そろそろ声を掛けようかと彼女を見ると彼女を見ると彼女はじっとテレビを見ていた。
「しかし、悪い事はできませんねぇ・・・強奪した二億円のほとんどは本店から搬入されたばかりの新札で、紙幣の記番号がまるわかりだったんですから・・・」
「あぁ・・・使うに使えねぇ金をつかまされたその強盗犯が捕まるのも時間の問題・・・」
俺がそう言うと毛利氏が凄い勢いでこちらを向いた。
「―って何でお前らがここに！？」
持っていたサンドイッチを彼等の視界に入るように持ち上げた。
「お世話になっている毛利先生にサンドイッチのサービスを！勿論お代は僕持ちで。皿の返却はいつでもOKですから。」
「蘭から聞いてない？二人の昼ごはん作りに来たの。今日蘭いないし。・・だけど、安室さんがサンドイッチ作ってくれたならお昼作らなくても良さそうだね。」
そして俺は“先生”を見た・
「それで？今日来られる依頼人はどんな事件を？」
「え？何で知ってんだ？そんな事・・・」
「そりゃーわかりますよ！休日のお昼といったら大概先生は、競馬新聞を手にダラってしてらっしゃるのに、今日は無精ヒゲを剃りネクタイをキチンと締めて、誰かが訪ねて来るのを待ち構えているご様子！しかも、この時間は沖野ヨーコのライブのオンエア中。それにも目もくれずに神経を研ぎ澄ましているという事は、かなりの大事件じゃないですか？」
すると先生はしまったという顔をした。
「あ・・・あ～～～っ！ヨーコちゃんのライブ忘れてた！！」
「いいんじゃない？録画してるんだし。」
コナン君がそう言って先生を少し白けた目で見ているのも気にせず先生はテレビの沖野ヨーコに向かって騒いでいた。
「GOGOヨーコ♪」
呆然とする俺と彼女を見たコナン君が言う。
「これを生で観るからって依頼人と会う時間ズラしたんだよ！」
それを聞いて苦笑いする俺とは違い彼女は眉間に皺を寄せた。