【第二章】戻る日常、変わる日常ー。
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復興現場では、午前中から複数の隊士たちが作業に取り掛かっていた。
崩れた建物の修繕、資材の運搬、通路の整備。
冬獅郎は現場の中央に立ち、各所の状況を確認しながら指示を出している。
「そっちの資材は、先に北側へ運べ。通路を塞ぐな」
「はい!」
「修繕箇所の確認が終わったら報告しろ。危険な場所は無理に進めるな」
「了解しました!」
その姿を、少し離れた場所にいた女性隊士たちが見ていた。
「……ねえ」
「うん?」
「日番谷隊長って、あんな感じだったっけ?」
一人が、冬獅郎の姿を目で追いながら呟く。
「どういう意味?」
「いや……前より、ちょっと印象が変わったっていうか」
「分かる。まだ小柄ではあるんだけど、なんか……」
言葉を探すように、彼女は首を傾げた。
以前の冬獅郎は、幼さの残る顔立ちと小柄な体格が印象的だった。
それが今は、成長した腕や肩、新しい死覇装に収まった身体。
指示を出す時の姿勢にも、以前とは違う印象があった。
まだ、少年らしさは残っている。
ただその中にも、時折別の雰囲気が混ざり始めているのだ。
「このまま成長したら、どうなるんだろうね」
「……ちょっと、気になるかも」
そんな声が、ひそひそと交わされる。
もちろん、彼女たちは仕事を疎かにしているわけではない。
手を動かしながら、時折視線を向けているだけだ。
ただ、以前ならば、隊長の姿を見てもこうして話題にすることは少なかった。
変化が目に見えるようになったからこそ、自然と関心が集まっている。
その様子に、凛香も気付いていた。
『……何だか、最近隊長の周りが賑やかですね』
隣にいた乱菊へ、凛香が小さく声をかける。
乱菊は、女性隊士たちの視線を追いながら、くすりと笑った。
「そうねぇ。みんな、隊長の成長が気になるんじゃない?」
『成長……かぁ...』
凛香は、指揮を執る冬獅郎へ視線を向けた。
確かに、以前と比べて明らかに身体が大きくなっている。
それは凛香自身も、感じていることだ。
ただ、女性隊士たちがあそこまで気にしている理由は、凛香にはよく分からない。
『……騒ぐ事かなぁ』
「ふふっ。まあアンタもそのうち分かるんじゃない?」」
『何がです?』
「さあ、ねぇ?」
何か言いたげに凛香の顔を覗き込み、意味深な笑みを浮かべる乱菊。
桜は首を傾げたが、それ以上追及することはなかった。
その頃、冬獅郎は別の隊士から報告を受けていた。
女性隊士たちの視線が、時折自分へ向けられていることには気付いている。
しかし、その理由をいちいち考えるほど暇ではない。
「……松本」
「はぁい?」
「お前、何か知ってるのか」
「いいえー?なーんにも?」
乱菊は、楽しそうに笑った。
冬獅郎はその表情を見て、これ以上聞くのをやめた。
今は、復興作業を進めることが先だ。
そう考え、再び現場へ視線を戻した。