おとなり。
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「レト、ルト…?」
「そう、レトルト」
「…ふざけてるんですか」
「さぁ、どうやろね」
妖し気に口角をあげて重なった唇からはとても強いアルコールが香る
既にくらくらしている頭を更に乱されているような感覚
たぶん、それは、お互いさま
すました顔をして平静を装っているけど
熱を含んだ瞳に赤く火照った体は酔っ払いそのもの
今日はとんでもない数の団体さんが来ると聞いていた
そこまで大きくもないお店だからもう、貸し切りで
聞けば店長の友達が仕事の打ち上げで利用されるんだとか
"ある界隈では有名"な人達、らしいけど
残念な事に私はその人達を知らなくて
とはいえまだまだ下っ端な私には初めての出来事で多少の緊張が解けないまま
いい感じに酔ってきた彼等にそれを弄られて私もお酒を頂く事になっていた
…気が付けば店長も一緒になって飲んでいて
私もすっかり出来上がっていた…ような気がする
お酒を飲んでわいわい騒ぐだとかそういう場が嫌いではない私はとても気分がよく
そろそろお開きという頃には少しの寂しさまで感じる程になって
名残惜しむように解散して、一気にしんとなった店内で残ったスタッフと談笑しながら店を閉めた
久しぶりに結構酔っぱらった自覚があるから、家に入るまではしっかりしなきゃ…なんてふらつく足を奮い立たせて帰って
だからとてもとても驚いた
「え…だ、大丈夫、ですか?」
私の家の、隣の玄関
つまりマンションのお隣
その前で座って俯いている男の人
…こんな深夜にこの状況
普段の私なら関わらない様にしていたかもしれないけど
今日は、違った
違ったというか、その人はさっきまで一緒にお酒を飲んでいた人達の中にいた1人だったから
それも結構中心にいた人だからとてもよく覚えている
"その人"は声をかけるとゆっくりとした動作で顔をあげた
真っ赤な顔、虚ろな目で私を捉えて
「あれ、さっきの子や」
へらりと、笑った
その屈託のない笑顔を少し可愛いと思ってしまった思考をすぐに払って
完全にダメな酔い方をしているその人の前に視線を合わせるようにして屈む
「何してるんですか?」
その目を覗き込むようにして、しっかりと問うと
ヘラヘラとした態度でここに住んでいる事
家に入ろうとしたけど鍵が見つからない事を話してくれた
「お隣さんだったんですね…全然気づかなかった」
「お隣さん?」
「私、隣に住んでる(名字)です」
すごい偶然ですね
なんて小さく感動していた
けど
(あれ…でもお隣さんって確か女の人じゃ…)
引っ越しの挨拶をした時の記憶を辿って噛み合わない事実を疑問に感じたけど
それの答え合わせをしている場合じゃないと思いなおした
「鍵がないって、本当にどこにもなかったんですか?」
今この状態で放ってはおけないから
私は私でふらふらする頭を必死に起こしながら考える
本当に鍵がないなら、落とした可能性
そして何よりもお店に忘れているかもしれない
(今ならまだ間に合うかも…)
店長と連絡が取れれば確認がとれる
そう思って
「忘れちゃったかもですし、今店長に電話してみますから
確認を…」
スマホを取り出しつつ伝えようとした
だけどその手は阻まれ
「え…」
迷いなく真っすぐ伸びて来た手に手首を掴まれて
強い力で引っ張られると、私はバランスを崩してその腕の中へ
「っえ…ちょ、」
「いいよ、君ん家で」
「は、何…」
その胸に打った顔
それを片手で持ち上げられて、視線が絡む
無害だと感じていた笑顔は一瞬でその色を変えていて
深く、吸い込まれそうな妖しさを見せて
魅せられてしまった私は、そのまま重なる唇を拒否する気になれなかったんだ
「そう、レトルト」
「…ふざけてるんですか」
「さぁ、どうやろね」
妖し気に口角をあげて重なった唇からはとても強いアルコールが香る
既にくらくらしている頭を更に乱されているような感覚
たぶん、それは、お互いさま
すました顔をして平静を装っているけど
熱を含んだ瞳に赤く火照った体は酔っ払いそのもの
今日はとんでもない数の団体さんが来ると聞いていた
そこまで大きくもないお店だからもう、貸し切りで
聞けば店長の友達が仕事の打ち上げで利用されるんだとか
"ある界隈では有名"な人達、らしいけど
残念な事に私はその人達を知らなくて
とはいえまだまだ下っ端な私には初めての出来事で多少の緊張が解けないまま
いい感じに酔ってきた彼等にそれを弄られて私もお酒を頂く事になっていた
…気が付けば店長も一緒になって飲んでいて
私もすっかり出来上がっていた…ような気がする
お酒を飲んでわいわい騒ぐだとかそういう場が嫌いではない私はとても気分がよく
そろそろお開きという頃には少しの寂しさまで感じる程になって
名残惜しむように解散して、一気にしんとなった店内で残ったスタッフと談笑しながら店を閉めた
久しぶりに結構酔っぱらった自覚があるから、家に入るまではしっかりしなきゃ…なんてふらつく足を奮い立たせて帰って
だからとてもとても驚いた
「え…だ、大丈夫、ですか?」
私の家の、隣の玄関
つまりマンションのお隣
その前で座って俯いている男の人
…こんな深夜にこの状況
普段の私なら関わらない様にしていたかもしれないけど
今日は、違った
違ったというか、その人はさっきまで一緒にお酒を飲んでいた人達の中にいた1人だったから
それも結構中心にいた人だからとてもよく覚えている
"その人"は声をかけるとゆっくりとした動作で顔をあげた
真っ赤な顔、虚ろな目で私を捉えて
「あれ、さっきの子や」
へらりと、笑った
その屈託のない笑顔を少し可愛いと思ってしまった思考をすぐに払って
完全にダメな酔い方をしているその人の前に視線を合わせるようにして屈む
「何してるんですか?」
その目を覗き込むようにして、しっかりと問うと
ヘラヘラとした態度でここに住んでいる事
家に入ろうとしたけど鍵が見つからない事を話してくれた
「お隣さんだったんですね…全然気づかなかった」
「お隣さん?」
「私、隣に住んでる(名字)です」
すごい偶然ですね
なんて小さく感動していた
けど
(あれ…でもお隣さんって確か女の人じゃ…)
引っ越しの挨拶をした時の記憶を辿って噛み合わない事実を疑問に感じたけど
それの答え合わせをしている場合じゃないと思いなおした
「鍵がないって、本当にどこにもなかったんですか?」
今この状態で放ってはおけないから
私は私でふらふらする頭を必死に起こしながら考える
本当に鍵がないなら、落とした可能性
そして何よりもお店に忘れているかもしれない
(今ならまだ間に合うかも…)
店長と連絡が取れれば確認がとれる
そう思って
「忘れちゃったかもですし、今店長に電話してみますから
確認を…」
スマホを取り出しつつ伝えようとした
だけどその手は阻まれ
「え…」
迷いなく真っすぐ伸びて来た手に手首を掴まれて
強い力で引っ張られると、私はバランスを崩してその腕の中へ
「っえ…ちょ、」
「いいよ、君ん家で」
「は、何…」
その胸に打った顔
それを片手で持ち上げられて、視線が絡む
無害だと感じていた笑顔は一瞬でその色を変えていて
深く、吸い込まれそうな妖しさを見せて
魅せられてしまった私は、そのまま重なる唇を拒否する気になれなかったんだ
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