彼女の秘密。
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次の日、早くに起きた花音は身支度を念入りにし、家を出た。
家を出た花音が向かったのは東都タワー付近のカフェだった。
「先生!ごめんなさい、待ちました?」
先生と呼ばれた男は読んでいた本を閉じ、花音に微笑んだ。
「いや、待ってないよ。それに約束より十分も早い。さて、どこに行きたい?」
「え?てっきり何か話があるんじゃないかって。」
花音がそう言うと“先生”は苦笑いした。
「あぁ、確かにあの文面だとそう思っても仕方ないね。いや、俺が花音に会いたかっただけだよ。で、どこか行きたいところ、ある?」
花音は少し考え、今朝の情報番組でやっていた特集を思い出した。
「東都タワーの水族館なんてどうですか?クマノミ祭りやってるらしいですよ。祐一先生、クマノミ好きでしたよね!」
「いいね、行こうか。」
そして祐一と花音は祐一の車に乗り、東都タワーへと向かった。
「わ、凄い可愛い!ほら、いっぱいいますよ、先生!」
沢山の種類のクマノミを前にして、年相応にはしゃぐ花音を見ながら祐一は微笑ましく思っていた。
「そんなに走らなくてもクマノミは逃げないよ。ほら。」
そう言って祐一は手を差し出した。
差し出された手に戸惑った花音をよそに祐一は花音の手を取った。
「うっわ、相ッ変わらず手冷たいなぁ。俺の体温持ってかれそう。」
「それなら離してもらっても・・・。」
花音の言葉に祐一はニッとした。
「それとこれとは別!それに今日少し寒いのに花音薄着だからこれくらいがいいよ。風邪引かしたら悪いし。」
花音は祐一に押し切られて手を繋いだままにした。
「あ、そういえば一ヶ月前は用事あったんだっけ、暫く忙しいって言ってたけどもう良いの?」
花音は一ヶ月前の事を考えすぐにその事を思い出した。
「あ~、もう昨日解決したんで、大丈夫ですよ。」
花音の“解決”というワードに引っかかった祐一は首を傾げた。
「解決?どういう事?普通そこは終わったって言うよな。」
花音はしまった。と思い話を逸らす事も考えたが、絶対に追求される事が目に見えていた為正直に話す事にした。
「ストーカー!?何でもっと早く言わなかったんだよ、怖かっただろ。いくら花音が普通の女子高生とは色々違うって言っても・・・。
でも、その安室さん?には感謝だな。・・・
言いたくないかもしれないけど、その手紙には何て書いてあったんだ?」
「あ、見ます?捨てたつもりだったんですけどカバンに入ってたみたいで。その内警察持って行こうと思ってるんですけど。」
はい。と花音が手紙を祐一に渡し、それを受け取った祐一はすぐに読み始めた。
花音ちゃんへ
おかえり、夜遅くまで外にいるのは感心しないなあ。
危ない事に巻き込まれたらどうするの?
嗚呼、でも僕が守ってあげるから大丈夫だね。
君の写真、一緒に入れておくね。
上手に撮れたやつを数枚厳選したんだ。
バドミントンをしている君も素敵だ。
花音ちゃんは本当にどんな服でも着こなしてしまうね。
きっと、君の花嫁姿は世界で一番美しいだろうな。
誰よりも、君を愛してるよ。
という内容だった。
「・・・本当に、花音が無事で良かった。」
「私を誰だと思ってるんですか?私なら全然大丈夫ですよ。まあ確かに花嫁姿云々のとこは本気で引きましたけどね。じゃ、こんな事忘れて、デートの続き、しましょ!」
パッと手紙を祐一の手から取り上げカバンに仕舞った花音は祐一の手を引き歩き出した。
少しの間黙っていた祐一が口を開いた。
「花音は、いつも俺の事頼ってくれないな。
そんなに俺は頼りないか?」
「・・・え?」
「今回の件だけじゃない。前に入院した時とか、それこそ、中学の時に親父さん亡くして大阪に転校して、帰ってきた時だってそうだった。いつだって俺には事後報告だったし、肝心な時に頼ろうとしなかった。」
「違います。祐一先生が頼りなかった事なんて今まで一度もなかったですよ。ただ、私が、先生の負担になりたくないって思ってるだけで。それに、今回はそこまで危ない相手じゃなかったし、入院した時は大阪の祖父母が来てたから先生呼ぶに呼べなかったし、大阪から帰ってきた時、先生は頼らなかったって今言いましたけど、私、あの時先生がいてくれたから今こうやって笑顔でいられるんです。
先生、忘れちゃいました?私、父さんの前でも泣いた事なかったのに、先生の前でだけはいつだって泣き虫なんですよ。私は今でも先生に凄く頼ってますし、先生と一緒にいられるだけで幸せなんですよ。そうじゃなかったらこんな風に会いませんもん!私は先生といるだけで頼ってるし、一緒にいる間は嫌な事全部忘れられるんです。」
花音はそう言うと祐一にスッと抱きついた。
「そっか。そう言ってくれるなら良かった。でも、たまには弱音吐いても良いんだからな。
俺の前だけではただの十七歳の女の子でいてくれ。」
祐一は花音を抱きしめて笑った。
「はい。」
そして花音も嬉しそうに笑っていた。
