「あぁ、これですか？大丈夫ですよ、髪も含めて、私は無傷ですから。これ、ウィッグです。」
そう言って、花音はウィッグを取った。
「！全く、あなたという人は・・・。一体何者なんですか。」
安室がそう言うと、花音はフフッと笑った。
「私は女子高生探偵、真壁　花音です。あんまり表舞台に立ったりはしないですけど。それに、その言葉そっくりそのままお返ししたいところですよ。でもあえて聞かないであげますね。とりあえず警察に連絡ですね、この男このまま放置は出来ませんし。」
警察を待っている間にふと安室はある疑問を花音に問うた。
「そういえばこの事、いつ思いついたんですか？」
「この事？あ、今回の事ですね。まあ、大筋は元々決めてたんですけど、こいつをさっさと動かすには男の人が必要だなって思ってたんです。そこそこ推理力とかある人が。どうしようかと思ってるところに丁度良くって言ったら安室さんに失礼なんですけど、まぁ、良い時に会って。でも正直なところ安室さんに決めたのは最初でしたけどね。」
「最初？」
「はい、あの時、私が“推理して”って言ったの覚えてますよね。」
「えぇ。」
「あの時、“ホット”を見抜いたからです。」
花音にそう言われ、安室はため息を吐いた後また苦笑いをした。
「という事は僕は最初からこのレールに巻き込まれていた、という事ですか・・・。」
安室が言うと、花音はアハハーッと誤魔化すように笑った。
「いやぁ～、本当にすみません。ちょっと試したい気持ちもあって。この人どれくらい凄い人なのかなぁ～って。まぁ、まさか発信機とか付けられるとは思っても見ませんでしたけど。でも、お互い様って事にしときません？」
「・・・そうですね。」
二人が話している内に警察が到着した。
「付き添いますよ。」
安室がそう言うと花音はお願いします。と言った。
「あ、でもポアロの買い出しは？」
「梓さんが、急ぎではないから明日で良い。と言っていました。連絡ももう入れてあります。」