【第二章】戻る日常、変わる日常ー。
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大戦から、二月ほど経った。
十番隊隊長室の机には、いつもの隊務書類に混じって、密かに一冊の小さな記録帳が置かれていた。
冬獅郎は、その帳面を開く。
最初の頁に記された数字は、百三十三。
その下には、日付とともに少しずつ増えていく数値が並んでいる。
百三十四 百三十六 百三十八 百四十
そして、今日。
冬獅郎は壁に背をつけ、目印にしていた位置を確認した。
「……百四十八、か」
少し前、数日間ほとんど変化のない時期があった。
身長が伸びたと思えば、しばらく停滞する。
手足の長さや肩幅に変化が見られた後、また元の状態に落ち着く。
それが、これまでの傾向だった。
だが、ここ最近は違う。
成長が止まる日がない。
朝に測った数値が、数日後にはまた増えている。
衣服の袖丈も、死覇装の裾も、以前より頻繁に調整が必要になった。
手のひらは、以前の小ささを少しずつ失っていた。
指が伸び、節の形が変わり、掌の幅も広がっている。
木刀を握った時の感触も違う。
柄を包む指の長さ
手首から肘までの距離
踏み込んだ際に生じる重心の変化
どれも、見過ごせるほど小さなものではなくなっていた。
冬獅郎は記録帳の最後に、今日の日付を書き込む。
『成長の停滞、確認できず。変化は継続』
筆を止め、少し考える。
それから、もう一行。
『手指、四肢の長さにも明確な変化』
書き終えた帳面を閉じた。
身体の変化は、もはや一時的な揺らぎではない。
このまま成長が止まる事がなければ、もしやあの姿になるのやも知れないという可能性すら出てきた。
少なくとも、今はそう判断してよさそうだった。
「……面倒なことになってきたな」
口にした言葉は、以前と変わらない。
ただ、声の響きは少しずつ変わり始めていた。