チョッパーが少女を抱き上げようと変形した時だった。




『ぅっ…ん…っ…。』




ﾁｮ「気がついたか？」




『…！？きゃぁぁぁぁ！』




ﾁｮ「あ！ごめん！怖かったよな！」




チョッパーは少女を降ろすと慌てて元のサイズに戻る。




『誰……？…！？ここは！？さっきの船は！？』




ﾅ「もう行ったわ。」




ｻ「もう大丈夫だ。」




『……っ……。』




ナミの言葉に少女の顔がみるみる青ざめていく。




『戻して…！今すぐあの船に私を戻して！』





ｳ「何でだよ。酷い扱い受けてたんじゃねぇのか？」




『そんな事はどうでもいい！お願い！今すぐに戻して！…お願いっ…。…あの船に戻らないと…っ…。』




ﾌﾞ「何か深刻な理由がありそうですね。」




ﾛ「よかったら話してくれないかしら？」




ロビンは座り込む少女の目線の高さまでしゃがむと微笑みながらそう言った。




『…みんなが…殺されちゃう…。私があの船で歌い続けないとたくさんの人が殺されちゃうのっ…！だから…っ…お願いします…。私をもう一度あの船に…！』




ﾌ「ずいぶんと物騒な話だな。」




『そういう契約なの…。私はメイジャー王国の王女、ミリア。数ヶ月前に島があの海賊達に襲われて……。目当ては私の能力だったみたいで……。』




ｿﾞ「国民を人質に取られたのか。」




『そう…。私があの船で歌い続ける限り国民の命だけは助けてやるって言われて……。』




ﾅ「メイジャー王国……。」




ナミは何かを思い出すような仕草をする。




ﾅ「たしか新聞で見た気がするの…。」




『ほんと！？みんなが今どうしてるか書かれていた！？』




ﾅ「………。」




ｻ「ナミさん？」




ﾅ「酷な話…なんだけど……。」




『え……？』




ナミは新聞の内容を覚えている限り話した。



それは国は一夜にして滅びたこと、生存者はいないという内容だった。




『そんな……。そんなの…！嘘よ！』




ﾅ「新聞で見た確かな情報よ…。」




『それじゃあ、私は…今まで何のために…っ…！』




ミリアは絞り出すようにそう言うと声を上げて泣いた。




ﾁｮ「ミリア……。」




ひとしきり泣いたミリアの体がゆっくりと傾き甲板の芝生に倒れ込む。




ﾁｮ「ミリア！しっかりしろ！」




『……。』




体が動かない…。
歌いすぎたんだ……。




ゆっくりと意識を手放していくミリアをチョッパーが抱き上げ医務室へ走る。



ﾁｮ「やっぱり衰弱が激しい。すぐ治療しないと！」