【第二章】戻る日常、変わる日常ー。
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午後の休憩時間。
復興現場の片隅に設けられた休憩所では、数人の女性隊士たちが茶を飲んでいた。
日中の作業で疲れた身体を休めながら、話題は自然と隊長のことへ向かっていく。
「ねえ、今日の日番谷隊長、見た?」
「見たよ。やっぱり、また伸びてるよね」
一人がそう言うと、別の隊士が少しだけ頬を緩めた。
「……正直、最近ちょっと気になっちゃうんだよね」
「わ、分かる...」
「最初は、身体が大きくなってることに驚いただけだったんだけど」
「今は?」
「なんていうか……成長したら、どんな感じになるのかなって」
「それ、私も思ってた」
声が少し弾む。
「まだ小柄だけど、前より雰囲気が変わってきたよね。指示を出してる時とか、何だか目を引くし」
「そうそう!顔立ちも、少しずつ変わってきてる気がする」
「このまま成長したら、結構……」
そこで、一人が言葉を止めた。
「……格好良くなるんじゃない?」
その言葉に、周囲の隊士たちは顔を見合わせる。
「ちょっと、何言ってるの!」
「だって、そう思わない?」
「……まあ、分からなくはないけど」
小さな笑い声が上がる。
そこへ、書類を抱えた乱菊が通りかかった。
「何々? アンタ達、楽しそうじゃない?」
女性隊士たちは、慌てて姿勢を正す。
「ま、松本副隊長!」
乱菊は、彼女たちの顔を順番に見て、にやりと笑った。
「もしかして、隊長の話ぃ?」
「……っ」
女性隊士たちは、頬を赤ながら気まずそうに顔を見合わせる。
乱菊は、そんな彼女たちを見て肩をすくめた。
「まあ、気になるのも分かるけどね」
「副隊長も、そう思いますか?」
「そりゃあ!毎日見てるあたしだって驚くことはあるわよ?」
乱菊は笑いながら、冬獅郎のいる方向へ視線を向けた。
「でも、隊長本人はあんまり気にしてないみたい。身体が変わっても、仕事はいつも通りだし」
「そうなんですね……」
「それにしても、みんな随分と熱心ねぇ」
「い、いえ! 別にそういうわけでは……」
乱菊は、楽しそうに揶揄う様に笑った。
「ただ、隊長に聞こえるところで騒ぐのはやめておきなさいよ。あの人、そういう話は苦手だから」
「はい……」
「それじゃ、休憩が終わったら仕事に戻ること。まだ今日の作業は残ってるからね」
「了解しました!」
乱菊は軽く手を振り、その場を離れた。
女性隊士たちは、彼女の背中を見送りながら再び顔を見合わせる。
「……松本副隊長、全部分かってたね」
「うん」
「でも、否定しなかったね」
「……やっぱり、そういうことなのかな」
再び、小さなざわめきが広がる。
乱菊は少し離れた場所で、その声を聞きながら、ひとり笑っていた。
隊長の身体は、まだ成長の途中。
この先、どこまで変わっていくのだろうか。
そして、その変化を最も近くで見ている桜は、いつか何を思うのだろう。
ー頑張れ、たーいちょ♡
乱菊はそんなことを考えながら、酒瓶を持ち仕事をサボりに行くのだった。