【第一章】大戦、そして終戦へー。
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四番隊の病室に、柔らかな朝の光が差し込んでいた。
障子の向こうから聞こえる小鳥の声と、廊下を行き交う隊士たちの足音。
戦いの最中には、決して聞くことのできなかった穏やかな音だった。
凛香が目を覚ましてから、数日が経っていた。
身体にはまだ痛みが残り、霊力も完全には戻っていない。
少し動くだけで疲労が押し寄せ、以前のように自由に身体を動かすことはできなかった。
それでも、三週間もの間眠り続けていたことを思えば、回復は順調だと言えるだろう。
『…暇だなぁ』
ぽつりと呟く。
天井を見上げたまま、凛香は小さく息を吐いた。
目が覚めてからというもの、四番隊の隊士たちには何度も安静にするよう言われている。
少し歩こうとすれば止められ、身体を起こしていれば休むよう促される。
もちろん、自分がどれだけの怪我を負っていたのかは理解しているつもりだ。
それでも、何もせずに横になっている時間というのは、どうにも性分に合わず落ち着かない。
『早く、帰りたいなぁ……』
十番隊舎のことを思い浮かべる。
いつもの隊舎。 いつもの執務室。 いつもの隊士たち。
そして、いつもの騒がしい副隊長と、何かと小言の多い隊長。
そう考えていると、自然と口元が緩んだ。
「……凛香?」
聞き慣れた声が聞こえ、その声の方に顔を向ける。
襖の向こうから、ひょこりと顔を覗かせたのは乱菊だった。
『乱菊さん!!』
「ふふ。思ったより元気そうじゃない」
『はい!おかげさまで』
「本当に? もう起き上がって歩き回ったりしてないでしょうね?」
『したいけど、してませんよ』
「したいけどって、アンタねぇ...やるをんじゃないわよ?」
疑わしそうな視線を向けられ、凛香は苦笑した。
『もう、信用ないなぁ』
「あんな無茶をしたんだから、当然でしょ?隊長から聞いたわよ」
少し悲しそうな顔をしながら言う乱菊をみて、凛香は少し胸が痛む。
乱菊はベッドの傍らに腰掛けると、凛香の顔を覗き込んだ。
「でも、本当に良かったわ」
『……心配かけてごめんなさい』
「もう!だから謝らなくていいってば」
乱菊は桜の頭を優しく撫でた。
「こうしてまた話せるんだから、それで十分よ」
『乱菊さん……』
「それに、アンタがいないと十番隊もつまらないもの!」
『ふふ。私、そんなに必要とされてました?』
「あら、もちろん♪面倒な書類を押しつける相手がいなくて困ってたわ」
『えぇ?それ、必要とされてる理由が違いません?』
二人の笑い声が、病室に響く。
その時だった。
「松本」
襖の向こうから、低い声がした。
「あら、隊長!来てたんですか?」
「お前はいつまでいるつもりだ」
「もぉ、お見舞いに来ちゃ悪いんですかー?」
「そうは言ってねえ」
姿を現した冬獅郎は、いつものように少し不機嫌そうな顔をしていた。
「月影、具合はどうだ」
『はい、もう大丈夫です。だいぶ楽になりました!』
「そうか」
短く答え、冬獅郎は病室の中へ入ってくる。
その姿を見て、凛香は何となく彼の顔を眺めた。
……あれ?
ほんの一瞬、そんな疑問が頭をよぎる。
何だろう、以前と同じように見えるのに、どこか違う気がする。
目つきだろうか?それとも、纏っている雰囲気だろうか?