普段の大人びた花音ではなく、十七歳の女の子としての笑顔で。
この時、この瞬間、この二人を見ている者がいた。
家を出た花音が向かったのは東都タワー付近のカフェだった。
「先生!ごめんなさい、待ちました?」
先生と呼ばれた男は読んでいた本を閉じ、花音に微笑んだ。
「いや、待ってないよ。それに約束より十分も早い。さて、どこに行きたい?」
「え?てっきり何か話があるんじゃないかって。」
花音がそう言うと“先生”は苦笑いした。
「あぁ、確かにあの文面だとそう思っても仕方ないね。いや、俺が花音に会いたかっただけだよ。で、どこか行きたいところ、ある?」
花音は少し考え、今朝の情報番組でやっていた特集を思い出した。
「東都タワーの水族館なんてどうですか?クマノミ祭りやってるらしいですよ。祐一先生、クマノミ好きでしたよね!」
「いいね、行こうか。」
そして祐一と花音は祐一の車に乗り、東都タワーへと向かった。
「わ、凄い可愛い!ほら、いっぱいいますよ、先生!」
沢山の種類のクマノミを前にして、年相応にはしゃぐ花音を見ながら祐一は微笑ましく思っていた。
「そんなに走らなくてもクマノミは逃げないよ。ほら。」
そう言って祐一は手を差し出した。
差し出された手に戸惑った花音をよそに祐一は花音の手を取った。
「うっわ、相ッ変わらず手冷たいなぁ。俺の体温持ってかれそう。」
「それなら離してもらっても・・・。」
花音の言葉に祐一はニッとした。
「それとこれとは別!それに今日少し寒いのに花音薄着だからこれくらいがいいよ。風邪引かしたら悪いし。」
花音は祐一に押し切られて手を繋いだままにした。
「あ、そういえば一ヶ月前は用事あったんだっけ、暫く忙しいって言ってたけどもう良いの?」
花音は一ヶ月前の事を考えすぐにその事を思い出した。
「あ~、もう昨日解決したんで、大丈夫ですよ。」
花音の“解決”というワードに引っかかった祐一は首を傾げた。
「解決?どういう事?普通そこは終わったって言うよな。」
花音はしまった。と思い話を逸らす事も考えたが、絶対に追求される事が目に見えていた為正直に話す事にした。
「ストーカー!?何でもっと早く言わなかったんだよ、怖かっただろ。いくら花音が普通の女子高生とは色々違うって言っても・・・。
でも、その安室さん?には感謝だな。・・・
言いたくないかもしれないけど、その手紙には何て書いてあったんだ?」
「あ、見ます?捨てたつもりだったんですけどカバンに入ってたみたいで。その内警察持って行こうと思ってるんですけど。」
はい。と花音が手紙を祐一に渡し、それを受け取った祐一はすぐに読み始めた。
花音ちゃんへ
おかえり、夜遅くまで外にいるのは感心しないなあ。
危ない事に巻き込まれたらどうするの?
嗚呼、でも僕が守ってあげるから大丈夫だね。
君の写真、一緒に入れておくね。
上手に撮れたやつを数枚厳選したんだ。
バドミントンをしている君も素敵だ。
花音ちゃんは本当にどんな服でも着こなしてしまうね。
きっと、君の花嫁姿は世界で一番美しいだろうな。
誰よりも、君を愛してるよ。
という内容だった。
「・・・本当に、花音が無事で良かった。」
「私を誰だと思ってるんですか?私なら全然大丈夫ですよ。まあ確かに花嫁姿云々のとこは本気で引きましたけどね。じゃ、こんな事忘れて、デートの続き、しましょ!」
パッと手紙を祐一の手から取り上げカバンに仕舞った花音は祐一の手を引き歩き出した。
少しの間黙っていた祐一が口を開いた。
「花音は、いつも俺の事頼ってくれないな。
そんなに俺は頼りないか?」
「・・・え?」
「今回の件だけじゃない。前に入院した時とか、それこそ、中学の時に親父さん亡くして大阪に転校して、帰ってきた時だってそうだった。いつだって俺には事後報告だったし、肝心な時に頼ろうとしなかった。」
「違います。祐一先生が頼りなかった事なんて今まで一度もなかったですよ。ただ、私が、先生の負担になりたくないって思ってるだけで。それに、今回はそこまで危ない相手じゃなかったし、入院した時は大阪の祖父母が来てたから先生呼ぶに呼べなかったし、大阪から帰ってきた時、先生は頼らなかったって今言いましたけど、私、あの時先生がいてくれたから今こうやって笑顔でいられるんです。
先生、忘れちゃいました?私、父さんの前でも泣いた事なかったのに、先生の前でだけはいつだって泣き虫なんですよ。私は今でも先生に凄く頼ってますし、先生と一緒にいられるだけで幸せなんですよ。そうじゃなかったらこんな風に会いませんもん!私は先生といるだけで頼ってるし、一緒にいる間は嫌な事全部忘れられるんです。」
花音はそう言うと祐一にスッと抱きついた。
「そっか。そう言ってくれるなら良かった。でも、たまには弱音吐いても良いんだからな。
俺の前だけではただの十七歳の女の子でいてくれ。」
祐一は花音を抱きしめて笑った。
「はい。」
そして花音も嬉しそうに笑っていた。
普段の大人びた花音ではなく、十七歳の女の子としての笑顔で。
この時、この瞬間、この二人を見ている者がいた。