【第二章】戻る日常、変わる日常ー。
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「隊長、ちょっといいですか?」
乱菊は、ちょいちょいと手招きをする様に冬獅郎に声をかける。
「……何だ」
未だ終わらぬ書類を目にしながら、一瞬だけ乱菊の方を見る。
「それ、最近少し合わなくなってません?」
指さす方には、ソファの背もたれにかけられた冬獅郎の隊長羽織。
「……何を言ってる」
「肩のところ、以前より少し張ってて着にくいんじゃありません?」
乱菊はソファに近づき、その羽織を手に取る。
両肩を持ちながら、パッと冬獅郎の方へ広げる。
「それに!棚の上の書類を取る時、前より自然に手が届いてますよね?」
「……お前、そういう所はよく見てるな」
「当然です!副隊長ですから!」
えっへんと胸を張る乱菊。
そんな威張る事か?と思いながら、日番谷はやれやれと小さなため息をつく。
「隊長の身体が変わってるのは、もう確実だと思います」
乱菊の言葉に、冬獅郎は静かに黙る。
布の重さ。 肩にかかる感触。
以前と、僅かに違う。
「……俺もそう思っている」
「……不安じゃないです?」
冬獅郎は少しだけ考えた。
不安、か。
その言葉が、今の自分に当てはまるのか?
確かに、分からないことは多い。
身体の変化がどこまで続くのかも、何が原因なのかも、何一つ明らかではない。
ただ...
「分からねえことを、今から心配しても仕方ねえだろ」
冬獅郎は、引き出しにしまっていた己の変化を書き記す為に用意した記録用紙に視線を落とす。
「変化が起きてるなら、まずは把握する。霊圧も身体の状態も、今まで以上に注意して見ていくだけだ」
乱菊は、その返答に小さく笑った。
「隊長らしいですね」
今まで止まっていた時間が、動き始めている。
それが何を意味するのか、冬獅郎はまだ知らない。
ただ、これから自分の身体に起きる変化を、確かめていくことにした。