★Short Dream
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
数ヶ月振りに任務から解放された私は身体を休める為、自宅に向かって飛んでいた。
常に死と隣り合わせで生きている環境では、羽を伸ばせる時間が殆どなくて。
だから次の任務までの限られた自由時間を使って、睡眠を取らなくちゃいけない。
「そういえば――」
ふと思い浮かんだのが恋人のブロリーの面差し。
最後に逢ったのは遠征の直前。
私の無事を祈っていると言って、優しく抱き締めてくれた。
ブロリーが私を想ってくれるのは凄く嬉しいし、絶対に生還しなくちゃと思う。
でも今回の任務中に仲間の独りが戦死してしまったことで、命はいつ潰えるのか分からないと再認識させられた。
だから、もしもの為に未練を残しちゃいけない。
そして私はある一つの答えを導き出した。
ブロリーとの関係を終わりにしようと――
「名無しさん」
「えっ!?」
いきなり名前を呼ばれたと同時に、前方から体躯を拘束されてしまった。
当然、私は宙で身動きが取れなくなってしまうわけで。
……こんな強引なことをするのは、私の知り合いで独りしかいない。
頭上を見れば、私を捉えた張本人と目が合った。
「ブロリー、急に抱きつくのは止めてって言ってるでしょ?」
「早く名無しさんに逢いたかったんだ」
普段無表情なブロリーが、今は寂しげな表情で私を見つめている。
その瞳は捨てられた子犬みたい。
決心が鈍ってしまうから、そんな目で見ないで欲しい。
「名無しさん」
ブロリーは私の腰に腕を絡めて、真っ直ぐに見つめてくる。
「やはり名無しさんと触れ合っていると安心する。オレはもうお前を離したくない。ずっとこの腕に閉じ込めて置きたいと想う」
いつものように甘えているだけじゃなく、心の底から求められているようで。
ただでさえ精悍な面立ちなのに、そんな真摯な眼差しで見つめられたら、流されてしまいそうになる。
それでも、ブロリーには別れを告げなくちゃいけないんだ。
私は深呼吸して、ブロリーを見据えた。
「ブロリーの言葉は嬉しいよ。でも……また任務があるし、ずっと一緒にいるのは無理だよ。だから二人で逢うのは、これで最後にして欲しいの」
私がそう口にした途端、ブロリーは眉間に皺を寄せる。
「そんなの絶対に認めないからな」
私の腰を抱く腕に力が籠められ、互いの躯に隙間がなくなった。
「っ!?」
ブロリーの吐息がかかるぐらい至近距離で、思わず息を呑む。
「もっと名無しさんを肌で感じていたい。お前がオレの傍から離れて行くなんて堪えられないんだ。この先も、ずっと隣にいてくれ」
なんの躊躇いもなく発するブロリーの言葉に、私の心は揺れ動いた。
それでも、流されるわけにはいかない。
「けど、何よりも任務が最優先なのは、知ってるでしょう? 私がいつ戦死するかも分からないし……お願いだから、あんまり困らせないで」
二人の間に沈黙が流れた。
重い空気に包まれた状態で、先に口を開いたのはブロリーだった。
「オレは誰よりも名無しさんを求めているのに、何故応えてくれないんだ? お前はオレが嫌いになったのか?」
「そういう問題じゃなくて。さっきも言った通り、いつ命を落とすかも分からないんだよ? 今日は一緒にいられても、明日はどうなるか分からないんだから――」
「だったらオレがずっと名無しさんの傍にいて、お前を傷つける全ての敵から護ってやる。だから、これからもオレだけの名無しさんでいてくれ」
どこまでも一途な思いをぶつけてくる。
そこまで想ってくれるブロリーに対して私は……。
「ごめんなさい!」
「くっ……名無しさん!?」
力任せに突き飛ばして、不意を突かれたブロリーがよろめいたところに、何度かエネルギー弾をぶつける。
周囲に爆風が巻き起こったのを利用して、その場から逃げ出した。
これで、もう二度とブロリーと逢うことはない――そう思った時だった。
「待ってくれ!」
反射的に振り返ると、ブロリーが後ろから迫りくる。
さすが無敵のブロリーね、あれだけじゃ足止めにもならないか。
「追って来ちゃ駄目! もうブロリーとは逢わないって決めたんだから!」
「名無しさん!」
もうすぐ自宅に着く――すんでのところで手首を掴まれた。
「ブロリーお願い。手を離して」
「断る。今離したら名無しさんは逃げるだろう?」
「もう逃げないから離して」
ややあってブロリーが私を掴んでいた手を離してくれた。
強く掴まれた手首は少し赤くなっている。
「オレは名無しさんを愛しているんだ。誰よりも何よりも、お前だけを――」
ブロリーの熱い眼差しに堪えられなくて、ギュッと目を瞑って両手で耳を塞いだ。
「そんな言葉もう聞きたくなっ……んっ!」
いきなり腕を引っ張られ、突然唇を塞がれた。
