根っこ広場
次の日になると、キツネさんとヘビくんはいっしょにどんぐり池へと向かいました。
きのうはコマドリさんのみまちがいだなんて言いましたが、二匹ともちょっとこわごわ、ぬきあしさしあしでどんぐり池へと近づきます。そして大きな木のかげから、こっそりとのぞいてました。
みると、リスくんが一人で忙しそうにおそうじのまっさいちゅうでした。
二匹はきょろきょろとあたりを見回しましたが、オオカミらしい動物はみあたりません。
「なあ、やっぱりコマドリのやつのみまちがいだぜ」
「そうですわね。リスくんひとりみたいですわ」
二匹でヒソヒソと話していたときです。
グルルルルルルル……。
という、おそろしいうなり声が、二人のまうしろから聞こえてきました。
うごきをとめた二匹は、ゆっくりとかおを見合わせ、そして後ろをふり返ります。そこには……。
灰色のけものがはなにシワをよせ、大きな口からとがったキバをのぞかせて、二匹を見下ろしていたのです。
「ひいぃぃぃぃぃぃぃ!」
キツネさんとヘビくんは声にならないさけびを上げると、いちもくさんににげていきました。
キツネさんとヘビくんが見た灰色のけものは、もちろんグレイでした。どんぐり池へと続く道のおそうじをして、もどってきたところだったのです。
グレイは、青い顔をして逃げていくあやしい二匹を見送ると、池のまわりのおそうじをしているリスくんに声をかけました。
「なあ、いま、あやしいヤツが二匹のぞいてたぞ」
「あやしい?」
「ああ、あれはヘビとキツネだな」
「ええ? ヘビくんとキツネさんなら、この森にもいるけど……なんでのぞいてたんだろう? 声かければいいのになあ」
と、リスくんは首をひねりました。
そのころ、ヘビくんとキツネさんはころがるように根っこ広場へと走っていました。
「たたたた、たいへんだぁ!」
「オオカミよ、オオカミだわ!」
根っこ広場にはその他の動物ももうすでにあつまっています。
ヘビくんとキツネさんは、いま見てきたオオカミの恐ろしさをわれさきにと話しはじめました。
「ほうらごらんなさいな、アタシの言ったとおりでしょう」
コマドリさんはいばり顔。
「ほんとうかあ?」
それでもアライグマくんはうたがっているみたいです。
「ま、まさかまさか。ほ、ほんとうにこの森にオオカミがきたの? しんじない、アタシ、しんじないわ!」
クマさんは、大きなからだをブルブルふるわせ、まっさおになりながら言いました。
「ようし、じゃあクマ子、こんどはおまえが見てこい!」
アライグマくんがうでぐみをして、よこめでクマさんをにらんでいました。
「ななななななな」
クマさんはとびあがりました。
仲間たちの目がクマさんを見つめます。
「そうね。しんじられないんなら、見てきたほうがいいわね」
コマドリさんがツンとしながら言うと、キツネさんとヘビくんも「そうだそうだ、信じられないって言ったのはクマさんなんだから、見てきてよ!」
と言いだします。
クマさんはまっさおになりながらも、言い返すことができずに、とぼとぼとどんぐり池へと向かいました。
どんぐり池についたクマさんはそうっとあたりを見回します。けれども、リスくんも、オオカミもみあたりません。
クマさんは池のそばにある小屋へと近づいてみました。
小屋の中をみてみると、そこには灰色の獣が、リスくんの落ち葉の毛布をかけて眠っているではありませんか。
きっとオオカミです!
クマさんはびっくりしましたが、そいつがねむっていてくれたので、少しだけホッとしました。
それからクマさんは、ねむっているオオカミのすぐそばに、赤黒いシミのようなものがひろがっているのを見つけました。
そのシミは、昨日のヤマゴボウの汁のあとだったのですが、クマさんはそんなことは知りません。
「ま、まさか!」
血ち?
