23時のドライブ

目が覚めると空はもう暗くなっていた。

昨晩退勤してからそのまま遅くまで気になっていた居酒屋を巡り、酒を飲み歩き、フラフラの足で帰宅した後はシャワーも浴びずに2人して布団に倒れ込んだ。

明日は非番だからゆっくり寝ましょう。

そんなことも言ったかもしれない。

11時頃に1度、目は覚めた。
そのタイミングでシャワーを浴び洗濯を回し、朝昼兼用ごはんを食べた。

そのまま軽く家事をしまた少し昼寝…と彼と布団に横になり今に至る。

せっかくの非番だったのに何もせず終わってしまったなぁと思いながら隣で眠る愛しい彼の頬を指でなぞった。

「あれ、美和子さん起きてたんですか」

指で触れられた頬を少し痒そうに掻きながら彼は目を開けた。

「えぇ、よく寝たわね。もう23時よ」

「あちゃーそれは寝過ぎましたね。気になるカフェもあったのですがさすがにもう閉まっちゃってるな…」

隣で彼は精一杯の伸びをした。

「渉はまだまだ寝れそうね」

「美和子さんは逆に寝れなさそうな顔をしてますね」

へへっと笑う彼にまた布団に引きずり込まれる。

「いっぱい休めはしたけど折角の休みが勿体なく感じるわね」

「そうですね、お腹も空きましたし少しドライブでも行きますか?」

「賛成、ねぇ渉、私をドライブに連れてって?」

「そんな顔、反則ですよ」





空が澄み渡る夜だ。

なんとなく行き先を海の方にし高木の運転で走り出す。

「お店も空いてないですしコンビニでいいですかね?」

「いいわね、新発売のサンドイッチ食べたかったのよ」

佐藤が嬉しそうにしているのを見て高木も頬が緩む。

少し自分が寝過ごして彼女を不機嫌にしてしまったかなという罪悪感もあったがどうやら2人して寝過ごしたっぽいと佐藤の態度から見て取れ、高木はホッと胸を撫で下ろした。

「コンビニでご飯を買って海浜公園に行きましょうか。この前テレビの特集で夜の海浜公園は船の光や堤防のあかりが綺麗でロマンチックってやってたんですよ」

「そんなのあるのね。私、夜の海には張り込みや追跡でしか来ないから景色なんてあまり覚えてないわ。渉と行けるなんて」

「滅多に夜の海なんて危険なイメージで近付かないですもんね。昼の海もいいですがたまには夜も良さそうです」

そういうと高木は法定速度を超えない程度にアクセルを深く踏んだ。



コンビニで買い物も済ませ、海浜公園の駐車場に車も入れた。

ふたりで買ったコンビニの袋を持って砂浜近くにあるベンチに腰をかけた。佐藤はサンドイッチと温かいスープ、高木はおにぎりと名物のチキンを頼んだ。

「とても綺麗ね、」

美和子さんの方が綺麗ですよ…なんて言うと叩かれそうだなと思い高木はぐっと言葉を飲み込んだ。

堤防の灯り、首都高からの車の光、オフィスのビルの明かり、漁船や船のライト、色々な光が海を照らしている。

「ねぇ、渉、また連れてきてくれる?」

佐藤はサンドイッチをかじりながら高木を見ることもなく照らされた綺麗な海を見ながら聞いてくる。

「もちろんですよ。美和子さんの行きたいところはどこでも喜んで連れていきますよ」

「なんでそんなに必死なのよ」

そう笑いながらも佐藤はありがとうと呟いた。

明日も仕事のため滞在も30分程でまた車に乗り込んだ。

たまには寝過ごして23時のドライブも良いかもしれない。
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