小話・はじまりの裏側で

彼奴に酷い言葉を投げつけ、たくさんの嘘を重ね、傷つけて遠ざけた。
彼奴を巻き込まない為に。彼奴を守る為に。

本当はずっと傍にいたい。
例え自分の気持ちを伝えることが出来なくても。
ただ傍にいて、笑いあえれば良かった。

昔のように。
今はそれも出来ない。
全部俺のせいだ。

こんなに冷たくしても、彼奴は俺を見捨てない。
時折思い出したような然り気無さで、ラインを送ってくる。

彼奴の為を思うなら全ての手段を断ち切らなきゃいけないのに。
これだけはどうしても捨てられないでいる。

許してほしい。
返信すらしてあげられないのに、こうしてまだ繋げてあることを。
今の俺の支えはこれだけなんだ。

俺は祈るような気持ちでスマホを握り締めた。

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