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頰にあたる風で目が覚めた。
起き上がって周りを見てみるとそこは林で。
小鳥たちの歌うような囀りに混じって、耳を劈くような叫び声が聞こえた。
「・・・これはヤバイのでは。」
いや、脳内で黄昏てる場合じゃなかった。いくら昨日ソファで寝落ちしたはずなのに変な林にいるからって突っ立てちゃ駄目だ。というかこれは夢なのか?それとも現実なのか?
頭が混乱してうまく思考がまとまらない。
「取り敢えず、悲鳴があった方に行ってみよう。」
声に出していう必要なんて無いのに、私がわざわざ喋ってしまうのは事実確認をしているのだろうか。それとも、もうこの場所が現実だと感づいてきてしまっているのを紛らわしたくて、こんなことを言っているのだろうか。
二日酔いの頭が、鈍く痛んだ。
どれだけ歩いただろうか。頭は痛いし気持ち悪いしで自分が今どこらへんを歩いているのか全くわからない。まあ元々私に土地勘なんて無いので体調が悪くなくても自分が何処にいるのかなんて分からなかったと思うが。
ぼんやりとそんなことを考えながら歩いているといきなり木が途切れ、視界に光が差し込んできた。眩しくて思わず目を瞑る。くそ、なんでいきなり眩しく…だがショボショボと瞼を動かしているうちに段々目が慣れてきた。
そして最初に私の目に映ったのは
「…これ…は……」
『ようこそ ハッピーツリーフレンズへ』
ポップな字体の英語でそう書かれた一つの旗だった。
・・・いや、いやいやまさかね。そんなのある筈がない、あり得ない。理性はそう否定するが感覚が、感情が私に語りかけて来るのだ。体にあたる日差しは、頬を撫でる風は、この押し潰されそうな漠然とした不安は。
全て、現実のものであると。
ああ、頭が痛い。
私は暫くその場に突っ立っていた。
どれくらいの時が経っただろうか。
空はいつの間にやら茜色に染まっていた。
「・・・帰らなきゃ。」
もう帰る場所なんて無いのに、一体何処に帰るというのだろうか。そんな思考を押しのけて私はきた道をがむしゃらに戻って行った。林道を歩き通しだった足はもうクタクタで、思うように動かない。それでも、私は歩き続けた。
気がつけば、林は闇に包まれていた。
辺りには不気味な鳥の鳴き声と、時折茂みの揺れる音がする。
「はぁ…はぁ……」
もう、何処を歩いてるのかも分からない。体は既に限界を超えている。きっと、今の私を動かしているのは絶対に帰るという強い思いだけなんだろう。
だが、それでも終わりは来る。
「……っ!」
足が、何かに引っかかる。
私は体を庇う事も出来ず、重力の従うまま地面に倒れた。顔から転んだせいで打ち付けた鼻が痛い。私は鼻を押さえながら、地面をズルズルと這いずって木の幹に寄りかかった。足は、もう、動かなかった。
「なんで…どうしてこんなことに。」
悪い夢なら早く覚めてくれ。
だがそんな私の願いも空しく目の前の景色は全く変わらなかった。
本当にここは悪夢のような現実らしい。脱出する方法も、帰り道さえ分からない。
私は惨めさと絶望的な状況を前にして、蹲ってただ唸るように泣いた。泣き声で凶暴な動物に見つかる可能性があるので、声は余り出せなかった。
いつの間にか、眠っていたようだ。
辺りは明るくなっていた。
起きたら元の世界に戻って居るんじゃないかという私の淡い期待は見事に打ち砕かれる。朝っぱらから最悪の気分だ。
私は、暫くぼーっとしていたが喉が渇いたので漸く立ち上がった。体の節々が痛いが歩けないほどではない。昨日道中で川を見つけたのを思い出し、微かに聞こえる川のせせらぎを頼りに歩いて行った。
10分程歩くと川が見えてきた。
本能の赴くままに走り出そうとしたが、違和感を感じ足を止めた。なんだろう、何かが違う気がする。何か、こう、混じってはいけない様な色が混じっている様な…
私はまたジーッと目を凝らして川辺を観察してみた。
そして、やっと違和感の正体を見つけて、背筋が凍った。
それは、背の高い鹿だった。角が頭の左右にそれぞれ違う向きで生えている。いや、それだけならまだいい、ツノの生え方が違う鹿の一匹や二匹、いたって可笑しくない。問題はその後である。
その鹿は身体中を水色の毛で覆われており、真っ直ぐ二本の脚で立っていた。簡潔に言えば直立二足歩行だったのである。これはおかしい、こんな鹿が1、2匹もいてたまるか。
それに、私は、この奇妙な風貌の鹿の事を知っていた。
「ランピー・・・」
彼の名を呟く時、後ずさりした拍子にパキッと小枝を踏む音が響いた。顔から血の気が引いていくのを感じながら、どうか聞こえてません様にと願う。
しかし、現実は無情である。
ランピーはその音に反応してこちらを振り向いた。咄嗟に木の幹に体を隠したが、これはばれたかもしれない。
思わず、ゴクッと唾を飲む。
ランピーは、んー?とも、うー?とも取れる声を発しながら、私が隠れている木へとゆっくり近づいてきた。
ーもうだめだ。
そう思い、ギュッと目を瞑ったその時だった。
起き上がって周りを見てみるとそこは林で。
小鳥たちの歌うような囀りに混じって、耳を劈くような叫び声が聞こえた。
「・・・これはヤバイのでは。」
いや、脳内で黄昏てる場合じゃなかった。いくら昨日ソファで寝落ちしたはずなのに変な林にいるからって突っ立てちゃ駄目だ。というかこれは夢なのか?それとも現実なのか?
