スーツに着替えて警察庁に向かっていると、風見から電話が来た。
「風見か？どうした。」
「例の、真壁さんの件、書類にまとめました。
いつお渡しすればよろしいでしょうか。」
思ったより早かったなと思いながら、考えた。
「今から外にゼロに来られるか？」
「分かりました、すぐに向かいます。」
風見は警視庁の公安だが、ゼロの研修も受けた人間という事もあって、ゼロに呼ばれることがしばしばある。
ゼロの研修を受けた公安マンは公安マンの中でもエースと呼ばれる。
勿論、エースの中でもランクはあるが。
ゼロにつくと、既に風見は到着していた。
「悪かったな、急に呼び出して。」
「いえ！降谷さんこそ、お疲れの中申し訳ありません。」
風見が部屋に入るなり寄ってきた。
「これ、普段の詫びと、礼だ。風見から選んで良いぞ。選んだら給湯室にでも置いておけ。」
俺がドーナツの入った箱を渡すと、風見が受け取った。
「ありがとうございます！」
「いや、気にするな。書類を見せてくれ。」
風見から例の書類を受け取った俺は目を通し始めた。

真壁　信悟　享年三十七　階級警視正　殉職
所属警視庁公安部
妻とは二十五歳の時に死別。
一人娘の真壁　花音と二人暮らし。
学歴大阪市立✗✗小学校
大阪市立✗✗中学校
大阪府立✗✗高等学校
私立米花大学法学部
ノンキャリア
元々警部だったが、任務中の殉職により警視正へ。父親は元大阪府警本部長　母親は大阪府警の監察医。任務中に部下を守った際頭を拳銃で撃たれ死亡。黒ずくめの組織の取引を取り押さえる為に張り込んでいた際、銃撃戦に発展し、この時に組織の男の片目と片足を撃ち抜いたが、相手の安否は不明。

　一部抜粋して読んだが、片目片足のところに俺は目を留めた。
もしこの男が生きているとしたら、この人物は・・・。
と考えていたら風見が口を開いた。
「降谷さん、この相手ですが・・・。」
「あぁ、俺も思った。もしこの男が生きているのなら、組織のNO.2であるRUMの可能性がある。だろう？」