花音が捜査一課に到着すると、刑事たちが忙しなく動き回っていた。
「こんにちは、目暮警部、松本さん。今は管理官でしたよね。」
「おぉ！　花音くんじゃないか、丁度いいところに来てくれた。」
「おぉ、真壁のとこの娘か、立派になったな。」
　軽くあいさつをするなり、花音はコナンから高木が拉致されたことを聞いて来たことを伝える。
「私でよろしければ微力ながらお力添えします。」
　松本は花音の言葉に頷き、即座にタブレット端末の前に花音を案内した。
「おいどうだ！？　高木は無事か！？」
「あ、はい！　三時間前にうつぶせになった状態のままです。かなり衰弱しているようですが…。って、花音ちゃん！？」
「千葉さんどうも。コナンに呼ばれまして。」
　花音の後ろで松本は刑事から情報を集め、花音は動画を観察した。
「あ、あぁ！？」
「ん？　どうした！？」
「画面が突然揺れだしました。誰か気象庁に連絡して今現在国内のどこで地震が起きたか、震源地を問い合わせてください。これがライブ映像なら場所がわかります。…でもこんだけ揺れててどうして高木さん落ちないんだろう。」
　白鳥が問い合わせだすのを尻目に花音は首を傾げる。
板の上に寝転がっているだけの状況で、映像を見ただけではあるが、花音が推測するに、震度４はある。
仲間の刑事たちには悪いが落ちない方が不思議なくらいだった・
「おい、まだか！？」
　松本に怒鳴られた白鳥はどこか困惑した表情を浮かべた。
「そ、それが…昨日から今日、現在に至るまで、日本全国47都道府県のどこも地震は発生していないと。」
「な、何だと！？」
「ま、まさか…」
「「外国か！？」」
　息の合ったやり取りに花音は少し笑いそうになったが、状況が状況なため堪えながらも動画を観察した。
「あ、止まった。…どうやらこのカラスがカメラを固定してる棒か何かに留まってその振動で画面が揺れたんでしょうね。…このカラス…。」
　花音の最後の一言を聞いた者は誰もおらず、刑事たちは犯人を挙げるために燃えていた。
「花音くん、ありがとう、子供たちの聴取も終わったようだし、君のことも送らせよう。佐藤の車は子供たちでいっぱいだな、白鳥、送ってやれ。」
「はい！」
「白鳥警部、お願いします。」
　その帰り、花音は白鳥から軽くではあるが、事件の概要と、首つり自殺の概要を聞き、家で事件の整理をした。