★Memories
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Desire―願う―
【Saint Valentine's Day】
2月14日。今までの私にはバレンタインデーなんて無縁だった。でも今年は違う。
それはバーダックっていう恋人が出来たから(元はランプの魔人)口が悪くて乱暴で無愛想って聞こえは悪いけど、私にとって特別な人。
今、バーダックに渡す為の手作りチョコに挑戦している。でも、チョコをサラサラに溶かすって難しい。加熱しすぎると焦げちゃって風味が悪くなる。
「おい、名無しさん。さっきから何やってるんだ?」
テレビを観ていたバーダックが、不機嫌そうな声で問いかけてきた。
本当なら、こっそり作って驚かせたかった。けれど、それは同棲してると難しい。何としても完成させるまでは知られたくない。
「こっちは色々と忙しいの。あんたは煩いから、こっちには来ないでよ?」
「んだと?」
バーダックの神経を逆撫でしたとも知らず、私はチョコを溶かすことに苦戦していた。溶かす段階で何度も焦がして……あ~また失敗。こんなのバーダックに渡せないよ。
火を止めた私の背後から「おい、こら……」と地を這うような声が届いた。
「何よ、こっち来ないでって言ったのに……!」
振り向いた直後、言葉を失った。眉間に皺を寄せた鋭い目つきのバーダックが私の背後に立って、こっちを見下ろしていたから。
私が大人しくなったのを見て口元に笑みが浮かんだけど、目が全然笑ってなくて、それが余計に怖い。
「誰が煩いだって? こっち来るなって、誰に向かって言ってるんだ? ん?」
バーダックは私を挟み込むようにして、シンクの縁に両手をついた。
ヤバイ、本気で怒ってるよ。
「だって……」
あんたの為に手作りチョコに挑戦して何度も失敗してる、なんて恥ずかしくて口が裂けても言えるわけないじゃん。
「だってもへったくれもねえ。大体お前は──っ!」
バーダックが口を開いたまま目を見開いてる。
嫌な予感がして、バーダックの視線を辿った先には、失敗したチョコの残骸があった。
「っ……だから、来ないでって言ったじゃない」
気分が沈んで、視線を落とす。
「まさか、オレの為に作ってたのか?」
「そう……でもご覧の通り見事に失敗したの。どうせバカにするんでしょ」
悔しい気持ちでいっぱいになりながらも、そう呟いた。
次の瞬間、頬をバーダックの掌で包まれて、じんわりと温もりが伝わってくる。はっとして彼を見上げると、目を細めて私を見つめていた。
「んな泣きそうな顔するな。バカになんざしねえよ。今まで良く頑張ったな」
バーダックから労いの言葉を貰っても、私の心は晴れない。
「頑張ったのに、何もあげられなくてごめん」
「何言ってんだ、そこにまだあるじゃねえか」
バーダックが指したのは残っていた板チョコの欠片。
「これは、残り物だよ。こんなのあげられるわけ……んんっ」
全部言う前に、口の中に何か押し込まれた。何だろ、甘い……ってこれ残り物のチョコだ。ていうか、何で私に食べさせるの!?
混乱している間に、バーダックは私の後頭部を掴んで、身体を密着させてくる。間髪入れずに温かくて柔らかい物まで侵入してきた。これは、バーダックの舌だ。
この男は一体何を考えて──
「ん、んぅ……っ」
バーダックの舌がチョコを私の舌に押し付けるように動き出した。
既に溶け出していたチョコは二人分の熱で急速に原形をなくし、甘い香りが口の中を満たしていく。
「んっぅん……」
間もなくチョコが溶けてなくなっても、まだ唇を解放してくれなくて私の舌を執拗に舐めている。
私はバーダックの淫靡な舌遣いに、身体に力が入らなくなっていた。やっと解放された頃には、もう息も絶え絶え。
くしゃっと頭を撫でられて、彼を見ると不敵に笑っていた。
吐息混じりの声で耳元に囁かれる。
「残り物でも、名無しさんごと食えば最高の味になるんだぜ」
それだけで敏感に震えてしまうどうにもならない身体を、バーダックの力強い腕が支えてくれている。
手作りチョコは渡せなかったけど、満足してくれて良かった。
「さて、次はメインディッシュを頂くとするか」
「メインディッシュ?」
……物凄く嫌な予感がする。
「名無しさんに決まってるだろ。何せお前の身体はチョコよりも甘いからな」
「なっ!? やだっ!」
逃げようとするものの、それをバーダックが許してくれるわけもなく、軽々と担がれてしまった。
「下ろしてよっ!」
「遠慮するな。今夜は存分に可愛がってやるぜ?」
「遠慮なんかしてない! 下ろして──っ!」
