巴
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「選択」の続きです
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千鶴が診療室に戻って治療用具を片づけていると、誰かが閉めた障子戸の外に立った気配がした。 声をかけるのを戸惑っているのがわかるので、千鶴は立ち上がって、パシン、と思い切り障子戸を開けた。
「わっ」
「先生、何か御用ですか?」
永倉はごほん、と咳をして、入るぜ、と断ってからまた部屋に戻って片づけを始めた千鶴の隣に座った。
「なぁ千鶴ちゃん、悪いことは言わねぇぜ。土方さんもああいってくれてんだ。もう・・・新撰組から離れたほうがいい」
一瞬手を止めたが、千鶴はまた無言で片づけを続ける。 はぁ、とため息をつき、永倉はガシガシと頭をかいた。
「なんでそう依怙地なのかねぇ。源さんも言ってたけど、惚れた男がいるなら、そいつとちょっと話し合えよ。そいつだって、千鶴ちゃんを危険な目にあわせてまで一緒にいたいとは思わ・・・な・・・な、何だよ?」
すごい目で自分をにらんでいる千鶴に気付いて、永倉が口を閉ざす。はぁ、と千鶴がため息をつく。その姿が、急に小さく縮こまったような気がして、永倉の心臓がドキンと跳ねた。 千鶴がすっと手を伸ばし、永倉の手をつかむ。呼吸が止まったようにぽかんとする永倉ににっこりほほ笑むと、千鶴は思いっきり永倉の手を引っ張り上げ、ぐいぐいと部屋の外に押し出そうとする。
「ちょ!ちょっとまて千鶴ちゃん!なんだよ!?は、話がまだ・・・」
「先生!」
部屋を追い出され、振り向いた永倉の真向かいに、千鶴が永倉を見上げながら立っていた。 「永倉先生。私、巴御前になるつもりです」
「巴・・・御前?」
「はい。お慕いする方と一緒に戦った巴御前のように、私も一緒に戦いたいんです。ですから、今新撰組を離れることはございません」
それはつまり、新撰組に好いた相手がいるということで。
「・・・それで、その相手っていうのは・・・」
今度こそ、千鶴の瞳に怒りの炎が燃え上がった。
「死んでも言いません!野暮天の馬鹿!」
パンっと閉められた障子戸の前で立ち尽くす永倉が、何かに気付いたのは、相当後のこと・・・。
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千鶴が診療室に戻って治療用具を片づけていると、誰かが閉めた障子戸の外に立った気配がした。 声をかけるのを戸惑っているのがわかるので、千鶴は立ち上がって、パシン、と思い切り障子戸を開けた。
「わっ」
「先生、何か御用ですか?」
永倉はごほん、と咳をして、入るぜ、と断ってからまた部屋に戻って片づけを始めた千鶴の隣に座った。
「なぁ千鶴ちゃん、悪いことは言わねぇぜ。土方さんもああいってくれてんだ。もう・・・新撰組から離れたほうがいい」
一瞬手を止めたが、千鶴はまた無言で片づけを続ける。 はぁ、とため息をつき、永倉はガシガシと頭をかいた。
「なんでそう依怙地なのかねぇ。源さんも言ってたけど、惚れた男がいるなら、そいつとちょっと話し合えよ。そいつだって、千鶴ちゃんを危険な目にあわせてまで一緒にいたいとは思わ・・・な・・・な、何だよ?」
すごい目で自分をにらんでいる千鶴に気付いて、永倉が口を閉ざす。はぁ、と千鶴がため息をつく。その姿が、急に小さく縮こまったような気がして、永倉の心臓がドキンと跳ねた。 千鶴がすっと手を伸ばし、永倉の手をつかむ。呼吸が止まったようにぽかんとする永倉ににっこりほほ笑むと、千鶴は思いっきり永倉の手を引っ張り上げ、ぐいぐいと部屋の外に押し出そうとする。
「ちょ!ちょっとまて千鶴ちゃん!なんだよ!?は、話がまだ・・・」
「先生!」
部屋を追い出され、振り向いた永倉の真向かいに、千鶴が永倉を見上げながら立っていた。 「永倉先生。私、巴御前になるつもりです」
「巴・・・御前?」
「はい。お慕いする方と一緒に戦った巴御前のように、私も一緒に戦いたいんです。ですから、今新撰組を離れることはございません」
それはつまり、新撰組に好いた相手がいるということで。
「・・・それで、その相手っていうのは・・・」
今度こそ、千鶴の瞳に怒りの炎が燃え上がった。
「死んでも言いません!野暮天の馬鹿!」
パンっと閉められた障子戸の前で立ち尽くす永倉が、何かに気付いたのは、相当後のこと・・・。
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