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バッと悲鳴のあった方へ向くと、鳥が音に反応して飛びったっている様子が目に映った。私が唖然としていると横を誰かが急いで走り抜けていく。言わずもがな、ランピーである。私は、その背中を慎重に見えなくなるまで見つめていた。
「もう行ったか……?」
周囲の音に耳を澄ませてみるが、聞こえるのは鳥の鳴く声や木が風で揺れる音くらいだ。詰めていた息をそっと吐きだし、それから自分に気合を入れなおす。まだ油断するのは早い、悲鳴が聞こえたということは住民の誰かしらが危機に見舞われたということである。そしてこの世界で危機に見舞われるということは重度の怪我や死を意味する。もしかしたらその被害が私のところまで及ぶかもしれない。住民には悪いが、此処から早く離れた方が良さそうだ。
私はもう一度だけ悲鳴のあった方向を見ると、その反対方向へと足を向けた。
〜〜〜
「はぁはぁ…」
どれくらい走っただろうか?
慎重に、音を立てないように、でも、出来るだけ早く。
その言葉をずっと頭に浮かべながら走って来た。まあ走るといっても小走り程度のスピードなのだが。
それでもあの場所からは大分離れたはずだ。
一度、足を止めて後方を確認した方が良いだろうか?いや、でもそれをするとスピードが……。
私の頭に二つの選択肢が浮かぶ。どちらを選ぼうか決めあぐねていた、その時だった。
ドンっ
「え」
足が何かに引っかかった。
地面に生えた小さな木の幹に気づいた時には、既に私の身体は前に傾いていた。
落ちるーー。
頭の中が、その一言で埋め尽くされた。
咄嗟に受け身をとったが、私は下り気味の山道をボールの様に丸まりながら転がっていた。体を止めることも出来ないまま段々と勢いがつき、耳元で聞こえる風の音が鋭さを増していく。私はそれを聞きながらただ、硬いものにだけは当たりませんようにと祈るしかなかった。
そのうちに斜面は段々平行になり、スピードも緩まってきて。
最後に、コツンと何かに当たり、回転は止まった。
私は暫くその態勢で止まっていたが、意味もなくやっていたわけでは無い。
「……オエッ」
ただ胃の内容物を留めるのに必死だっただけだ。
口に手を当てて喉元までせり上がってきたそれを何とか飲み込む。しかし少し抑えきれなかった分が口の中でジンワリと酸っぱさを広げた。この世界はそんなに私を吐かせたいのかよ…吐き要員はフレイキーちゃんに頼んでくれ……。
私がそんな事を思っている間に少しずつ吐き気が治まってきた。
私は自分が当たったものに手を掛けると、それに寄りかかるようにしてまだふらつく体を支えた。本当にこの世界に来てから散々な目にばっかあってるなぁと独りごちる。周りに危険がなかったらこのまま座り込んで泣き喚いてしまいそうだ。
しかしそんな事をするわけにもいかないので緩もうとする涙腺に力を入れつつ、取り敢えず自分がいる場所の確認をする。
そこは、所々に木が生えた広場のような場所だった。
さっきまで私がいた場所よりは木が少なく、しかしだからといってそこまで開けた場所ではない。
草も伸び放題で手入れをされている様子もなく、周りに人の気配はなかった。
一応確認のため、そこらへんを歩き回ってみたが建物らしきものは見つからなかった。ただ古びたベンチが何個かあったことから、使われなくなった広場の類だと推測する。途中山から流れてきた小さな川やリンゴの木、ベリーの茂みなども発見した。
まあ、要するに
「………隠れて住むのにうってつけの場所やんけ……」
私は歓喜した。
ほんと出来過ぎなくらい私にとって最高の隠れ家だ。
うまい話すぎて少し不気味さを感じないでもないがこの世界(グロアニメ)に来たこと自体が私にとって最悪の出来事なので、まあプラマイゼロだろ。
そうと決まれば早速拠点づくりだ。
私は腕まくりをし、未来のマイホームに少し胸を躍らせながら一歩を踏み出した。