人類最強が聞いて呆れる。
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目次
ミケの受難
その日、
調査兵団内は異様な雰囲気に包まれていた。
何故なら
この世界の住人ならば誰もが知っている
人類最強ことリヴァイ兵長と
兵団内でもリヴァイに次ぐ実力の持ち主であるミケが言葉もなく訓練場で
しかも新兵の前で無言で睨み合っていたからだ。
「ちょ、何なに!え、リヴァイ?ミケ?
ちょっとそこの君!この状況なんなの?超面白いんだけど!!」
「あ、ハンジ分隊長!」
「あー、敬礼はもういいからさ!何、何があったの?!」
捕獲した巨人に張り付いていたハンジも駆けつけ目を輝かせた。
普段寡黙なミケとリヴァイがどうしてこんな雰囲気になったのかハンジが興味を持たない筈がない。
嬉々と目を輝かせながらリヴァイとミケの周りをクルクルと飛び跳ねるハンジを一瞥したリヴァイが舌打ちをした。
「チッ、うるせぇぞこのクソメガネ」
首根っこを捕まえられたハンジがリヴァイをからかうように下から見上げた。
そしてリヴァイの後ろに立つリヴァイより少し小柄な困ったように苦笑いをする黒髪の兵士にちらりと視線を向けて
またリヴァイを見上げてニヤリと笑った。
「ははーん、成る程ねー」
「何だよ」
「ミケの幼馴染ちゃんの取り合いかよー
新兵も見てるし中に入ったらぁ?」
そう言いながらも変な笑いを漏らすハンジを放り投げるように払いのけ、
リヴァイはおもむろに後ろの兵士の手首を掴んだ。
「痛っ、リヴァイ痛いっ」
「うるさいぞ紘水」
顎を上げて紘水を見下ろしながら呟くリヴァイにミケは慌てた様にリヴァイの肩を掴んだ。
「おいリヴァイ、紘水に乱暴するな」
「乱暴?してねぇよ。寧ろ優しいだろ」
「人類最強がそれだけ力込めたら紘水の骨くらい直ぐ折れる」
少しだけ皮肉げに言ったミケにリヴァイの眉間に更に深いシワが刻まれ、
紘水はミケに目配せしてこれ以上リヴァイを煽るなとサインを出した。
「オイオイオイオイ、、ミケよ、そりゃコイツの巨人討伐数知ってていってんのか?あ?」
それは、、と言葉を濁すミケを一睨みして
リヴァイは紘水の手を引いて新兵の前をズンズン歩いていく。
よもやリヴァイが女性にそんな行動を取るだなんて信じられないだろう新兵はザワつくが、
リヴァイはそんな新兵にチラリと据わった目を向けた。
「オイ貴様ら、何を遊んでやがる。そんなに暇か?えらく愉快そうだな」
「い、いえそんな!」
「ほう、そうかそうか、なら今日の訓練は3時間延長だ。楽しいじゃねぇか、なぁ?」
(鬼だ!鬼がおる!)
抗議の声をあげたい全員だったが、
その目の恐ろしさに敬礼しながら短く「はッ!」と返事をするしか無かった。続きを読む
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