【第二章】戻る日常、変わる日常ー。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
冬獅郎はいつも通り机に向かい、淡々と書類の確認を進めていた。
大戦から一月半は経過したが、戦後処理はまだ終わっていない。
各隊から届く報告書に目を通し、必要な指示を書き込む。
普段なら、こうした仕事に集中していれば身体の違和感など忘れられる。
だが、ここ数日はそうもいかなかった。
筆を持つ手に、僅かな感覚の違いがある。
肩から背中にかけての張り。
腰の奥に残る鈍い軋み。
そして、立ち上がった時に感じる、以前とは異なる身体の重心。
その変化を感じる頻度は、日に日に増えていた。
冬獅郎は椅子から立ち上がり、机の横に置かれた棚へ手を伸ばした。
その上段にある書類を取る。
――以前より、少し楽に届く...それと...
羽織の肩が、以前より少しだけ窮屈に感じる。
冬獅郎の手が止まった。
当然だが、棚の高さは変わっていない。
彼は書類を取り出すと、棚の側面に目を向けた。
そこには、隊士たちが備品の位置を確認するために貼った小さな目印がある。
以前の自分の頭の位置と比べる。
正確な記録ではない。 それでも、変化を考えるには十分だった。
「……あって四、五センチってところか?」
まだ大きな変化ではない。
誰かが見て、すぐに分かるほどのものでもないだろう。
だが、冬獅郎は自分の身体の感覚を疑わなかった。
戦争以前、成長とは無縁だった身体。
霊術院時代から変わらなかった背丈
。 周囲の者たちが成長していく中で、自分だけが同じ姿のまま時間を重ねてきた。
それが今になって、僅かに動き始めている。
「……そういうことも、あるのか」
呟きには、困惑よりも静かな納得が滲んでいた。
やはり、あの時氷輪丸を完成させた事が関係しているのか。
それとも、戦争を経た僅かな霊圧の変化によるものなのか。
現時点では判断することはできない。
しかし、原因が分からないからといって、変化そのものを否定するつもりもなかった。
冬獅郎は机の端に置いていた記録用紙を引き寄せる。
身体の軋みが起きた時間
霊圧の流れ
衣服の感覚
そして、身長の変化と思われる兆候。
一つずつ、簡潔に書き留めていく。
「……経過を見りゃ、何か分かるだろ」
今まで経験したことのない変化。
それは、冬獅郎にとって未知のものだった。
だからこそ、見過ごすわけにはいかない。
自分の身体に何が起きているのか。 どこまで変わっていくのか。
その答えを、冬獅郎は焦らず確かめていくつもりだった。