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第5話 「ヒーローデリバリー」後編
前回のあらすじ
ヒーローから飯を恵んで貰ったらひでおの好感度が上がった。
ひでお ❤︎♡♡♡♡←イマココ
閑話休題。
礼を言った後から急にひでおの様子が変わった。
さっきまでは何かヒーローの名に相応しい、尊敬される者の笑み?みたいなのを浮かべていたんだが……。
チラリとひでおの方を見てみる。
今では奴は親しげなーーまるで、友に向けるような気安い笑顔をこちらに向けていた。
そりゃあもう眩しイイ笑顔だ。
………いや待て、まてまてどう言うことだ?コイツ何でいきなりこんなフレンドリーになったん?まさかさっきの私の言葉がそんなに心に響いたのか?え、嘘、ひでおは今までお礼を言われたことも無かったの?あんなに人助けして・・・ないな、うん。……いや!でもギグルスのママンに首の上にどんぐり乗せたギグルスの死体渡してありがとーって言われてた気がする。……てかコレ文字だけ見るとギグルスのママがキチガイみたいに見えるな……。
私はひでおの突然の態度の変化に困惑していたが、当の本人が上機嫌に鼻歌を歌い出し思考に集中できなくなったのでその内考えるのをやめた。と言うかもう寝て良いですかね?そろそろ夜が明けそうなんですけど…?
月は沈み空は明るくなってきている。
ひでおも私の目線を見てハッとしたのか、慌てた様子で空へと浮かび上がる。
が、空中で器用に体を止めたかと思うと、私の前に降り立ちポケットを探ってクシャクシャになった紙とペンを取り出した。そして何かを急いで紙に書き、私に押し付けると今度こそ空高く舞い上がっていった。私は、其れをただ、見えなくなるまでボンヤリと見つめていた。
「……あ」
不意にメモの存在を思い出し手の中のそれに目を落とす。シワを伸ばして紙面を見てみると、多分文字であったのだろう線の塊達がぐちゃぐちゃに書き綴られていた。
私はそれを暫く無言で眺めた後、四角く畳んでポケットに突っ込んだ。まぁメモ用紙くらいには使えるだろう。
一つ、詰めていた息を吐き出すと体にドッと怠さがのしかかってくる。
私は押し寄せる疲労感と眠気に任せ、勢いよく地面に腰を下ろした。スプレンディドが来て知らず知らずのうちに気を張っていたらしい。その反動で猛烈に眠くなってきて瞼が下がる。……でもこんなところで寝てしまったら熊に襲われるかも知れないしひでおがまた戻ってくるかもしれない。そんな思いが頭をよぎったが、睡魔に侵された私の身体は言うことを聞いてくれそうにはなかった。
少しだけ、少しだけ今は眠ろう……。
そんなお約束の言葉を思い浮かべながら、私の意識は心地よい微睡みに包まれていったのだった。
〜〜〜
夢を見た。
私が7歳くらいの自分の事を別の誰かの視点から見ている夢だ。
夢だという自覚もあったし目線も自由に動かせた。7歳の自分の方を見てみると何やらテレビの画面を熱心に見つめており、たまにもう見てられないという風に顔を両手で覆うような動作をしている。
私も釣られるようにしてテレビ画面を覗き込んでみると、丁度血と臓物に塗れたスプラッターシーンが映し出されていた。ケチャップでもブチまけちゃったのかな?(すっとぼけ)
勘のいい人は此処らで気付いたかもしれないがそう、私が見ていたのはみんなのトラウマと名高いあのハピツリである。何でハピツリの世界に来てハピツリのアニメを見ないといけないんですかねぇ……?
