目を覚ますとそこは見慣れた自分の部屋だった。



ﾁｮ｢アヤカ？よかった。気がついたんだな。｣



『チョッパー……。』



隣にはベッドに突っ伏したまま眠るサヤカの姿があった。



ﾁｮ｢さっきまでずっと起きてたんだ。すごく心配してたゾ。｣



『サヤカ…。ありがとう…。』


そう言ってそっと頭を撫でた。



『チョッパーもありがとね。心配かけてごめんね…。』


ﾁｮ｢大丈夫。ほら、もう少し寝てた方がいいゾ。まだ熱高いんだから。｣



『うん…。』



アヤカはゆっくりと瞼を閉じた。








翌日。



妙な気配を感じてアヤカは目を覚ました。



ﾁｮ｢おはよアヤカ♪｣



『…………。』



ﾁｮ｢アヤカ？｣



｢どうしたの？｣



『霊獣の…気配がする…。それもたくさん……。』



｢たくさんって…。｣



『アイツだ……。アイツが…キツネを…奪いに来た……。』



ﾁｮ｢アイツって…もしかして船を襲ってきたヤツか！？」



『うん………っ……。』



アヤカはフラつく体を起こしてなんとか立ち上がった。


ﾁｮ｢まだ起きちゃダメだ！」


『行かなきゃ……。』



｢どこへ行くつもり！？」



『港の…近くに……。アイツがいる……ぅっ……。』



ﾁｮ｢アヤカ！無茶だ！そんな体で戦うなんて！」



『はぁっはぁっ…。私が行かなきゃ……。アイツが…ここにたどり着いたら…母さんやみんなまで…巻き込まれる……。』



ﾁｮ｢けど！」



とチョッパーが言いかけた時、アヤカはそっと手をかざした。



『ごめん…ね…。』



ﾁｮ｢アヤカ…？何を……。」


《ドサッ。》



チョッパーはその場で眠ってしまった。



｢催眠術式！？」


アヤカはサヤカを見る。



｢ダメ…ダメだよ！」



サヤカは後退りをするが次第に力が抜けていく。


｢アヤカ…ダメ…。｣



『強くなったね…。私の力に抵抗するなんて…。でもごめんね…。あなたをこれ以上苦しめたくないの…。』



そう静かに言うとアヤカはさらに力を込めた。



｢アヤカ…やめ……。｣



《ドサッ。》



眠ってしまった二人を尻目にアヤカはフラフラとした足取りで家を出ていった。