「ねぇねぇれーさん。」
ある日降谷が花音と一緒に花音の家のリビングでくつろいでいた時のことだった。
花音はソファで読書をしている降谷に後ろから抱きついた。
「んー？」
降谷は上を向き、覗き込んでいる花音を見た。
すると花音は何かを思いついているようでニヤニヤしている。
「ね、れーさんって私の事乗っけて腕立て伏せできる？」
「…まぁ、出来ると思うけど。」
「じゃあやってみて！！」
パァァァっという効果音がつきそうなくらい笑顔になる花音を見て降谷は仕方がないという表情をして、腕立て伏せの体制入った。
「ほんなら、乗るよ！」
花音はそうっと降谷の身体に同じような体制で乗った。
「始めるぞ。」
そういうなり、降谷は花音を乗せたまま軽々と腕立て伏せをやってのけた。
「えー！？ 崩れ落ちるの期待したのに。流石の零さんでも私乗っけたら無理だと思ってたのになぁ。」
言葉とは裏腹に花音の表情は嬉しそうだった。
それを聞き、降谷は腕立て伏せを続けながらも言葉を返す。
「ていうか、花音は、そもそも、体重標準以下だろ。多分、これくらい、あとコナンくんが乗っても、出来るぞ。」
30回もすると、花音は降谷から降りた。
「流石イケゴリ…。」
「聞こえてるぞ。」
花音の褒めているのか貶しているのかわからない言葉に降谷は苦笑いをこぼした。
「でも、なんでいきなり腕立て伏せなんだ？」
「んー、私の好きだった芸能人がやってて、その人は崩れ落ちてたんだけど、零さんはどうなのかなって。」
花音はそう言いながら降谷から視線を外す。
「…で、本当は？」
降谷はニッと笑い、花音の頭を軽く掴んで自分の方を向けた。
「…零さんと…くっつきたかったから。」
花音が耳まで真っ赤にしながらも上目使い気味に降谷に言うと、降谷は嬉しそうに笑った。
「上出来。」
降谷はそういうなり、リップ音をたてながら、花音に口付けるのだった。