そう言おうとした時、寝ていたオオカミが寝返りをうつと「ぐがおぅ!」と、ほえました。
クマさんはもう、いちもくさんに根っこ広場へと走って帰っていきました。
「オ……オオカミがぁぁ! リスくんが……リスくんが!」
クマさんは根っこ広場にたどり着くと、すわりこんで泣きはじめてしまいました。
「オイオイオイ、どうしたっていうんだよ!」
「リスくんがあぁぁぁぁぁ!」
アライグマくんが声をかけましたが、おいおいと泣くクマさんは答えることができません。
「たいへんたいへん! アライグマくん、アンタ見てきなさいよ!」
コマドリさんが騒ぎます。
「な、なんでオレが!」
「みんなもう見てきたのよ。まだ見てきてないのはアンタだけじゃない!」
コマドリさんのいきおいに押されて、アライグマくんはしぶしぶどんぐり池へと向かいました。
きのうはコマドリさんのみまちがいだなんて言いましたが、二匹ともちょっとこわごわ、ぬきあしさしあしでどんぐり池へと近づきます。そして大きな木のかげから、こっそりとのぞいてました。
みると、リスくんが一人で忙しそうにおそうじのまっさいちゅうでした。
二匹はきょろきょろとあたりを見回しましたが、オオカミらしい動物はみあたりません。
「なあ、やっぱりコマドリのやつのみまちがいだぜ」
「そうですわね。リスくんひとりみたいですわ」
二匹でヒソヒソと話していたときです。
グルルルルルルル……。
という、おそろしいうなり声が、二人のまうしろから聞こえてきました。
うごきをとめた二匹は、ゆっくりとかおを見合わせ、そして後ろをふり返ります。そこには……。
灰色のけものがはなにシワをよせ、大きな口からとがったキバをのぞかせて、二匹を見下ろしていたのです。
「ひいぃぃぃぃぃぃぃ!」
キツネさんとヘビくんは声にならないさけびを上げると、いちもくさんににげていきました。
キツネさんとヘビくんが見た灰色のけものは、もちろんグレイでした。どんぐり池へと続く道のおそうじをして、もどってきたところだったのです。
グレイは、青い顔をして逃げていくあやしい二匹を見送ると、池のまわりのおそうじをしているリスくんに声をかけました。
「なあ、いま、あやしいヤツが二匹のぞいてたぞ」
「あやしい?」
「ああ、あれはヘビとキツネだな」
「ええ? ヘビくんとキツネさんなら、この森にもいるけど……なんでのぞいてたんだろう? 声かければいいのになあ」
と、リスくんは首をひねりました。
そのころ、ヘビくんとキツネさんはころがるように根っこ広場へと走っていました。
「たたたた、たいへんだぁ!」
「オオカミよ、オオカミだわ!」
根っこ広場にはその他の動物ももうすでにあつまっています。
ヘビくんとキツネさんは、いま見てきたオオカミの恐ろしさをわれさきにと話しはじめました。
「ほうらごらんなさいな、アタシの言ったとおりでしょう」
コマドリさんはいばり顔。
「ほんとうかあ?」
それでもアライグマくんはうたがっているみたいです。
「ま、まさかまさか。ほ、ほんとうにこの森にオオカミがきたの? しんじない、アタシ、しんじないわ!」
クマさんは、大きなからだをブルブルふるわせ、まっさおになりながら言いました。
「ようし、じゃあクマ子、こんどはおまえが見てこい!」
アライグマくんがうでぐみをして、よこめでクマさんをにらんでいました。
「ななななななな」
クマさんはとびあがりました。
仲間たちの目がクマさんを見つめます。
「そうね。しんじられないんなら、見てきたほうがいいわね」
コマドリさんがツンとしながら言うと、キツネさんとヘビくんも「そうだそうだ、信じられないって言ったのはクマさんなんだから、見てきてよ!」
と言いだします。
クマさんはまっさおになりながらも、言い返すことができずに、とぼとぼとどんぐり池へと向かいました。
どんぐり池についたクマさんはそうっとあたりを見回します。けれども、リスくんも、オオカミもみあたりません。
クマさんは池のそばにある小屋へと近づいてみました。
小屋の中をみてみると、そこには灰色の獣が、リスくんの落ち葉の毛布をかけて眠っているではありませんか。
きっとオオカミです!
クマさんはびっくりしましたが、そいつがねむっていてくれたので、少しだけホッとしました。
それからクマさんは、ねむっているオオカミのすぐそばに、赤黒いシミのようなものがひろがっているのを見つけました。
そのシミは、昨日のヤマゴボウの汁のあとだったのですが、クマさんはそんなことは知りません。
「ま、まさか!」
血ち?
そう言おうとした時、寝ていたオオカミが寝返りをうつと「ぐがおぅ!」と、ほえました。
クマさんはもう、いちもくさんに根っこ広場へと走って帰っていきました。
「オ……オオカミがぁぁ! リスくんが……リスくんが!」
クマさんは根っこ広場にたどり着くと、すわりこんで泣きはじめてしまいました。
「オイオイオイ、どうしたっていうんだよ!」
「リスくんがあぁぁぁぁぁ!」
アライグマくんが声をかけましたが、おいおいと泣くクマさんは答えることができません。
「たいへんたいへん! アライグマくん、アンタ見てきなさいよ!」
コマドリさんが騒ぎます。
「な、なんでオレが!」
「みんなもう見てきたのよ。まだ見てきてないのはアンタだけじゃない!」
コマドリさんのいきおいに押されて、アライグマくんはしぶしぶどんぐり池へと向かいました。