翌日。




｢アヤカ。本当にいいの？｣


『何が？』



｢…本当はみんなと…。｣


アヤカは言葉を遮った。


『私はこのために帰って来たんだから。』


そう言ってアヤカはサヤカに笑顔を向けた。




｢アヤカ……。｣




『道場行こ？母さんが待ってる。』



｢うん…。｣






道場に行ったアヤカは待っていた母の前に座った。



｢始めるわよ。｣



『はい。』



｢これより継承の儀式を始める。｣



アヤカは母にそっと背中を向けた。




『我、継承者アヤカ。当主及び霊獣を継承し退魔師としての使命を全うすることを誓う。』



母はアヤカの後ろで呪文を唱えながら指で家紋を描いた。



アヤカは下唇をキュッと噛み締めて身構えた。



するとサヤカがアヤカの隣に座った。



『サヤカ…？』



｢隣にいるから大丈夫だよ。｣


『ありがと。』



｢準備はいい…？｣



『はい…。』



母が指で描いた家紋がアヤカの背中に染み込んでいく…。



『うぅぅ！あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！』



｢アヤカっ！」


気を失ったアヤカをサヤカが受け止める。



とそこへ声を聞いたクルー達が慌てた様子でやってきた。



ｳ｢どうした！」



ｻ｢アヤカちゃん！」



サンジが気を失ったアヤカに駆け寄った。



ﾅ｢一体何があったの？｣



｢母さんの体内に封じられている霊獣をアヤカの体内に封じ込めたの。その時に命の鎖でアヤカの魂と結ばれる…。その時の痛みは想像を絶するものなの……。｣



ﾅ｢それで……。｣




｢あなた確かお医者さんよね？｣



ﾁｮ｢あぁ。｣



｢莫大な力を持った霊獣を継いだ後だから体内の霊力のバランスが崩れて何が起こるかわからないの…。だからしばらくアヤカを診ててくれないかしら…。｣



ﾁｮ｢わかった。｣













その日の夜。




『はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…！』



｢アヤカ……。｣



ﾁｮ｢ひどい熱だ…。さっきより上がってる。｣



｢アヤカ…ごめんね…。｣


サヤカはアヤカの手を握りながらそっと囁いた。



『ん…ぅ……。』



ﾁｮ｢アヤカ？｣



｢アヤカしっかり！」




気を失った私は夢を見た。



『ん………？』


気がつくとそこはひたすら闇が続く真っ暗な世界だった。




『ここどこだろ…。誰もいない…。』




《……けて…。》



『え…？声…？』



《助…けて…。》



『誰？』



辺りを見回すが周りには誰もいない…。



《助けて…。》



『誰！？どこにいるの？』




《痛いよ…苦しいよ…。》




その声がだんだんと遠くなっていく。



『待って！行かないで！』