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形勢不利。その一言に尽きた。
各藩の寝返りに続く負け戦。近藤のケガは一向に良くならない。その日、幹部たちは広間に集まっていた。腕をつった近藤と、横に並ぶ土方の前に座るのは千鶴。部屋の壁側には、幹部たちがそろっていた。
「千鶴先生。あんたは今まで本当に良くやってくれた。だが、もうここまでだ。俺たちの戦はこれから厳しいものになる。あんたは良順先生を頼って、離脱してくれ」
千鶴は土方の言葉に、ぎゅっと唇をかんで、皆を見回した。皆、真剣に千鶴を見つめている。千鶴はうつむいた。確かに、戦局は日一日と悪くなっていく一方だ。医師としては非常に役立って入ると思うが、戦えるわけではない。だが・・・。
「一緒にいさせていただきたいです」
土方がはぁっとため息をついた。幹部たちも、腕を組みなおしたり、髪をクシャクシャとかき回したり、いらだっているような、困っているような。
「そう言ってくれるのはありがてぇよ。でもな、相当危険な状況になってんのは、先生、あんたもわかってんだろうが」
千鶴はきっと顔をあげると、はっきりといった。
「どのみち、私にはここにいるほかありません。ほかに生計の方法も知りません。それに」
皆が千鶴の顔を見つめた。
「先生方、吉原やら島原で遊んでらっしゃるのに、おなご心に関してはまったくのヘボなんですね」
ぽかんとする皆をしり目に、ではそういうことで、と頭を下げて千鶴は部屋を出ていった。 水を打ったような静けさがしばらく続いたが、井上がぼそりとささやいた。
「惚れた男が、いるのかねぇ」
その言葉が引き金となった。
「誰だ!誰なんだ、その果報者は!」 「お前か原田!お前は本当に手がはえぇな!」 「俺じゃねぇ!新八てめぇ!」 「総司か!お前よくちょっかい出してるよな!」 「意外と井上さんだったりして」 「私!?」 「それはねぇよ!」 蜂の巣をつついたような騒ぎは、その後しばらく続いた。
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続きは「選択」です
各藩の寝返りに続く負け戦。近藤のケガは一向に良くならない。その日、幹部たちは広間に集まっていた。腕をつった近藤と、横に並ぶ土方の前に座るのは千鶴。部屋の壁側には、幹部たちがそろっていた。
「千鶴先生。あんたは今まで本当に良くやってくれた。だが、もうここまでだ。俺たちの戦はこれから厳しいものになる。あんたは良順先生を頼って、離脱してくれ」
千鶴は土方の言葉に、ぎゅっと唇をかんで、皆を見回した。皆、真剣に千鶴を見つめている。千鶴はうつむいた。確かに、戦局は日一日と悪くなっていく一方だ。医師としては非常に役立って入ると思うが、戦えるわけではない。だが・・・。
「一緒にいさせていただきたいです」
土方がはぁっとため息をついた。幹部たちも、腕を組みなおしたり、髪をクシャクシャとかき回したり、いらだっているような、困っているような。
「そう言ってくれるのはありがてぇよ。でもな、相当危険な状況になってんのは、先生、あんたもわかってんだろうが」
千鶴はきっと顔をあげると、はっきりといった。
「どのみち、私にはここにいるほかありません。ほかに生計の方法も知りません。それに」
皆が千鶴の顔を見つめた。
「先生方、吉原やら島原で遊んでらっしゃるのに、おなご心に関してはまったくのヘボなんですね」
ぽかんとする皆をしり目に、ではそういうことで、と頭を下げて千鶴は部屋を出ていった。 水を打ったような静けさがしばらく続いたが、井上がぼそりとささやいた。
「惚れた男が、いるのかねぇ」
その言葉が引き金となった。
「誰だ!誰なんだ、その果報者は!」 「お前か原田!お前は本当に手がはえぇな!」 「俺じゃねぇ!新八てめぇ!」 「総司か!お前よくちょっかい出してるよな!」 「意外と井上さんだったりして」 「私!?」 「それはねぇよ!」 蜂の巣をつついたような騒ぎは、その後しばらく続いた。
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