【第二章】戻る日常、変わる日常ー。
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ここ最近、乱菊と冬獅郎の会話には以前よりも少しだけ衣服に関する話題が増えていた。
原因は、隊長である日番谷冬獅郎の体の成長だ。
戦後、身体に起き始めた変化は一時的なものかと思われていたが、しばらく停滞していた成長はいつしか途切れることなく続くようになり、気付けば百五十センチを超えるところまで来ていた。
流石に以前の死覇装では窮屈さが目立つ。
袖は明らかに短くなり、裾も足元から少しずつ離れていく。
羽織も、以前のように身体に馴染んだままではいられなくなっていた。
「……仕方ねぇな」
自分の身体を見下ろし、冬獅郎は小さく息を吐いた。
大げさに騒ぐつもりはない。
わざわざ隊士を呼びつけて事情を説明するのも面倒だ。
必要なものを新しく用意する、それだけの話だ。
採寸もできる限り自分で済ませるつもりだった。
ただ、羽織の仕立てに関しては、少しばかり手間がかかる。
「隊長、あたしでよければ手伝います?」
声をかけたのは、乱菊だった。
冬獅郎が一瞬だけ顔を上げる。
乱菊は、彼の身体に起きている変化を知っている。
だからこそ、余計な詮索をせず必要な部分だけを手伝うことができた。
そういえば、乱菊は贔屓にしている呉服屋がある様な話をいつか聞いた事がある気がする。
「……頼む」
「はぁい、お任せください♪」
軽い調子で返事をした乱菊は、既に用意された新しい死覇装に目を落とした。
「それにしても、もう百五十センチを超えたんですねぇ」
元の羽織と新しい羽織を重ね合わせ、その成長具合をまじまじと眺める乱菊。
「……その話はいい」
「ふふ。いえ、別に悪いことじゃないですよ?」
「分かってる」
冬獅郎は乱菊から新しい隊長羽織を奪い袖を通す。
以前のものよりもゆったりし、窮屈さはどこにもない。
鏡に映る自分の姿を暫く見つめていた。