それでも他にすることがないので大人しく私も一緒にテレビを見る。
どうやらこの話はスプレンディドが出てくる回のようだ。丁度私がさっき会ったばかりの奴である。ストーリーの中のひでおはヒーローなのにトラブル一つ解決できず、しかも更に大きなトラブルを作って住民を虐殺しまくっていた。そして最後の最後に人命よりもパンを優先しているところを見、食事を恵んで貰った事により「実は良い奴かも」位まで上がっていた奴への評価は、一気に元に戻った。と言うか元も突っ切って「半径10キロ以内にはいってはいけない(戒め)」という所まで下がった。早く恩を返して逃げよう。
そんな事を考えているうちにいつのまにか次の回に行ってしまったようだ。
ほーん、今度はランピー回か。確か内容的にはキャンプに行ったランピーと愉快な仲間達が色々と酷い目にあった後、橋から落ちたり熊に襲われたりして全滅した話だった気がする。
確認のため、私はテレビを覗き込んでーーー。
そこでふと、目が覚めた。
体を起こすとあちこちからパキポキと骨の鳴る音がする。それと、硬い地面で眠ったせいか節々が痛む。
私は一度大きく背伸びをすると、まだ靄のかかった頭で先程見た夢の事を考えてみた。幼い自分がグロアニメを観ている夢。これは一応私の実体験なのだがまあ、この話は置いておこう。それよりも気にかかるのはアニメの内容だ。スプレンディドの後にランピーの話。住民達にとって最悪のダブルコンボだが、それは私も例外ではない。しかもさっきスプレンディドにエンカウントしたばかりなのである。だからどうしても現実と夢の内容とが繋がってしまうのだ。
さっきスプレンディドに会って夢でもそいつの話を見ていたんだから、今度出てくるのはランピーなのではないか、と。
正直馬鹿げてるとは思う。何せスプレンディドの夢を見たのはさっきスプレンディドに会ったから夢に出て来た、と言う話の方がよっぽど現実的だしランピーは死天王繋がりで出てきたと言う事なら辻褄が合う。
しかし、頭でそう考えたところでモヤモヤは晴れない。
私はやきもきした気持ちのまま喉を潤す為に水辺に向かった。
まあ向かうと行っても50メートルも離れていないのだが。
透き通った水に手をつけると、想像より冷たいそれがまだ残っていた眠気を覚ました。コイツ…キンキンに冷えてやがる。
一つ身震いをしてからパシャパシャと水を顔に掛けた。顔の汚れが落ちてスッキリする。さて次はうがいでもするか。
私がうがいをしながら何となく目線を横に向けると水筒に水を汲んでいるランピーと目があった。取り敢えず頭を下げる、日本人の悲しき習性だ。相手も礼を仕返しそこでお互いの目線は外れた。こんな川で朝の用意をする人が私の他にも居たのかと少し親近感が湧いた。
・・・・・・・
「ブフォッ」
いや湧いちゃダメな奴これ。
思わず勢い良く二度見する。丁度顔をしてこちらを見ているのは紛れもなく水色ヘラジカ死天王のランピーなのだった。え、何でコイツ此処にいんの?というかいつの間に私のそばに来たの?確か昨日もいたよね?
私は混乱した。しかしそれは相手も例外ではなかったようだ。
まるで未確認生物でもみたかのような顔で此方を見ていた。多分私も同じような顔をしていただろう。きっとこの世界には人間が居ないからあんな顔してこっちを見てるんだろうな、と脳のまだ冷静な部分が分析する。
その間2人とも全く動かなかったーーいや、動けなかったと言った方が正しいか。
どちらとも相手の出方を伺っていたのだ。
そのまま長い時間が流れる、かと思われたが。
『キャーーーー!』
静寂は、悲鳴によって破られた。
前回のあらすじ
ヒーローから飯を恵んで貰ったらひでおの好感度が上がった。
ひでお ❤︎♡♡♡♡←イマココ
閑話休題。
礼を言った後から急にひでおの様子が変わった。
さっきまでは何かヒーローの名に相応しい、尊敬される者の笑み?みたいなのを浮かべていたんだが……。
チラリとひでおの方を見てみる。
今では奴は親しげなーーまるで、友に向けるような気安い笑顔をこちらに向けていた。
そりゃあもう眩しイイ笑顔だ。
………いや待て、まてまてどう言うことだ?コイツ何でいきなりこんなフレンドリーになったん?まさかさっきの私の言葉がそんなに心に響いたのか?え、嘘、ひでおは今までお礼を言われたことも無かったの?あんなに人助けして・・・ないな、うん。……いや!でもギグルスのママンに首の上にどんぐり乗せたギグルスの死体渡してありがとーって言われてた気がする。……てかコレ文字だけ見るとギグルスのママがキチガイみたいに見えるな……。
私はひでおの突然の態度の変化に困惑していたが、当の本人が上機嫌に鼻歌を歌い出し思考に集中できなくなったのでその内考えるのをやめた。と言うかもう寝て良いですかね?そろそろ夜が明けそうなんですけど…?
