「なあ、今日ボクたちも短縮日課で午前授業だったけど、確か帝丹小もだったよな？」
　女子高生四人が一緒に帰っていると、世良が尋ねる。
「あぁ、そうだったね。」
　花音の返事を聞き、世良は嬉しそうに誰かに電話を掛けた。
首を傾げる花音、蘭、園子だったが、すぐにその相手がわかった。
「やっほー、コナン君元気かァ～！？」
「あ～、本当に真澄ってばコナンのことスキよね～。」
　花音は思わず苦笑いする。
「何だよ？　そのつれないリアクション…。この前悪い女から助けてやっただろ！？」
　後から花音から事情を聞いていた二人も苦笑いした。
勿論やりすぎたこともだ。
「ん？　今の声、もしかして灰原って子か？」
　灰原の名前を聞き、一瞬口を開こうとした花音だったが、コナンがごまかすだろうと思い、口を閉ざした。
「まぁ、いいや！　学校早く終わったからこれから探偵事務所に行くんだけど、よかったらその子も連れて来なよ！」
「駄目だよ、真澄。」
「え？」
　花音の言葉に首を傾げた世良だったが、コナンからの返事で理由を知る。
「お、おい何だよ！？　バーベキューって。」
「そういえばコナン君、お昼は子供たちとバーベキューをご馳走になるって言ってた。花音知ってたんだ。」
「そう言うことは早く言ってくれよ！」
　わめく世良に花音と蘭は適当に謝る。
「なに？　なに？　蘭家に行くのはあの眼鏡のガキンチョが目当てなの？」
　花音は世良の様子を黙って観察した。
世良はどこか照れ臭そうに鼻をこする。
「ま、まぁ…、小五郎さんの弟子の安室って人にも会いたかったってのもあるけど。」
　安室の名前を聞き、花音はあの気に食わない顔を思い出した。
「あぁ、あの時道路の真ん中で暗かったし、警察の事情聴取は別々だったね。」
　かくいう花音も一応は軽く事情聴取を受けており、世良はお説教のおまけつきだった。
「それより君たち、会ったことあるか？　灰原って子。」
「うん！　哀ちゃんでしょ？」
「わたしあの子ちょっと苦手。」
「花音は？　どんな子？」
　話しを振られた花音は少し考え、当たり障りない返事をする。
「まぁ、頭のいい子だよ。」
「変わってるけどかわいい子だよ？」
「例えるなら無愛想な大人の女がそのままちびっ子になっちゃったって感じかねぇ。」
　園子の言葉に世良の目は鋭くなった。
「大人の女が…？」
「うん！　たまにすっごく大人びた事言うんだよ！」
「そうそう、あの眼鏡のガキンチョとダブる時あるよね？　まぁ、哀ちゃんあの方はホームズおたくじゃないみたいだけど。」
　確か彼女はアガサクリスティーが好きだったか、と花音は哀の顔を思い浮かべる。
「世良さんはコナン君と会ったばかりで知らないと思うけど、コナン君も新一と一緒でホームズが大好きで。」
　蘭のどこか嬉しそうな顔を花音は微笑ましく見つめた。
　探偵事務所を後にした花音の元へ着信が入った。