花音が一応脈を確認すると、やはりというべきなのか、男は死んでいた。
「何で遺体がスーツケースに入ってんだよ！」
「というか、そもそも誰なんだろう。」
「割と小柄な男性ですね。死因は撲殺。死後一日強ってとこでしょうか。」
　探偵三人がスーツケースと男の遺体を観察する。
「思った通り、盗聴器はこの中に入っていたが。とにかく家主の圭さんに話を…。」
「多分、もういないんじゃない？」
　小五郎に答える花音の言葉に小五郎が驚きの声をあげた。
「さっき玄関を通った時に、彼女のブーツはありませんでしたから。その時は、下駄箱にしまったのかなと思ったんですけど。もしかしたら、我々が盗聴器を探す為に部屋中を調べまわったら、この遺体が見つかってしまうと恐れて逃げたって場合も考えられますしね。」
　安室の推理に花音は頷いた。
「じゃあ、この男を殺したのは圭さんだって言うのかよ！？」
「それはまだ断定出来ないけど、コナンの靴も無くなってたよ。逃げた圭さんを追いかけたのか、連れ去られたかは微妙なとこだけど、十中八九、あの子のことだったら、自ら着いていった線が濃いかなぁ。」
　花音がスマホを一応開いてコナンに電話を掛けようか悩んでいると、小五郎が先に、圭にメールを打った。
返事は来ないだろうと考えていた三人だったが、予想外にもメールの返事はすぐに届いた。
「メールが来たという事は、遺体を見つけたんですね…。このボウヤは夜が明けたら解放するつもりですが、警察に通報し、私の逃亡の邪魔をするおつもりなら、ボウヤの身の安全は保証しかねます…。ってことはやっぱりこの男は圭さんが！？」
　安室はその言葉を聞き、顎に手をやって、考えを述べた。
「ひょっとしたら、探偵事務所で拳銃自殺した男も、本当は彼女が…。」
「…発射残渣は出なかったけど、それが可能になる方法はなくはないし。ただ、面倒なのは新しい遺体を見つけて、その犯人にコナンが連れ去られちゃったのにも関わらず、朝まで手出しができないってとこだよね。」
　花音が考え込んだところに、小五郎が、何でもないように提案をした。
「阿笠博士なら、小僧の居場所わかるんじゃねえのか？」
「あぁ、その手があったね。」
　花音がスマホで阿笠の連絡を探し始め、一人、阿笠を知らない安室は首を傾げる。
「小僧の知り合いで、小僧がいつも持ってる発信機付きのバッジを持ってて、それを追跡できる眼鏡を、その博士が持ってんだよ。確か、蘭も花音も仲が良かったな。」
　連絡を探しながら、花音は頷いた。
「ホゥ、そんなに便利な物があるなら是非。」