月は沈み空は明るくなってきている。
ひでおも私の目線を見てハッとしたのか、慌てた様子で空へと浮かび上がる。
が、空中で器用に体を止めたかと思うと、私の前に降り立ちポケットを探ってクシャクシャになった紙とペンを取り出した。そして何かを急いで紙に書き、私に押し付けると今度こそ空高く舞い上がっていった。私は、其れをただ、見えなくなるまでボンヤリと見つめていた。
「……あ」
不意にメモの存在を思い出し手の中のそれに目を落とす。シワを伸ばして紙面を見てみると、多分文字であったのだろう線の塊達がぐちゃぐちゃに書き綴られていた。
私はそれを暫く無言で眺めた後、四角く畳んでポケットに突っ込んだ。まぁメモ用紙くらいには使えるだろう。
一つ、詰めていた息を吐き出すと体にドッと怠さがのしかかってくる。
私は押し寄せる疲労感と眠気に任せ、勢いよく地面に腰を下ろした。スプレンディドが来て知らず知らずのうちに気を張っていたらしい。その反動で猛烈に眠くなってきて瞼が下がる。……でもこんなところで寝てしまったら熊に襲われるかも知れないしひでおがまた戻ってくるかもしれない。そんな思いが頭をよぎったが、睡魔に侵された私の身体は言うことを聞いてくれそうにはなかった。
少しだけ、少しだけ今は眠ろう……。
そんなお約束の言葉を思い浮かべながら、私の意識は心地よい微睡みに包まれていったのだった。
〜〜〜
夢を見た。
私が7歳くらいの自分の事を別の誰かの視点から見ている夢だ。
夢だという自覚もあったし目線も自由に動かせた。7歳の自分の方を見てみると何やらテレビの画面を熱心に見つめており、たまにもう見てられないという風に顔を両手で覆うような動作をしている。
私も釣られるようにしてテレビ画面を覗き込んでみると、丁度血と臓物に塗れたスプラッターシーンが映し出されていた。ケチャップでもブチまけちゃったのかな?(すっとぼけ)
勘のいい人は此処らで気付いたかもしれないがそう、私が見ていたのはみんなのトラウマと名高いあのハピツリである。何でハピツリの世界に来てハピツリのアニメを見ないといけないんですかねぇ……?
それでも他にすることがないので大人しく私も一緒にテレビを見る。
どうやらこの話はスプレンディドが出てくる回のようだ。丁度私がさっき会ったばかりの奴である。ストーリーの中のひでおはヒーローなのにトラブル一つ解決できず、しかも更に大きなトラブルを作って住民を虐殺しまくっていた。そして最後の最後に人命よりもパンを優先しているところを見、食事を恵んで貰った事により「実は良い奴かも」位まで上がっていた奴への評価は、一気に元に戻った。と言うか元も突っ切って「半径10キロ以内にはいってはいけない(戒め)」という所まで下がった。早く恩を返して逃げよう。
そんな事を考えているうちにいつのまにか次の回に行ってしまったようだ。
ほーん、今度はランピー回か。確か内容的にはキャンプに行ったランピーと愉快な仲間達が色々と酷い目にあった後、橋から落ちたり熊に襲われたりして全滅した話だった気がする。
確認のため、私はテレビを覗き込んでーーー。
そこでふと、目が覚めた。
体を起こすとあちこちからパキポキと骨の鳴る音がする。それと、硬い地面で眠ったせいか節々が痛む。
私は一度大きく背伸びをすると、まだ靄のかかった頭で先程見た夢の事を考えてみた。幼い自分がグロアニメを観ている夢。これは一応私の実体験なのだがまあ、この話は置いておこう。それよりも気にかかるのはアニメの内容だ。スプレンディドの後にランピーの話。住民達にとって最悪のダブルコンボだが、それは私も例外ではない。しかもさっきスプレンディドにエンカウントしたばかりなのである。だからどうしても現実と夢の内容とが繋がってしまうのだ。
さっきスプレンディドに会って夢でもそいつの話を見ていたんだから、今度出てくるのはランピーなのではないか、と。
正直馬鹿げてるとは思う。何せスプレンディドの夢を見たのはさっきスプレンディドに会ったから夢に出て来た、と言う話の方がよっぽど現実的だしランピーは死天王繋がりで出てきたと言う事なら辻褄が合う。
しかし、頭でそう考えたところでモヤモヤは晴れない。
私はやきもきした気持ちのまま喉を潤す為に水辺に向かった。
まあ向かうと行っても50メートルも離れていないのだが。
透き通った水に手をつけると、想像より冷たいそれがまだ残っていた眠気を覚ました。コイツ…キンキンに冷えてやがる。
一つ身震いをしてからパシャパシャと水を顔に掛けた。顔の汚れが落ちてスッキリする。さて次はうがいでもするか。
私がうがいをしながら何となく目線を横に向けると水筒に水を汲んでいるランピーと目があった。取り敢えず頭を下げる、日本人の悲しき習性だ。相手も礼を仕返しそこでお互いの目線は外れた。こんな川で朝の用意をする人が私の他にも居たのかと少し親近感が湧いた。
・・・・・・・
「ブフォッ」
いや湧いちゃダメな奴これ。
思わず勢い良く二度見する。丁度顔をしてこちらを見ているのは紛れもなく水色ヘラジカ死天王のランピーなのだった。え、何でコイツ此処にいんの?というかいつの間に私のそばに来たの?確か昨日もいたよね?
私は混乱した。しかしそれは相手も例外ではなかったようだ。
まるで未確認生物でもみたかのような顔で此方を見ていた。多分私も同じような顔をしていただろう。きっとこの世界には人間が居ないからあんな顔してこっちを見てるんだろうな、と脳のまだ冷静な部分が分析する。
その間2人とも全く動かなかったーーいや、動けなかったと言った方が正しいか。
どちらとも相手の出方を伺っていたのだ。
そのまま長い時間が流れる、かと思われたが。
『キャーーーー!』
静寂は、悲鳴によって破られた。