頭が混乱してうまく思考がまとまらない。
「取り敢えず、悲鳴があった方に行ってみよう。」
声に出していう必要なんて無いのに、私がわざわざ喋ってしまうのは事実確認をしているのだろうか。それとも、もうこの場所が現実だと感づいてきてしまっているのを紛らわしたくて、こんなことを言っているのだろうか。
二日酔いの頭が、鈍く痛んだ。
どれだけ歩いただろうか。頭は痛いし気持ち悪いしで自分が今どこらへんを歩いているのか全くわからない。まあ元々私に土地勘なんて無いので体調が悪くなくても自分が何処にいるのかなんて分からなかったと思うが。
ぼんやりとそんなことを考えながら歩いているといきなり木が途切れ、視界に光が差し込んできた。眩しくて思わず目を瞑る。くそ、なんでいきなり眩しく…だがショボショボと瞼を動かしているうちに段々目が慣れてきた。
そして最初に私の目に映ったのは
「…これ…は……」
『ようこそ ハッピーツリーフレンズへ』
ポップな字体の英語でそう書かれた一つの旗だった。
・・・いや、いやいやまさかね。そんなのある筈がない、あり得ない。理性はそう否定するが感覚が、感情が私に語りかけて来るのだ。体にあたる日差しは、頬を撫でる風は、この押し潰されそうな漠然とした不安は。
全て、現実のものであると。
ああ、頭が痛い。
私は暫くその場に突っ立っていた。
どれくらいの時が経っただろうか。
空はいつの間にやら茜色に染まっていた。
「・・・帰らなきゃ。」
もう帰る場所なんて無いのに、一体何処に帰るというのだろうか。そんな思考を押しのけて私はきた道をがむしゃらに戻って行った。林道を歩き通しだった足はもうクタクタで、思うように動かない。それでも、私は歩き続けた。
気がつけば、林は闇に包まれていた。
辺りには不気味な鳥の鳴き声と、時折茂みの揺れる音がする。
「はぁ…はぁ……」
もう、何処を歩いてるのかも分からない。体は既に限界を超えている。きっと、今の私を動かしているのは絶対に帰るという強い思いだけなんだろう。
だが、それでも終わりは来る。
「……っ!」
足が、何かに引っかかる。
私は体を庇う事も出来ず、重力の従うまま地面に倒れた。顔から転んだせいで打ち付けた鼻が痛い。私は鼻を押さえながら、地面をズルズルと這いずって木の幹に寄りかかった。足は、もう、動かなかった。
「なんで…どうしてこんなことに。」
悪い夢なら早く覚めてくれ。
だがそんな私の願いも空しく目の前の景色は全く変わらなかった。
本当にここは悪夢のような現実らしい。脱出する方法も、帰り道さえ分からない。
私は惨めさと絶望的な状況を前にして、蹲ってただ唸るように泣いた。泣き声で凶暴な動物に見つかる可能性があるので、声は余り出せなかった。
いつの間にか、眠っていたようだ。
辺りは明るくなっていた。
起きたら元の世界に戻って居るんじゃないかという私の淡い期待は見事に打ち砕かれる。朝っぱらから最悪の気分だ。
私は、暫くぼーっとしていたが喉が渇いたので漸く立ち上がった。体の節々が痛いが歩けないほどではない。昨日道中で川を見つけたのを思い出し、微かに聞こえる川のせせらぎを頼りに歩いて行った。
10分程歩くと川が見えてきた。
本能の赴くままに走り出そうとしたが、違和感を感じ足を止めた。なんだろう、何かが違う気がする。何か、こう、混じってはいけない様な色が混じっている様な…
私はまたジーッと目を凝らして川辺を観察してみた。
そして、やっと違和感の正体を見つけて、背筋が凍った。
それは、背の高い鹿だった。角が頭の左右にそれぞれ違う向きで生えている。いや、それだけならまだいい、ツノの生え方が違う鹿の一匹や二匹、いたって可笑しくない。問題はその後である。
その鹿は身体中を水色の毛で覆われており、真っ直ぐ二本の脚で立っていた。簡潔に言えば直立二足歩行だったのである。これはおかしい、こんな鹿が1、2匹もいてたまるか。
それに、私は、この奇妙な風貌の鹿の事を知っていた。
「ランピー・・・」
彼の名を呟く時、後ずさりした拍子にパキッと小枝を踏む音が響いた。顔から血の気が引いていくのを感じながら、どうか聞こえてません様にと願う。
しかし、現実は無情である。
ランピーはその音に反応してこちらを振り向いた。咄嗟に木の幹に体を隠したが、これはばれたかもしれない。
思わず、ゴクッと唾を飲む。
ランピーは、んー?とも、うー?とも取れる声を発しながら、私が隠れている木へとゆっくり近づいてきた。
ーもうだめだ。
そう思い、ギュッと目を瞑ったその時だった。
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