密やかに
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二月ほど、何事もなく過ぎた。山崎は棒手振りとして毎日朝早く家を出て、おみつは繕い物をはじめる。山崎が帰ると、おみつと一緒に湯屋へ行き、長屋に帰って夕飯を取る。長屋の連中たちに冷やかされるほど、仲の良い二人だった。 そんなある日。
「烝さん、明日兄がここに寄るらしいんです。」
あっけなく、おみつは言った。ただ呆然とおみつを見つめる山崎に気づかず、繕い物をしながら、おみつは今日文を受け取ったこと、明日の夕刻にやってくること、土産に大阪の有名なお菓子を持ってきてくれるらしいこと、などをうれしそうに話した。
「・・・ 烝さん?どうしたんですか?顔色が・・・」
「・・・いや、お兄さん、怖そうだからさ。おみつちゃんの家に転がり込んでる俺を見て、大丈夫かな?斬ったりされないかな、と思ってさ。」
おみつは口に手を当てて、コロコロと笑った。
「大丈夫ですよ!兄は、そんな人じゃありませんから。心配しないでください。」
実家に居場所を失い、各地を放浪し、ただ食べられれば、との思いで入隊した新撰組。今、そこで自分は居場所を与えられようとしている。その場所をとるのか。このおみつのそばに、居場所を見つけるのか。山崎は、その夜はまんじりともせずに、おみつの寝顔を眺め続けた。
あくる日の朝、棒手振りすがたの山崎は、いつもどおりに家を出た。だが、密かに自分の身元がわかりそうなものは一緒に持って出た。 山崎が向かった先は、新撰組屯所であった。
「烝さん、明日兄がここに寄るらしいんです。」
あっけなく、おみつは言った。ただ呆然とおみつを見つめる山崎に気づかず、繕い物をしながら、おみつは今日文を受け取ったこと、明日の夕刻にやってくること、土産に大阪の有名なお菓子を持ってきてくれるらしいこと、などをうれしそうに話した。
「・・・ 烝さん?どうしたんですか?顔色が・・・」
「・・・いや、お兄さん、怖そうだからさ。おみつちゃんの家に転がり込んでる俺を見て、大丈夫かな?斬ったりされないかな、と思ってさ。」
おみつは口に手を当てて、コロコロと笑った。
「大丈夫ですよ!兄は、そんな人じゃありませんから。心配しないでください。」
実家に居場所を失い、各地を放浪し、ただ食べられれば、との思いで入隊した新撰組。今、そこで自分は居場所を与えられようとしている。その場所をとるのか。このおみつのそばに、居場所を見つけるのか。山崎は、その夜はまんじりともせずに、おみつの寝顔を眺め続けた。
あくる日の朝、棒手振りすがたの山崎は、いつもどおりに家を出た。だが、密かに自分の身元がわかりそうなものは一緒に持って出た。 山崎が向かった先は、新撰組屯所であった。