「ん……んんぅっ……」
息も出来ないぐらい激しく求められる口づけに、躰の力が抜けていく。
「名無しさんの唇、相変わらず柔らかいな。オレ好みだ」
なんとかブロリーの腕にしがみつくものの、それも厭わず彼の唇で唇の形を確かめるようになぞられる。
「んっ……」
ペロッと下唇を舐められて、肩が小さく震えた。
「名無しさん、手を貸せ」
ぼんやりしている間、徐にブロリーが私の腕を掴んだ。
「なっ、何するの?」
彼は黙したまま、自分の胸に私の掌を当てる。
「ほらオレの心臓、ドキドキしているだろう?」
ブロリーの心音が、掌を通して伝わってくる。
その命を刻む鼓動は、トクトクと速い。
「……うん」
「お前といる時だけ、こうなる。名無しさんを心から欲している証拠だ」
「なんで、そんな恥ずかしいこと平気で言えるかな」
「それが真実だから、恥ずかしがる必要なんかない」
「っ!?」
ブロリーは不意に私の胸へと耳をぴったりくっつけた。
「名無しさんの心臓もドキドキしているな。お前もオレと一緒だ。これでも、もう逢わないなんて言えるのか?」
顔を上げたブロリーは私に嬉しそうな笑みを向ける。
「……ブロリーは卑怯だよ」
「何とでも言えば良い。オレはお前が死ぬなんて考えたくもない。だから名無しさんを護る為にも、必ず共について行く。漢の約束だ」
「それは――」
「分かっている。心配するな、オレは常に単独行動だからな。誰にも文句を言わせない自信がある」
真っ直ぐ澄んだ眼差しに、心臓がドキッと跳ねた。
その言葉を信じたいと思った時点で、きっと私の根負けなんだろう。
「分かった、もう逢わないなんて言わないよ。その代わり、約束は守ってね?」
「ああ、望むところだ」
ブロリーは本当に嬉しそうに微笑んで、もう離さないとばかりに熱い抱擁をしてくれた。
後日。約束通りブロリーが私の遠征について来ては、片っ端から敵を殲滅させる姿が、当たり前に見られるようになった。
ブロリーの底知れない愛の深さを感じる今日この頃。
【ブロリーから貴女へ】
名無しさん、少しでもオレの想いがお前に伝わっただろうか?
もしも満足出来なかったら、すまない。
だが、もし少しでも愉しんでくれたなら有難いな。
名無しさんへの想いで溢れたオレの心を、どうしてもお前に知って欲しかった。
オレは名無しさんを心から愛している。
いつもお前だけを想っている。
名無しさんはオレの何より大事な宝だ。
それだけは、忘れないでいて欲しい。
オレの愛しい名無しさん、またいつでも逢いに来てくれ。
END
常に死と隣り合わせで生きている環境では、羽を伸ばせる時間が殆どなくて。
だから次の任務までの限られた自由時間を使って、睡眠を取らなくちゃいけない。
「そういえば――」
ふと思い浮かんだのが恋人のブロリーの面差し。
最後に逢ったのは遠征の直前。
私の無事を祈っていると言って、優しく抱き締めてくれた。
ブロリーが私を想ってくれるのは凄く嬉しいし、絶対に生還しなくちゃと思う。
でも今回の任務中に仲間の独りが戦死してしまったことで、命はいつ潰えるのか分からないと再認識させられた。
だから、もしもの為に未練を残しちゃいけない。
そして私はある一つの答えを導き出した。
ブロリーとの関係を終わりにしようと――
「名無しさん」
「えっ!?」
いきなり名前を呼ばれたと同時に、前方から体躯を拘束されてしまった。
当然、私は宙で身動きが取れなくなってしまうわけで。
……こんな強引なことをするのは、私の知り合いで独りしかいない。
頭上を見れば、私を捉えた張本人と目が合った。
「ブロリー、急に抱きつくのは止めてって言ってるでしょ?」
「早く名無しさんに逢いたかったんだ」
普段無表情なブロリーが、今は寂しげな表情で私を見つめている。
その瞳は捨てられた子犬みたい。
決心が鈍ってしまうから、そんな目で見ないで欲しい。
「名無しさん」
ブロリーは私の腰に腕を絡めて、真っ直ぐに見つめてくる。
「やはり名無しさんと触れ合っていると安心する。オレはもうお前を離したくない。ずっとこの腕に閉じ込めて置きたいと想う」
いつものように甘えているだけじゃなく、心の底から求められているようで。
ただでさえ精悍な面立ちなのに、そんな真摯な眼差しで見つめられたら、流されてしまいそうになる。
それでも、ブロリーには別れを告げなくちゃいけないんだ。
私は深呼吸して、ブロリーを見据えた。
「ブロリーの言葉は嬉しいよ。でも……また任務があるし、ずっと一緒にいるのは無理だよ。だから二人で逢うのは、これで最後にして欲しいの」
私がそう口にした途端、ブロリーは眉間に皺を寄せる。
「そんなの絶対に認めないからな」
私の腰を抱く腕に力が籠められ、互いの躯に隙間がなくなった。
「っ!?」
ブロリーの吐息がかかるぐらい至近距離で、思わず息を呑む。
