「もしもし。」
「もしもし、花音？」
　花音の着信相手は祐一だった。
「はい。どうしたんです？」
「明日予定空いてるかなって。」
　花音は自身の予定を思い出す。
「午前は部活の助っ人で学校ですけど、昼には空きますよ。」
「そっか、なら部活の後でご飯でも行くか。」
　祐一の言葉に花音は顔をほころばせた。
「はい。楽しみにしてますね。」
　次の日部活を終えた花音は祐一と合流していた。
「あれ、てっきり制服かなんかで来ると思ってた。」
　花音の服装は部活帰りにもかかわらず私服だった。
「あぁ、着替えたんです、少し早く部活抜けて。だって、先生と出かけるのに制服着てたら職質されちゃいますよ～。」
　冗談交じりに言う花音の言葉に祐一は顔をしかめた。
「まぁ、確かにな。で、今は何部の助っ人なんだ？」
「バスケ部です。助っ人といっても控えですけど。」
「そっか、まぁ、助っ人もほどほどにな。あんまり助っ人しすぎて花音が倒れたら元も子もないんだから。」
　花音は心配をする祐一を少し嬉しそうに見つめ頷いた。
　昼ご飯を食べ、どこかでかけるかと相談をしていると花音のスマホが鳴った。
「ごめんない。」
　花音は一言祐一に断って電話に出た・
「もしもし。」
「もしもし花音か？」
「新一、どうしたの？」
　電話の相手は新一もといコナンだった。
「お前、今から警視庁これるか？」
「…いけないこともないけど、どうして？」
　花音は少し離れた場所で待っている祐一を一瞥してコナンに訊く。
「それが、高木刑事が拉致されて、身動きが取れない状態の映像が送られてきてるんだ。お前の力借りれねえかなって。」
　花音はすぐに向かう旨を伝え祐一の元へ駆けた。
「先生、ごめんなさい。私急用が出来ちゃって。」
「話は少しだけど聞こえてた。電話の相手工藤だろ？　どうせ事件か何かなんだろうけど。花音にも力借りたいって話なんじゃないか？」
　祐一の言葉に花音は申し訳なさそうにした。
「です、ごめんなさい。」
「謝る事じゃないだろ。どこまで送ればいい？　乗せてくよ。」
　そして花音は祐一の運転する車で警視庁に向かった。