密やかに
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あくる日は、雷を伴った雨だった。とてもではないが、棒手振りが野菜を売りに外を歩くのに都合のいい日ではない。山崎は、屯所の縁側に座り、ぼんやりと外を眺めていた。結論は出ない。どうしていいかわからない。結局、山崎はおみつのいる長屋に行くことにした。
この天候では、おみつのいる長屋の周りには人っ子一人いない。そっとおみつの部屋の扉越しに声を掛けると、すぐ扉が開いて、おみつのうれしそうな顔が現れた。
「山崎さん?こんな日にどうなさったんですか?」
「いや、ちょっと・・・そこまで来たから、様子見に。」
おみつは驚いた顔のあと、うれしそうに頬を染めて山崎を部屋に上げた。雨にぬれた山崎のために手ぬぐいを渡したり、茶を入れるため湯を沸かすおみつの後姿を見ながら、山崎はあることを考えていた。 自分の立場を説明したら、おみつはどうするだろう・・・。 自分が新撰組のために働いていることを告げたら、おみつはどうするだろうか?兄を売るだろうか。それとも、俺を憎んで、このあやふやな関係も終わるだろうか? 山崎はふと自嘲した。結局、俺は自分で結論を出せず、おみつに任そうとしているのか・・・。
「山崎さん?」
おみつに声を掛けられ、山崎はふとわれに返った。そのとき、おみつの表情にいつもと違う思いつめたものがあることに気づいた。
「どうした、おみつちゃん?いつもと様子が・・・」
「山崎さん、聞いて欲しいことがあるんです。」
どくん、と山崎の心臓が鳴った。
「私、実は、兄がいるんですが・・・」
待ってくれ。
「兄は、浪人なんですが、その・・・ある思想を持っていて・・・」
言わないでくれ。後戻りできなくなる。
「悪い人ではないのです!ただ・・・その活動のために、世間様に対して、顔向けできないような・・・ことに・・・」
だめだ。おみつ、お前からそれを言えば、俺はお前を利用してしまう。
「でも、もし・・・山崎さんが、そういったことを気に掛けないと言ってくださるなら・・・」
おみつ。
「一緒に・・・いてくださいますか?」
山崎は、その夜屯所へは帰らなかった。
あくる日、山崎は近藤、土方におみつと共に暮らすことになった旨を告げ、必要最低限の荷物を持って、おみつの長屋へ向かった。
この天候では、おみつのいる長屋の周りには人っ子一人いない。そっとおみつの部屋の扉越しに声を掛けると、すぐ扉が開いて、おみつのうれしそうな顔が現れた。
「山崎さん?こんな日にどうなさったんですか?」
「いや、ちょっと・・・そこまで来たから、様子見に。」
おみつは驚いた顔のあと、うれしそうに頬を染めて山崎を部屋に上げた。雨にぬれた山崎のために手ぬぐいを渡したり、茶を入れるため湯を沸かすおみつの後姿を見ながら、山崎はあることを考えていた。 自分の立場を説明したら、おみつはどうするだろう・・・。 自分が新撰組のために働いていることを告げたら、おみつはどうするだろうか?兄を売るだろうか。それとも、俺を憎んで、このあやふやな関係も終わるだろうか? 山崎はふと自嘲した。結局、俺は自分で結論を出せず、おみつに任そうとしているのか・・・。
「山崎さん?」
おみつに声を掛けられ、山崎はふとわれに返った。そのとき、おみつの表情にいつもと違う思いつめたものがあることに気づいた。
「どうした、おみつちゃん?いつもと様子が・・・」
「山崎さん、聞いて欲しいことがあるんです。」
どくん、と山崎の心臓が鳴った。
「私、実は、兄がいるんですが・・・」
待ってくれ。
「兄は、浪人なんですが、その・・・ある思想を持っていて・・・」
言わないでくれ。後戻りできなくなる。
「悪い人ではないのです!ただ・・・その活動のために、世間様に対して、顔向けできないような・・・ことに・・・」
だめだ。おみつ、お前からそれを言えば、俺はお前を利用してしまう。
「でも、もし・・・山崎さんが、そういったことを気に掛けないと言ってくださるなら・・・」
おみつ。
「一緒に・・・いてくださいますか?」
山崎は、その夜屯所へは帰らなかった。
あくる日、山崎は近藤、土方におみつと共に暮らすことになった旨を告げ、必要最低限の荷物を持って、おみつの長屋へ向かった。