「もっと名無しさんを肌で感じていたい。お前がオレの傍から離れて行くなんて堪えられないんだ。この先も、ずっと隣にいてくれ」
なんの躊躇いもなく発するブロリーの言葉に、私の心は揺れ動いた。
それでも、流されるわけにはいかない。
「けど、何よりも任務が最優先なのは、知ってるでしょう? 私がいつ戦死するかも分からないし……お願いだから、あんまり困らせないで」
二人の間に沈黙が流れた。
重い空気に包まれた状態で、先に口を開いたのはブロリーだった。
「オレは誰よりも名無しさんを求めているのに、何故応えてくれないんだ? お前はオレが嫌いになったのか?」
「そういう問題じゃなくて。さっきも言った通り、いつ命を落とすかも分からないんだよ? 今日は一緒にいられても、明日はどうなるか分からないんだから――」
「だったらオレがずっと名無しさんの傍にいて、お前を傷つける全ての敵から護ってやる。だから、これからもオレだけの名無しさんでいてくれ」
どこまでも一途な思いをぶつけてくる。
そこまで想ってくれるブロリーに対して私は……。
「ごめんなさい!」
「くっ……名無しさん!?」
力任せに突き飛ばして、不意を突かれたブロリーがよろめいたところに、何度かエネルギー弾をぶつける。
周囲に爆風が巻き起こったのを利用して、その場から逃げ出した。
これで、もう二度とブロリーと逢うことはない――そう思った時だった。
「待ってくれ!」
反射的に振り返ると、ブロリーが後ろから迫りくる。
さすが無敵のブロリーね、あれだけじゃ足止めにもならないか。
「追って来ちゃ駄目! もうブロリーとは逢わないって決めたんだから!」
「名無しさん!」
もうすぐ自宅に着く――すんでのところで手首を掴まれた。
「ブロリーお願い。手を離して」
「断る。今離したら名無しさんは逃げるだろう?」
「もう逃げないから離して」
ややあってブロリーが私を掴んでいた手を離してくれた。
強く掴まれた手首は少し赤くなっている。
「オレは名無しさんを愛しているんだ。誰よりも何よりも、お前だけを――」
ブロリーの熱い眼差しに堪えられなくて、ギュッと目を瞑って両手で耳を塞いだ。
「そんな言葉もう聞きたくなっ……んっ!」
いきなり腕を引っ張られ、突然唇を塞がれた。
「ん……んんぅっ……」
息も出来ないぐらい激しく求められる口づけに、躰の力が抜けていく。
「名無しさんの唇、相変わらず柔らかいな。オレ好みだ」
なんとかブロリーの腕にしがみつくものの、それも厭わず彼の唇で唇の形を確かめるようになぞられる。
「んっ……」
ペロッと下唇を舐められて、肩が小さく震えた。
「名無しさん、手を貸せ」
ぼんやりしている間、徐にブロリーが私の腕を掴んだ。
「なっ、何するの?」
彼は黙したまま、自分の胸に私の掌を当てる。
「ほらオレの心臓、ドキドキしているだろう?」
ブロリーの心音が、掌を通して伝わってくる。
その命を刻む鼓動は、トクトクと速い。
「……うん」
「お前といる時だけ、こうなる。名無しさんを心から欲している証拠だ」
「なんで、そんな恥ずかしいこと平気で言えるかな」
「それが真実だから、恥ずかしがる必要なんかない」
「っ!?」
ブロリーは不意に私の胸へと耳をぴったりくっつけた。
「名無しさんの心臓もドキドキしているな。お前もオレと一緒だ。これでも、もう逢わないなんて言えるのか?」
顔を上げたブロリーは私に嬉しそうな笑みを向ける。
「……ブロリーは卑怯だよ」
「何とでも言えば良い。オレはお前が死ぬなんて考えたくもない。だから名無しさんを護る為にも、必ず共について行く。漢の約束だ」
「それは――」
「分かっている。心配するな、オレは常に単独行動だからな。誰にも文句を言わせない自信がある」
真っ直ぐ澄んだ眼差しに、心臓がドキッと跳ねた。
その言葉を信じたいと思った時点で、きっと私の根負けなんだろう。
「分かった、もう逢わないなんて言わないよ。その代わり、約束は守ってね?」
「ああ、望むところだ」
ブロリーは本当に嬉しそうに微笑んで、もう離さないとばかりに熱い抱擁をしてくれた。
後日。約束通りブロリーが私の遠征について来ては、片っ端から敵を殲滅させる姿が、当たり前に見られるようになった。
ブロリーの底知れない愛の深さを感じる今日この頃。
【ブロリーから貴女へ】
名無しさん、少しでもオレの想いがお前に伝わっただろうか?
もしも満足出来なかったら、すまない。
だが、もし少しでも愉しんでくれたなら有難いな。
名無しさんへの想いで溢れたオレの心を、どうしてもお前に知って欲しかった。
オレは名無しさんを心から愛している。
いつもお前だけを想っている。
名無しさんはオレの何より大事な宝だ。
それだけは、忘れないでいて欲しい。
オレの愛しい名無しさん、またいつでも逢いに来てくれ。
END