私の抵抗虚しく、妖しく微笑むバーダックに担がれたまま、ベッドへと連行されてしまうのだった。
END
【Saint Valentine's Day】
2月14日。今までの私にはバレンタインデーなんて無縁だった。でも今年は違う。
それはバーダックっていう恋人が出来たから(元はランプの魔人)口が悪くて乱暴で無愛想って聞こえは悪いけど、私にとって特別な人。
今、バーダックに渡す為の手作りチョコに挑戦している。でも、チョコをサラサラに溶かすって難しい。加熱しすぎると焦げちゃって風味が悪くなる。
「おい、名無しさん。さっきから何やってるんだ?」
テレビを観ていたバーダックが、不機嫌そうな声で問いかけてきた。
本当なら、こっそり作って驚かせたかった。けれど、それは同棲してると難しい。何としても完成させるまでは知られたくない。
「こっちは色々と忙しいの。あんたは煩いから、こっちには来ないでよ?」
「んだと?」
バーダックの神経を逆撫でしたとも知らず、私はチョコを溶かすことに苦戦していた。溶かす段階で何度も焦がして……あ~また失敗。こんなのバーダックに渡せないよ。
火を止めた私の背後から「おい、こら……」と地を這うような声が届いた。
「何よ、こっち来ないでって言ったのに……!」
振り向いた直後、言葉を失った。眉間に皺を寄せた鋭い目つきのバーダックが私の背後に立って、こっちを見下ろしていたから。
私が大人しくなったのを見て口元に笑みが浮かんだけど、目が全然笑ってなくて、それが余計に怖い。
「誰が煩いだって? こっち来るなって、誰に向かって言ってるんだ? ん?」
バーダックは私を挟み込むようにして、シンクの縁に両手をついた。
ヤバイ、本気で怒ってるよ。
「だって……」
あんたの為に手作りチョコに挑戦して何度も失敗してる、なんて恥ずかしくて口が裂けても言えるわけないじゃん。
「だってもへったくれもねえ。大体お前は──っ!」
バーダックが口を開いたまま目を見開いてる。
嫌な予感がして、バーダックの視線を辿った先には、失敗したチョコの残骸があった。
「っ……だから、来ないでって言ったじゃない」
気分が沈んで、視線を落とす。
「まさか、オレの為に作ってたのか?」
「そう……でもご覧の通り見事に失敗したの。どうせバカにするんでしょ」
悔しい気持ちでいっぱいになりながらも、そう呟いた。
次の瞬間、頬をバーダックの掌で包まれて、じんわりと温もりが伝わってくる。はっとして彼を見上げると、目を細めて私を見つめていた。
「んな泣きそうな顔するな。バカになんざしねえよ。今まで良く頑張ったな」
バーダックから労いの言葉を貰っても、私の心は晴れない。
「頑張ったのに、何もあげられなくてごめん」
「何言ってんだ、そこにまだあるじゃねえか」
バーダックが指したのは残っていた板チョコの欠片。
「これは、残り物だよ。こんなのあげられるわけ……んんっ」
全部言う前に、口の中に何か押し込まれた。何だろ、甘い……ってこれ残り物のチョコだ。ていうか、何で私に食べさせるの!?
混乱している間に、バーダックは私の後頭部を掴んで、身体を密着させてくる。間髪入れずに温かくて柔らかい物まで侵入してきた。これは、バーダックの舌だ。
この男は一体何を考えて──
「ん、んぅ……っ」
バーダックの舌がチョコを私の舌に押し付けるように動き出した。
既に溶け出していたチョコは二人分の熱で急速に原形をなくし、甘い香りが口の中を満たしていく。
「んっぅん……」
間もなくチョコが溶けてなくなっても、まだ唇を解放してくれなくて私の舌を執拗に舐めている。
私はバーダックの淫靡な舌遣いに、身体に力が入らなくなっていた。やっと解放された頃には、もう息も絶え絶え。
くしゃっと頭を撫でられて、彼を見ると不敵に笑っていた。
吐息混じりの声で耳元に囁かれる。
「残り物でも、名無しさんごと食えば最高の味になるんだぜ」
それだけで敏感に震えてしまうどうにもならない身体を、バーダックの力強い腕が支えてくれている。
手作りチョコは渡せなかったけど、満足してくれて良かった。
「さて、次はメインディッシュを頂くとするか」
「メインディッシュ?」
……物凄く嫌な予感がする。
「名無しさんに決まってるだろ。何せお前の身体はチョコよりも甘いからな」
「なっ!? やだっ!」
逃げようとするものの、それをバーダックが許してくれるわけもなく、軽々と担がれてしまった。
「下ろしてよっ!」
「遠慮するな。今夜は存分に可愛がってやるぜ?」
「遠慮なんかしてない! 下ろして──っ!」
私の抵抗虚しく、妖しく微笑むバーダックに担がれたまま、ベッドへと連行されてしまうのだった。
END