勘違い
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「巴」の続きです
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俺の戦友の様子がおかしい。 新八とは長い付き合いだし、戦いの最中、安心して背を預けられる漢だ。その新八が、急にぼ~っとしている。ぼんやりして、そして、ため息・・・。
「新八よ、お前、変なもんでも食ったか?」
「左之・・・いや・・・」
はっきりしない。
「二番組組長さんがそんなんじゃ困るぜ。言ってみろよ、できることなら助けになるぜ」
しばらく新八は迷っていたが、ついに口を開いた。
「実は、こないだの会議の後なぁ・・・」
新八は、千鶴に惚れた男がいるなら、そいつに相談して新撰組を離れるよう説得したらしい。それを聞いて俺は思わず 「馬鹿か。」 とつぶやいた。
「馬鹿ってなんだよ、!お、俺は本当に千鶴ちゃんが無事でいてほしいと願って・・・!」
「いや、だからお前馬鹿か」
他の奴らは気づいてないようだが、俺は千鶴が惚れてる相手は新八だと睨んでいた。なぜと言われてもわからないが、なんとなく・・・千鶴の視線、とか、声色、とか、まぁ男女の駆け引きにうとい新八にはわからねぇだろうな。
「いやなぁ・・・そんなこと言ったか、そうか・・・」
あきれる俺の前で、新八は話を続けた。
「でな、千鶴ちゃんは、巴御前になりたいそうだ。」
「ほう?」
「惚れた男と一緒に戦いたいと。ま、戦うは比喩だろうが、まぁ医師として役に立ちたいんだろうな」
あ~あ~まったく、男みょうりに尽きること言われてるのに、わからねぇんだなぁ。
「でな、俺は分かっちまったんだ」
ん?
「千鶴ちゃんの惚れた相手が、わかっちまった」
「・・・ん?」
いきなり新八が立ち上がる。
「もう一回、千鶴ちゃんに話してくる!」
部屋を飛び出す新八を、俺も急いで追いかける。期待半分、不安半分だ。あいつ、大丈夫かな? 新八は千鶴の部屋へ着くと、声をかけるのももどかしく障子戸を開ける。中から千鶴の破廉恥だの助平だのとどなる声が聞こえたが、それを掻き消す大声で、新八が言った。
「千鶴ちゃん、千鶴ちゃんの惚れた相手は、近藤さんか、それとも土方さんだろ!?」
・・・はぁ? 俺はそろぉっと部屋の中を覗き込む。永倉に両肩をつかまれた千鶴の顔に表情はない。あきれるとか、悲しいとか、そういう感情を通り越しちまったかな・・・。
「・・・永倉先生?・・・いったい・・・」
かすれた声で、千鶴がつぶやく。
「この新撰組を率いてんのはあの二人だからな。千鶴ちゃんがそんなに新撰組にこだわって、一緒に戦いたいとなりゃぁ、あの二人のどっちかしかいねぇ」
あ、千鶴が震えだした・・・
「おい、新八。とりあえず、お前部屋へ帰れ」
俺は新八を助けようと小声で声をかけたが、こいつ聞いてねぇ。
「永倉先生・・・」
千鶴がきっと顔をあげる。あ~あ、知らねぇぞ。
「馬鹿~~~~~!!」
どーん、と新八が突き飛ばされた。真っ赤な顔で、ぼろぼろ涙を流しながら、千鶴が仁王立ちしている。ああ、怒ってもかわいい顔だけどな、お前大の男を、しかも新撰組の組長を突き飛ばすなよ。
「原田先生も!」
おい、俺か。
「女たらしなんだから、もうちょっと永倉先生を教育してください!」
はいはい、とうなずく俺に厳しい一瞥をくれると、千鶴は廊下に尻もち状態の永倉に覆いかぶさるようにして顔を近づけた。
「だからって・・・諦めませんから!」
あ、と俺が思うのと、千鶴の唇が新八の頬に触れるのとは同時だった。怒りのせいか、照れのせいか、真っ赤な顔のまま千鶴は部屋に走りこんで障子戸を占めた。 俺の戦友は尻もちをついたまま。さぁ、この後どうなるのか、本当に楽しみだ。
