その後彼女は蘭さんと一時間程勉強し、蘭さんとコナン君が帰ると、彼女はカウンター席に移動してきた。
「安室さんおすすめのご飯モノってなんですか？」
「そうですね、パスタなんてどうでしょうか。」
移動してきた彼女は三分に一度の割合で外を注意深く見る事があった。
気にはなったがあえては本人に聞かなかった。
彼女は俺の作ったトマトパスタを終始美味しそうに食べた。

　ふと時計を見ると九時四十分で今日の客入りが少ないこともあったのか、彼女以外の客は既にいなかった。
「花音さん、良ければご自宅まで送りますよ。
僕の話に付き合わせてしまいましたし、こんな夜遅くに女性を一人で歩かせるのも気が引けますし。」
俺がそう言うと一瞬キョトンとした彼女が苦笑いをした。
「そんな、悪いですよ。私も安室さんのお話お聴きするの楽しかったですし！それにまだ十時になってないですし。」
彼女はそう言うが、“俺”としては未成年である彼女をこの時間に独り歩きさせたくない。
「いえ、それでも送らせて下さい。もう十時でお店も閉めますし。それに花音さん歩きで来られていましたよね。花音さんが平気だとしても僕が不安なので。」
俺がそう言うと彼女は少し考えてから、お願いします。と言ってきた

「えぇ！？安室さんの車RX-7なんですか？」
駐車場について彼女を助手席に案内するととても驚いていた。
「はい、実は少し自慢なんですよ。」
住所を聞くと、驚いた事に安室　透としてのセーフハウスのすぐ近くだった。
「そこなら僕の家と近いですよ。歩いて二、三分ですよ。」
「偶然ですね！・・・ところで安室さんていつもこうなんですか？」
「こう、とは？」
俺は彼女の言葉の意味が分からず首を傾げた。
すると彼女はため息を吐き苦笑いした。
「夜遅いからってこうして愛車に客を乗せたりです。」
「あぁ、してませんよ。今日は偶然です。それに女子高生ですし、それこそ社会人の方でしたらタクシー拾うなりすると思いますが、流石に高校生は違うでしょう？それに僕の話に付き合わせてしまいましたしね。」
「そうですか、なんか安室さん誰にでもこうなのかなと思っちゃって・・・て、私何言ってるんでしょうね！あ、ここです！」
彼女の言葉にどこか違和感を感じながら聞いていた。
彼女の指さしたところは大きい一軒家が建っていた。
「わざわざありがとうございました。またポアロ行きますね！」
彼女はそう言って車から降りた。
　彼女のいなくなった助手席からはベルモットの香水とは違う、残り香がした。