『……?』
じっと見つめていると、冬獅郎が怪訝そうに眉を寄せた。
「何だ」
『あ、いえ』
「何か言いたそうな顔してるぞ」
『そうですか?』
「あぁ」
『うーん……』
凛香は腕を組み片手を顎に添えながら、少し考え首を傾げた。
『んー、やっぱりなんでもないです』
「……何だそりゃ」
冬獅郎は呆れたように息を吐いた。
その隣で、乱菊がくすくすと笑っている。
『凛香、隊長の顔ばっかり見ちゃって!隊長の顔に穴が空いちゃうわよー?』
『いやぁ、なんだか……』
「なんだか?」
『……なんでもないです!』
自分でもよく分からない。
きっと、気のせいだろう。
そう思い直し、凛香は二人に笑顔を向けた。
障子の向こうから聞こえる小鳥の声と、廊下を行き交う隊士たちの足音。
戦いの最中には、決して聞くことのできなかった穏やかな音だった。
凛香が目を覚ましてから、数日が経っていた。
身体にはまだ痛みが残り、霊力も完全には戻っていない。
少し動くだけで疲労が押し寄せ、以前のように自由に身体を動かすことはできなかった。
それでも、三週間もの間眠り続けていたことを思えば、回復は順調だと言えるだろう。
『…暇だなぁ』
ぽつりと呟く。
天井を見上げたまま、凛香は小さく息を吐いた。
目が覚めてからというもの、四番隊の隊士たちには何度も安静にするよう言われている。
少し歩こうとすれば止められ、身体を起こしていれば休むよう促される。
もちろん、自分がどれだけの怪我を負っていたのかは理解しているつもりだ。
それでも、何もせずに横になっている時間というのは、どうにも性分に合わず落ち着かない。
『早く、帰りたいなぁ……』
十番隊舎のことを思い浮かべる。
いつもの隊舎。 いつもの執務室。 いつもの隊士たち。
そして、いつもの騒がしい副隊長と、何かと小言の多い隊長。
そう考えていると、自然と口元が緩んだ。
「……凛香?」
聞き慣れた声が聞こえ、その声の方に顔を向ける。
襖の向こうから、ひょこりと顔を覗かせたのは乱菊だった。
『乱菊さん!!』
「ふふ。思ったより元気そうじゃない」
『はい!おかげさまで』
「本当に? もう起き上がって歩き回ったりしてないでしょうね?」
『したいけど、してませんよ』
「したいけどって、アンタねぇ...やるをんじゃないわよ?」
疑わしそうな視線を向けられ、凛香は苦笑した。
『もう、信用ないなぁ』
「あんな無茶をしたんだから、当然でしょ?隊長から聞いたわよ」
少し悲しそうな顔をしながら言う乱菊をみて、凛香は少し胸が痛む。
乱菊はベッドの傍らに腰掛けると、凛香の顔を覗き込んだ。
「でも、本当に良かったわ」
『……心配かけてごめんなさい』
「もう!だから謝らなくていいってば」
乱菊は桜の頭を優しく撫でた。
「こうしてまた話せるんだから、それで十分よ」
『乱菊さん……』
「それに、アンタがいないと十番隊もつまらないもの!」
『ふふ。私、そんなに必要とされてました?』
「あら、もちろん♪面倒な書類を押しつける相手がいなくて困ってたわ」
『えぇ?それ、必要とされてる理由が違いません?』
二人の笑い声が、病室に響く。
その時だった。
「松本」
襖の向こうから、低い声がした。
「あら、隊長!来てたんですか?」
「お前はいつまでいるつもりだ」
「もぉ、お見舞いに来ちゃ悪いんですかー?」
「そうは言ってねえ」
姿を現した冬獅郎は、いつものように少し不機嫌そうな顔をしていた。
「月影、具合はどうだ」
『はい、もう大丈夫です。だいぶ楽になりました!』
「そうか」
短く答え、冬獅郎は病室の中へ入ってくる。
その姿を見て、凛香は何となく彼の顔を眺めた。
……あれ?
ほんの一瞬、そんな疑問が頭をよぎる。
何だろう、以前と同じように見えるのに、どこか違う気がする。
目つきだろうか?それとも、纏っている雰囲気だろうか?
『……?』
じっと見つめていると、冬獅郎が怪訝そうに眉を寄せた。
「何だ」
『あ、いえ』
「何か言いたそうな顔してるぞ」
『そうですか?』
「あぁ」
『うーん……』
凛香は腕を組み片手を顎に添えながら、少し考え首を傾げた。
『んー、やっぱりなんでもないです』
「……何だそりゃ」
冬獅郎は呆れたように息を吐いた。
その隣で、乱菊がくすくすと笑っている。
『凛香、隊長の顔ばっかり見ちゃって!隊長の顔に穴が空いちゃうわよー?』
『いやぁ、なんだか……』
「なんだか?」
『……なんでもないです!』
自分でもよく分からない。
きっと、気のせいだろう。
そう思い直し、凛香は二人に笑顔を向けた。