【第二章】戻る日常、変わる日常ー。
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「凛香さん!!」
隊舎の中へ入った途端、廊下の向こうからひとりの隊士の声が響いた。
その声に反応するように、何人もの隊士が顔を出してこちらを見る。
「凛香さんが戻ってきたぞ!」
「本当だ!」
「おかえりなさい、月影さん!」
あっという間に、凛香の周囲には隊士たちが集まっていた。
『ただいま!みんな元気そうでよかった』
「もう、心配したんですよ!」
「三週間も目を覚まさなかったって聞いて……」
「本当に大丈夫なんですか?」
矢継ぎ早に飛んでくる言葉に、凛香は少し困ったように笑った。
『大丈夫、大丈夫。もうずいぶん良くなったから』
「でも、まだ無理は駄目ですよ!」
「そうですよ! 隊長にも言われてるんですから!」
「……おい」
背後から一段と低い声がした。
隊士たちの肩が一斉に跳ね、ギギギギッとゆっくり後ろを振り向く。
一段と眉間に皺を寄せた冬獅郎が、腕を組み仁王立ちで一同を見渡していた。
「お前ら、月影が戻ってきたからって浮かれて仕事を放り出すなよ....」
「は、はいィィ!」
「歓迎するのは構わねえが、仕事は仕事だ」
「も、申し訳ありませんッ!」
「……まったく」
隊士たちが慌てて散っていく。
その様子を見ていた凛香は、くすくすと笑った。
『相変わらずですね、隊長』
「何がだ」
『いえ、十番隊らしいなって』
「そうかよ」
冬獅郎は短く返事をすると、凛香の荷物を持ち直した。
「部屋まで送る」
『えっ、1人で行けますよ?ちゃんと歩けますし!』
「歩けるのと、歩いていいのは別だ」
『……はぁい』
返す言葉が見つからず、凛香は大人しく従った。
そんな二人の後ろ姿を、少し離れたところから乱菊が眺めていた。
「ふふ……」
口元に浮かぶ笑みは、どこか楽しげだった。