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俺の戦友の様子がおかしい。 新八とは長い付き合いだし、戦いの最中、安心して背を預けられる漢だ。その新八が、急にぼ~っとしている。ぼんやりして、そして、ため息・・・。
「新八よ、お前、変なもんでも食ったか?」
「左之・・・いや・・・」
はっきりしない。
「二番組組長さんがそんなんじゃ困るぜ。言ってみろよ、できることなら助けになるぜ」
しばらく新八は迷っていたが、ついに口を開いた。
「実は、こないだの会議の後なぁ・・・」
新八は、千鶴に惚れた男がいるなら、そいつに相談して新撰組を離れるよう説得したらしい。それを聞いて俺は思わず 「馬鹿か。」 とつぶやいた。
「馬鹿ってなんだよ、!お、俺は本当に千鶴ちゃんが無事でいてほしいと願って・・・!」
「いや、だからお前馬鹿か」
他の奴らは気づいてないようだが、俺は千鶴が惚れてる相手は新八だと睨んでいた。なぜと言われてもわからないが、なんとなく・・・千鶴の視線、とか、声色、とか、まぁ男女の駆け引きにうとい新八にはわからねぇだろうな。
「いやなぁ・・・そんなこと言ったか、そうか・・・」
あきれる俺の前で、新八は話を続けた。
「でな、千鶴ちゃんは、巴御前になりたいそうだ。」
「ほう?」
「惚れた男と一緒に戦いたいと。ま、戦うは比喩だろうが、まぁ医師として役に立ちたいんだろうな」
あ~あ~まったく、男みょうりに尽きること言われてるのに、わからねぇんだなぁ。
「でな、俺は分かっちまったんだ」
ん?
「千鶴ちゃんの惚れた相手が、わかっちまった」
「・・・ん?」
いきなり新八が立ち上がる。
「もう一回、千鶴ちゃんに話してくる!」
部屋を飛び出す新八を、俺も急いで追いかける。期待半分、不安半分だ。あいつ、大丈夫かな? 新八は千鶴の部屋へ着くと、声をかけるのももどかしく障子戸を開ける。中から千鶴の破廉恥だの助平だのとどなる声が聞こえたが、それを掻き消す大声で、新八が言った。
「千鶴ちゃん、千鶴ちゃんの惚れた相手は、近藤さんか、それとも土方さんだろ!?」
・・・はぁ? 俺はそろぉっと部屋の中を覗き込む。永倉に両肩をつかまれた千鶴の顔に表情はない。あきれるとか、悲しいとか、そういう感情を通り越しちまったかな・・・。
「・・・永倉先生?・・・いったい・・・」
かすれた声で、千鶴がつぶやく。
「この新撰組を率いてんのはあの二人だからな。千鶴ちゃんがそんなに新撰組にこだわって、一緒に戦いたいとなりゃぁ、あの二人のどっちかしかいねぇ」
あ、千鶴が震えだした・・・
「おい、新八。とりあえず、お前部屋へ帰れ」
俺は新八を助けようと小声で声をかけたが、こいつ聞いてねぇ。
「永倉先生・・・」
千鶴がきっと顔をあげる。あ~あ、知らねぇぞ。
「馬鹿~~~~~!!」
どーん、と新八が突き飛ばされた。真っ赤な顔で、ぼろぼろ涙を流しながら、千鶴が仁王立ちしている。ああ、怒ってもかわいい顔だけどな、お前大の男を、しかも新撰組の組長を突き飛ばすなよ。
「原田先生も!」
おい、俺か。
「女たらしなんだから、もうちょっと永倉先生を教育してください!」
はいはい、とうなずく俺に厳しい一瞥をくれると、千鶴は廊下に尻もち状態の永倉に覆いかぶさるようにして顔を近づけた。
「だからって・・・諦めませんから!」
あ、と俺が思うのと、千鶴の唇が新八の頬に触れるのとは同時だった。怒りのせいか、照れのせいか、真っ赤な顔のまま千鶴は部屋に走りこんで障子戸を占めた。 俺の戦友は尻もちをついたまま。さぁ、この後どうなるのか、本当に楽しみだ。
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