祐一の車で花音は警視庁に到着した。
「先生、ごめんなさい、ありがとうございました。」
「あぁ。ま、花音の推理力ならきっとその刑事さん助けられるだろ。じゃ、俺は行くよ。」
　花音は祐一が車で警視庁を出るのを見送った。
「あれ？花音さんじゃないですか？」
　花音は後ろから声を掛けられ、振り向くとそこには安室が立っていた。
「…安室さん、こんにちは。どうしたんです？」
　花音はどこかイヤそうな顔をしながらも安室に尋ねた。
「この前コナン君が誘拐されたあの一件で少し聴取をされてたんです。ついでに知り合いの刑事に会えないかなと思ってたんですけど。」
「知り合いの刑事ですか。お名前はなんておっしゃるんです？　私の知ってる方かもしれませんよ。」
　首を傾げながら花音が安室に言うと、安室はどこかさみしそうな顔を浮かべた。
「…伊達航という刑事さんです。」
　花音は名前を聞き、目を見開いた。
「安室さん、伊達さんとお知り合いなんですか？」
「えぇ。」
　花音は少し黙っていたが口を開いた。
「もう知っておられるかもしれませんが、伊達さんは一年前に交通事故で亡くなったんです。殺しても死ななそうな人だったのに。」
　花音が伊達と知り合いだったことに安室は少し驚いた。
「花音さん、伊達…刑事を知っているんですか。」
「昔から良くしてくれたお兄さんの同期ってことで仲良くしてくれたんです。それに父も警察官だったので何度か会ったことあったみたいで。まぁ、会うたびに彼女さんの惚気されるのも考え物でしたけど。」
　花音の言葉に安室は苦笑いを零した。
「そうでしたか。そういえば花音さん、お車でおくってもらったんですね。今日も例の男性と？」
　先ほどまでは伊達刑事のことをどこか懐かしそうに話していた花音だったが、安室の最後の一言で眉間にしわが寄った。
「えぇ。まぁ。っと、もうこんな時間、すみません私コナンに呼ばれてるのでもう行きますね。」
　安室の返事を待たずに花音は捜査一課のある四階へと駆けだした。