんな言葉が耳元で聞こえた瞬間、唇を塞がれた。
薄く開いた唇の隙間からバーダックの舌が差し込まれる。
「んんっ……」
互いの舌が絡み合い、より甘さが増したような気がする。
バーダックの舌が優しく私の舌を撫で、クッキーの味を堪能してるみたい。
「……甘いな」
「当たり前でしょ。自分で作っておいて何言ってるのよ」
「違う、お前が甘いんだよ。唇だけじゃない。ここも……」
そう囁きながら、私の首筋に顔を埋めて、ぺろっと舐められた。
「あっ……」
「やっぱ、やる側より貰う側の方がいいな」
不敵な笑みを浮かべたバーダックがエプロンを脱ぎ捨て、私を抱き上げる。
「なっ、何するの!?」
「決まってんだろ、お前を喰うんだよ」
「ちょっと待って! 何でそうなるのよ!?」
「観念しな。隅々まで可愛がってやるからよ」
「やだってば! 何でこうなるの――っ!」
必死の抵抗も虚しく、またもやベッドへ連行されてしまうのだった。
END